長野県長野市松代町は、江戸時代に真田氏10代が約250年間統治した松代藩10万石の城下町です。
1966年に「真田宝物館」が開館し、2004年に「松代城跡」の一部が復元されました。また1855年に開校した藩校「文武学校」と、1864年に建てられた新御殿が「真田邸」として現存し公開されています。これらの施設の中で「真田宝物館」は車椅子で観覧できる施設です。城下町松代中心部のバリアフリー状況を紹介します。
アクセスは車が便利です。観光用の無料駐車場が4か所用意されています。通常最も混むのは「真田宝物館正面駐車場」で、普通車25台を収容する舗装路面の駐車場です。
身障者用駐車スペースは1台分設けられていますが、今回取材時は工事の影響で利用できない状況でした。その代わりに仮設の身障者用駐車スペースが1台分ありました。
「真田宝物館正面駐車場」が満車の場合、次に中心施設に近い駐車場は「真田邸・文武学校北側駐車場」です。普通車30台を収容する舗装路面の駐車場で、身障者用駐車スペースの設定はありません。
ここも満車の場合は350台を収容する「市営殿町観光駐車場」、最も離れている駐車場は60台を収容する「松代城北駐車場」です。
次に車椅子で観覧できる「真田宝物館」のバリアフリー状況を紹介します。真田氏の家紋「六連銭」が飾られたエントランスは5段の石段構造です。
階段の横に段差解消スロープが設置されています。
エントランス前の胸像は、真田家のコレクションを松代町に寄贈した12代当主の真田幸治氏です。コレクションは武具・刀剣類から調度品・絵画作品、藩政に関わる古文書・典籍類など数万点に及び、真田宝物館が収蔵しています。
館内に入ると受付があります。真田宝物館は観覧料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳を提示して減免措置を受けてください。
受付の前から半地下の小さな展示スペースがあり、段差解消スロープで下りることができます。このスロープの先にバリアフリートイレがあります。
スペースは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、折り畳み式のユニバーサルベッドが備えられています。
真田宝物館は2フロア構造で主な展示室は2Fにあります。1Fから2Fへはスロープで上がる構造で、エレベーターはありません。スロープは中央部にフラットな路面が設定されています。スロープ横の壁面にも展示があります。
常設展示は1F「真田家の歴史」から始まります。展示室内はフラットな構造で、車椅子で観覧できます。
スロープを上がり2Fへ移動すると「真田家伝来の大名道具1」の展示になります。
2Fを横移動して「真田家伝来の大名道具2」を観覧します。常設展示は年4回の展示替えがあるそうです。
展示室の先に記念撮影スポットがあります。
今回取材時はコロナ対策で利用制限がありましたが、着物を着つけて記念撮影ができるスポットが用意されています。
甲冑などに触れることができる展示もあります。
この他2Fに企画展示室があり、その時々の企画展が開催されます。すべての展示室は車椅子で観覧可能です。
2F観覧後の通常ルートは、階段で1Fへ戻ります。車椅子ではスロープを逆走して1Fへ戻ります。
次は「松代城跡」のバリアフリー状況を紹介します。櫓門・木橋・石垣・土塁・堀などが復元されている施設で無料見学できます。昔のお城の復元施設なので、段差やデコボコがあります。
車椅子では無理のない範囲を見学する観光になります。
「真田邸」と「文武学校」は有料の施設ですが、どちらも入館料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。そしてバリアフリートイレがあり、「真田邸」には建物内に入る車椅子用昇降機が用意されています。
舗装散策路を通行してアクセスできます。
周辺は車椅子で通行可能な舗装通路が整備されています。
江戸時代の建物を公開している施設なので、そもそもはバリアフリーではありませんが、可能な限りのバリアフリー対応をしています。両施設とも車椅子で見学ができないことはありません。
周辺の状況を紹介します。「真田邸」の前は「真田公園」として整備されています。
真田公園は車椅子で散策できます。
公園沿いに建つのは18世紀の松代藩の家老「恩田木工民親」像です。藩の財政再建を成し遂げた功労者です。
近隣にある小布施の名店の支店「竹風堂松代店」はバリアフリー店舗です。バリアフリートイレがあります。
城下町松代の中心部には、車椅子で観光できる施設があります。
川中島古戦場史跡公園内にある「長野市立博物館」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年5月に執筆しました)