東京都台東区の上野公園内に建つ「上野東照宮」は、参道はガタゴト路ですが車椅子で参拝できます。見どころが多い東京の東照宮のバリアフリー状況を紹介します。
上野公園の東照宮。幕末の上野戦争、関東大震災、太平洋戦争、そのすべてを乗り切った、創建当初の姿が残る社です。したがって基本はバリアフリーではありません。それでもガタゴトする石畳を車椅子で慎重に進めば、参拝は可能です。日光東照宮の深い砂利道と高い段差に比べれば、参拝は楽です。
家康公没後の1627年の創建。社殿の造営は1651年。この間に全国の大名から寄進された燈籠が、境内に並びます。石燈籠が200基超。銅燈籠が48基。この大量にある燈籠見学が最初の楽しみです。
参道正面は段差があるので、車椅子では案内板にしたがって横道から迂回して参道に向かってください。「透塀」の外側は参拝無料です。
参道突き当りに黄金に輝くのが「唐門」です。2013年に改装が完了し、社殿などは復元修復されています。左甚五郎の龍など、彫り物があります。
拝殿近くはデコボコがあるので、車椅子は慎重に移動してください。多少苦労をしても、参拝する価値があります。
「透塀」の内側は有料エリアで障がい者減免制度はありません。ひどいデコボコがあるらしいので、実際には車椅子で見学していません。「透塀」と「社殿」そして「唐門」の裏側が見学できます。いずれも見事な装飾ということです。
一部ではバリアフリーな神社という情報が流れていますが、車椅子で快適な神社ではありません。季節限定で開苑される「ぼたん苑」は、未舗装で車椅子での見学は苦戦します。
家康公没後、上野の山は全体が東叡山寛永寺の所領になり、そこに数多くの子院が建ちました。上野東照宮もその一つです。
上野公園に現存する人気史跡の中で、「清水観音堂」と「上野大仏」は段差があり、車椅子での内部からの見学は出来ません。
なお寛永寺については別稿で紹介していますので、ご参照ください。
日光東照宮に比べ、知名度では劣る上野東照宮ですが、とても見ごたえのある社です。デコボコな参道を通りますが、車椅子で「唐門」までは参拝できます。
(本稿は2017年6月の取材に基づいています)