山種美術館「花・華」展 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

2019年、山種美術館は「広尾開館10周年記念特別展」として6本の企画展が開催されます。「奥村土牛」に続く第二弾は「花・Flower・華 -四季を彩る-」。2019年4月6日から6月2日の開催です。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

車椅子でみる 山種美術館「花・華」展 バリアフリー情報

花を題材にした名画を60点弱展示する企画展です。江戸時代の酒井抱一から、明治の菱田春草、昭和の横山大観、加山又造などなど。季節ごとの展示からテーマ別の展示へと会場は流れます。

日本画の展示会としては珍しいほど、華やかな企画展です。同じ花を描いても、画家による解釈やメッセージの違いが楽しめます。

車椅子でみる 山種美術館「花・華」展 バリアフリー情報

山種美術館は恵比寿駅から徒歩10分ほどの距離。目の前の道路はパーキングメーターが設置されています。

身障者専用1台分の駐車場があります。利用は事前予約制です。建物屋内駐車スペースですが、いったん外を通るので雨天は濡れます。また駐車スペースは狭く、停めにくい駐車場です。

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エントランスはフラット構造です。受付は1F、展示室はB1。バリアフリートイレは1Fにあります。1Fのカフェはフラット構造で車椅子での利用は可能です。B1の展示室内も段差はありません。B1のミュージアムショップは通路に余裕がなく、車椅子1台分の通行がギリギリです。それでも混雑していなければ、車椅子で利用できます。

山種美術館の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。

車椅子でみる 山種美術館「花・華」展 バリアフリー情報

山種美術館「花・華」展は、障害者手帳の提示で本人と介助者1名の観覧料が無料に減免されます。1F受付で手帳を提示して入館手続きを行います。

受付の先、左側に業務用の大型エレベーターがあります。エレベーターは1FとB1専用。問題なく車椅子で利用できます。

B1の展示室入口手前に「出品リスト」が置かれています。展示室入口のドアは自動ドアです。

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展示方法はオーソドックスな壁掛け展示です。広さにゆとりある鑑賞路から、車椅子で展示作品をみることができます。極端な混雑状況でない限り、車椅子での鑑賞に大きな問題はありません。

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展示の第一章は「春から夏、輝く季節」。桜、牡丹、花菖蒲、薔薇、百合、朝顔、向日葵などを題材にした、名だたる画家の作品が並びます。

第二章は「秋と冬の彩り、再び春へ」。なでしこ、桔梗、菊、椿、そして梅へと展開します。

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次のコーナーは「花のユートピア」。密度の濃い、知られざる花の名画が展示されます。

最後は「花と人」。人物とともにストーリ性のある花の絵画が展示されます。

鑑賞者の好みですが、この2つのコーナーは、特に見応えがあります。

車椅子でみる 山種美術館「花・華」展 バリアフリー情報

山種美術館「花・華」展は、理屈抜きで感覚的に楽しめる企画展です。日本画の鑑賞に慣れていない人にもお薦めします。

山種美術館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

広尾の地に建つ「山種美術館」は、バリアフリーな美術館です。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

車椅子で快適に利用できる美術館です。駒沢通りから入る正面エントランスは、フラットな路面で自動ドア。エントランスホールの左手に受付があります。

山種美術館の展覧会は、2020年3月中旬までは、障害者手帳の提示で本人と介助者1名の観覧料が無料に減免されていました。2020年3月14日より障がい者減免制度が変更になり、本人と介助者1名の観覧料が団体料金に減免されます。

バリアフリートイレは1Fにあります。展示会場は地階です。車椅子利用者は受付横にある大型エレベーターで地階に下ります。展示会場はフラットな構造です。車椅子での観覧に大きな問題はありません。

山種美術館

地階展示会場の通路は広く、通常は車椅子で快適に移動できます。展覧会の会期末など、とても混みあうこともありますが、それでもメイン展示室はそれほど苦労をせずに車椅子で利用できます。

混雑時に車椅子が苦戦するのは、通路が狭い地階のミュージアムショップと、特別展示室へ向かうやや狭い通路です。混雑時に展覧会を訪れた際は、ミュージアムショップと特別展示室の無理な利用は避けた方がよいでしょう。

山種美術館

車椅子利用者が見逃す可能性がある作品の紹介です。B1へ向かう階段の横に加山又造作の陶板壁画「千羽鶴」が展示されています。階段を利用せずにエレベーターで地階へ行くと、気が付かない可能性があります。車椅子では1Fホールから鑑賞できます。

山種美術館

1F受付の奥に「CaFe椿」があります。人気のカフェで満席のこともしばしばあります。展覧会をイメージした創作和菓子メニュー、イタリア製の調度品、窓の外は銀杏並木、素敵なカフェです。車椅子でも利用できます。ただし混雑していることを想定して利用を計画してください。

美術館内は素晴らしいバリアフリー設計ですが、車椅子利用者にとって山種美術館の最大の課題はアクセスです。恵比寿駅から徒歩10分、またはバスの利用が一般的です。車の方は、美術館前の通りにパーキングメーターが設置されていますが、美術館の近くはすべて満車という可能性はあります。また美術館に車寄せは無いので、タクシー利用でも雨の日は濡れます。

山種美術館

山種美術館に一般駐車場はありませんが、身障者用の駐車場が1台分あります。駐車場は予約制です。公開されているハローダイヤルに電話を入れ、予約が出来る電話番号を確認します。予約は先着順で2時間制です。

身障者用駐車場は美術館の建物の一角で、通常の入口の北側です。入口まで来たら美術館に電話を入れ、到着したことを連絡します。入口はシャッターが閉まっています。ほどなくスタッフが来て、シャッターを手動で開けて下さいます。その間は道路上で待機することになるので、右折入庫は事実上出来ません。美術館には六本木方面からアクセスしてください。

車椅子で行く山種美術館

身障者駐車スペースは、機械式駐車場入庫口の手前の左側に1台分。とても狭い駐車スペースです。回転盤を利用した、高いハンドル技術が必要な駐車場です。

山種美術館

山種美術館の概略です。山種証券創業者の山﨑種二氏が集めた、日本画コレクションを展示する美術館です。

山種美術館が最初に日本橋兜町に誕生したのが1966年。その後、千代田区三番町に仮移転したのが1998年。この広尾の地に移転したのが2009年。長い歴史と最新のバリアフリー設備が同居する美術館です。

アクセス方法には多少悩みますが、館内は上質なバリアフリー空間です。山種美術館は車椅子で快適に利用できる美術館です。

港区南青山にある「根津美術館」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年の取材に基づいています)