千葉県鴨川市の江見地区にある、太平洋に面して建つ凝った設計の建物です。道の駅としては1997年に登録されましたが、実際の開業はそれよりも古く、バリアフリーの概念がなかった時代の設計です。車椅子で利用する際には、様々な注意点があります。現地の状況を紹介します。
施設の駐車場は国道に面してあり、身障者用駐車区画が2台分用意されています。駐車場に24時間トイレ&休憩所棟があり、バリアフリートイレがあります。トイレ棟の利用だけなら、駐車場を利用して問題はありません。
駐車場からショップや食事処がある施設棟へは、車椅子では通行が困難な太鼓橋を渡ります。
施設棟に行くには、国道に面した駐車場ではなく、施設の裏側、海側の駐車場を利用します。国道に面した駐車場への入口よりも、少し南側の側道に入ります。近年この側道入口に車椅子のサインが掲示されました。下り坂を進むと、左手に駐車場があります。この駐車場には身障者用駐車区画はありません。
駐車場を抜けると、鴨川オーシャンパークの裏庭に出ます。フラットな舗装路面の空間がありますが、現時点ではこの空間に車椅子マークや、駐車が可能であることを示すサインは何もありません。このフリースペースに車椅子利用者は駐車してよいのではないかと想像されますが、確信はありません。心配なので、今回取材時は、身障者用駐車区画のない、施設裏側駐車場を利用しました。
車椅子は施設棟の裏側から館内1Fに入ります。出入口は2ヵ所あり、いずれも手動ドアです。
ドアの下はデコボコがあり、車椅子がひっかかります。特に駐車場寄りのドア下のデコボコは大きく、車椅子の通行は危険です。
館内のバリアフリートイレは1Fにあります。ユニバーサルベッドはありません。1Fはショップです。店内はフラットで、通路幅は車椅子が通行できるサイズは確保されています。
2Fのバリアフリー状況です。通常ルートである太鼓橋は、施設棟2Fに連絡します。2Fが施設の正門です。
施設内はエレベーターが1基あり、車椅子での上下階移動は可能です。
2Fは休憩コーナーと食事処があります。どちらも可動式のテーブル席があるので、車椅子で利用可能です。太平洋を眺望する食事処は、セルフサービスです。
エレベーターは3Fまでつながります。
3Fは屋上で太平洋を眺望する展望デッキがあります。ただし展望デッキを囲む壁が車椅子の目の高さまであり、一般的な座面の高さの車椅子に乗った状態では、大海原を眺めることはできません。
3F のエレベーターホールからデッキにでる箇所のドアは手動で、ドアの下にはデコボコがあります。車椅子では介助者にドアを押えてもらい、かつ慎重に通過する必要があります。
施設の横に畑があり、シーズンは花摘みや野菜の収穫体験が楽しめます。ただし段差がある未舗装面なので、車椅子での利用は困難です。施設の裏側には芝生広場があり足湯があります。広場の中央にワイルドな浴槽があり、その縁を跨いで利用します。足腰に不安のある人には、利用が難しい構造の足湯です。
鴨川オーシャンパークは、青い空と海に囲まれた素晴らしい環境にある施設です。しかし凝った設計の弊害と施設の老朽化により、車椅子での利用には事前知識が必要な道の駅です。
(2021年2月に執筆しました)