東京都台東区上野公園にある「上野の森美術館」は、1972年に開館した施設で、バリアフリー設計ではありません。それでも、開催される展覧会の多くは車椅子で観覧できます。
上野の森美術館へは、JR上野駅公園口からアクセスするとアップダウンを回避したルートで移動できます。
または「上野3153」「上野の森さくらテラス」「バンブーガーデン」のエレベーターで上野公園に上るルートもバリアフリーです。
来館者用の駐車場は、身障者用を含めてありません。美術館のエントランス周辺はスペースに余裕があるフラットな構造で、車椅子での利用に問題はありません。
開催される有料展覧会の多くは障がい者減免制度がありますが、例外もあります。展覧会毎に確認して利用してください。
今回は「ゴッホ展」が開催されていました。会期は2019年10月11日から2020年1月13日までです。「ゴッホ展」の観覧ルートの状況を以下に紹介します。
美術館の入口のドアは開放されていました。館内に入るとすぐに受付があります。受付の先に3mほどの急角度のスロープがあります。展示見学は2Fからで、一般来場者は階段で上ります。急なスロープを上ると右側に業務用エレベーターがあります。ここで車椅子利用者はスタッフの誘導を受けてエレベーターで2Fへ上ります。2Fへ上ると2Fの最初の展示コーナー「独学からの一歩」まで、スタッフが誘導して下さいました。
2F観覧後は同じエレベーターで1F展示室へ下ります。これもスタッフの誘導に従って下さい。エレベーターから1F展示室の最初のコーナーまでは、車椅子でミュージアムショップ内を逆走するのでスタッフの誘導が必須です。
2F、1Fとも、展示室内には緩いスロープ路がありますが、車椅子での移動に問題のないレベルの傾斜です。1Fの出口は手動ドアで、介助者がいても車椅子では開閉が難しいタイプです。近くにスタッフがいるはずなので、手助けを受けてください。
ほぼ全てが絵画の壁掛け展示です。展示位置は健常者が少し見上げるくらいの一般的な高さで、通路スペースには余裕があります。1F・2Fとも、車椅子からの鑑賞は可能です。
展覧会により展示室、観覧ルートの設定は変わりますが、エレベーターはスタッフの誘導を受けて業務用を利用すること、フロア内に傾斜面があること、段差箇所には簡易スロープがあること、出入口に手動ドアがあることなどが、上野の森美術館の利用上の注意点です。
上野の森美術館は今どきのバリアフリー施設ではありませんが、スタッフの誘導で、展覧会の観覧は可能です。
(本稿は2022年8月に加筆しました)