栃木蔵の街 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

栃木市は江戸時代宿場町で、当時の繁栄を今に伝える「蔵の街」です。観光スポットは必ずしもバリアフリーではありません。車椅子で楽しめる観光コース情報を紹介します。

観光地としては「蔵の街大通り」沿道と、「重要伝統的建物群保存地区」に分かれます。いずれも江戸時代に発達した「例幣使街道」の一部です。

「例幣使街道」とは、朝廷からの日光東照宮への勅使「例幣使」が通った街道のこと。北関東には幾つも、当時の繁栄を今に伝える「例幣使街道」スポットがあります。

栃木もその一つで、蔵が建つほど人と物資が集まった街です。海運を支えたのは栃木をながれる「巴波川(うずまがわ)」。この川の流れも観光ポイントの一つです。

蔵の街の歴史と概要

栃木駅から徒歩でアクセスできますが、蔵の町の中心エリアまでは1km以上あります。駐車場は複数あるので車の利用が便利です。

観光駐車場として有料の「蔵の街第一駐車場」があります。 身障者用駐車区画が2台分あり、「とちぎ山車会館」や「とちぎ蔵の街美術館」を利用すると、駐車料金が無料に減免されます。

車椅子利用者にお薦めなのは、市役所新庁舎裏の無料駐車場です。1Fに東武百貨店が入店している庁舎で、身障者用駐車区画があります。また施設内には綺麗なバリアフリートイレがあります。

栃木蔵の街

蔵の街大通り沿道の主な観光施設のバリアフリー状況です。「まちの駅コエド市場」はバリアフリー施設です。店舗内にはバリアフリートイレが用意されています。フリー飲食ゾーンは車椅子で利用できます。

まちの駅コエド市場

「とちぎ蔵の街観光館」は車椅子で利用できます。

「とちぎ山車会館」は、2フロア構成ですがエレベーターがあり、車椅子で利用できます。入館料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。

とちぎ山車会館

ただしメイン展示の山車の前の観客席には、車椅子用のスペースはありません。ベンチシート横のスペースから、車椅子で山車紹介ショーを観覧します。

とちぎ山車会館

隣接する「とちぎ蔵の街美術館」は、観覧料の障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で入館料は無料になりますが、一部段差のある施設です。

とちぎ蔵の街美術館

「山本有三ふるさと記念館」も障がい者減免制度があり、入館料は無料になりますが、段差構造の施設で車椅子では見学できません。

山本有三ふるさと記念館

「山本有三ふるさと記念館」のスタッフの話によると、記念館の建物は山本有三の生家ではなく、生家もきっとこんな家だったろう、という古い家なのだそうです。古い家をそのまま保存しているので、バリアフリーではなくてすみません、というお話でした。

山本有三ふるさと記念館

重要伝統的建物群保存地区のバリアフリー状況です。重要伝統的建物群保存地区は、古い街道筋をブラブラとお散歩を楽しむエリアです。路面状況は良好なので、車椅子でのお散歩は可能です。

重要伝統的建物群保存地区

重要伝統的建物群保存地区で立ち入ることが出来る観光施設は「岡田記念館」だけです。550年以上続く旧家の屋敷で、バリアフリーではありません。車椅子では行けるとこまでです。

「蔵の街大通り」も含めて、古い蔵や家をそのまま利用した商店、飲食店が数軒あります。車椅子で店中に入ることが出来るお店も幾つかありますが、古い蔵や家ですから、基本はバリアフリー構造ではありません。車椅子では無理のない範囲での利用になります。

重要伝統的建物群保存地区

「栃木蔵の街」の車椅子観光お薦めコースです。車でアクセスして市役所新庁舎裏の駐車場に停め、庁舎でトイレを借りる。「重要伝統的建物群保存地区」と「蔵の街大通り」沿道を無理のない範囲で散策し「とちぎ山車会館」に立ち寄る。最後に市役所新庁舎内の東武百貨店で、お土産を見る。このコースなら、車椅子で無理なく観光できます。

栃木市の新観光名所「岩下の新生姜ミュージアム」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年1月の取材に基づいています)

岩下の新生姜ミュージアム 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

2015年に誕生した入場無料の施設です。開館以来、展示内容の充実、そしてバリアフリー化が進み、今や栃木市を代表する観光名所になりました。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

岩下の新生姜ミュージアム 車椅子利用ガイド

栃木駅から徒歩12分の案内です。周囲に極端な坂道はなく、ほぼフラットな舗装歩道を通行するので、車椅子での移動は可能です。

車利用の場合は、来園者用無料駐車場が第1から第4まであります。身障者用駐車スペースは第1駐車場に1台分用意されています。第1駐車場は8台収容の狭い駐車場。今回取材時は満車の表示でしたが、スタッフに車椅子利用を相談したとこら、空いていた1台分の身障者用駐車スペースに誘導していただけました。

岩下の新生姜ミュージアム

エントランスは階段構造ですが、身障者用駐車スペースの横に段差回避スロープが用意されています。

岩下の新生姜ミュージアム 車椅子利用ガイド

施設の出入口は幅の広い自動ドア。ドアの下に気になる段差はありません。車椅子で問題なく通行できます。

岩下の新生姜ミュージアム

建物内に入ると、すぐ左側に受付があります。ここで簡単な記帳をして入館します。

展示室のバリアフリー状況です。館内はすべて写真OK。インスタ映えスポットが多々用意されています。

岩下の新生姜ミュージアム 車椅子利用ガイド

最初に展示される記念撮影ポイント、新生姜パッケージの中には、一般サイズの車椅子なら入ることができます。

岩下の新生姜ミュージアム

移動通路、展示コーナーのスペース、いずれもゆとりがあります。ほぼすべての展示は、車椅子で問題なく見学ができるバリアフリー仕様です。開館当初よりも、この点は改善されています。

岩下の新生姜ミュージアム 車椅子利用ガイド

週末に限り、30分おきに5分間、「世界一大きな新生姜ヘッド」にプロジェクションマッピングが投影されます。

岩下の新生姜ミュージアム

車椅子から観覧できます。早めに行き、良いポジションを確保してください。

岩下の新生姜ミュージアム

バリアフリートイレは、ミュージアムの最も奥、ジンジャー神社の裏側にあります。出入口は横開きドアではなく前開きの開閉式手動ドアですが、個室のドアは横開きで、室内はスペースに余裕があり、ウォシュレット付き便器が備えられています。

岩下の新生姜ミュージアム

以前は手前にロープがあり、それをどけて利用する構造でしたが、利用しやすいバリアフリートイレに改良されています。

岩下の新生姜ミュージアム

エントランス近くに、軽食コーナーとミュージアムショップがあります。どちらも開館当初よりもスペースに余裕ができました。十分に車椅子で利用できます。コロナ対策だと思われますが、以前あった、レストランでの新生姜食べ放題はなくなっています。

今回5年ぶりに取材しました。バリアフリー化への細やかな配慮とともに、展示内容の進化に驚きました。よくぞここまで蒐集したと感心する資料やグッズ。様々なキャラクター、モノ、コトと新生姜のコラボレーション。アイディアあふれる小物やアクセサリー。参加型の企画もあります。館内に流れる音楽も、CMソング一色ではなく、趣向が凝らされています。開館当初に比べ、面白さは数段レベルアップしています。

岩下の新生姜ミュージアム

新生姜発売20周年を記念して、2007年に入館料300円の有料美術館「岩下記念館」が誕生しました。それが2015年に改装されて「岩下の新生姜ミュージアム」へ。現在では栃木市を代表する観光名所です。

栃木の景勝地「太平山謙信平」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年5月に書き直しました)

とちぎ花センター 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

栃木県栃木市岩船町の「とちぎ花センター」は車椅子で利用できる施設です。キャラクターは花の妖精「とちはなちゃん」。有料の温室は「とちはなちゃんドーム」。ショップは「とちはなちゃんのお花屋さん」。カフェは「とちはなちゃんのはなカフェ」です。

アクセスは車が便利。「とちぎ花センター」の駐車場があり身障者用駐車区画の用意があります。また「みかも山公園」に隣接した施設なので、「みかも山公園」の無料駐車場も利用できます。

移動距離は「とちぎ花センター」専用駐車場が近いのですが、裏側からの入場になります。「みかも山公園」駐車場から来ると正面ゲートに出ます。どちらからでも車椅子でのアクセスに大きな問題はありません。

大温室の「とちはなちゃんドーム」は有料の施設ですが、観覧料の障がい者減免制度があり、本人と等級により介助者1名が無料に減免されます。

他には前出のショップ「とちはなちゃんのお花屋さん」と「とちはなちゃんのはなカフェ」があり、どちらも車椅子での利用は可能です。バリアフリートイレは「とちはなちゃんのはなカフェ」の棟にあります。

屋外施設は「大花壇」と「バラ園」です。大花壇の横の通路は階段ですが、中央広場から花壇を眺めるのなら車椅子からでも問題はありません。また段差を迂回するスロー往路もあります。バラ園は約600品種のバラが1200株植栽されています。他に「展示温室」「体験温室」があります。

メイン施設「とちはなちゃんドーム」を紹介します。自動ドアの入口から館内に入ると受付があるので入館手続きをします。

温室への出入口も自動ドアです。ドーム内の通路はフラットで極端な傾斜はありません。「滝の裏」にまわる迂回ルートは段差があるので車椅子では不可。車椅子では滝の表側のルートを通行してください。

一棟建ての立ての温室としては国内最大級ということ。本当に珍しい植物が栽培されています。規模に加えて植栽の質も一級の温室です。

一般的な植物園の温室に比べて、植栽の解説が詳しいのが特徴です。面白い雑学的なネタも紹介されています。花の開花時や実がなっている時の写真が展示されている植栽もあり、理解が深まります。

季節に合わせた企画展示は力が入っています。珍しい植物の花や実を「試食」する企画を毎月開催しています。注意点としては「とちはなちゃんドーム」内は冷房がありません。夏は室内は暑くなります。

「とちぎ花センター」は車椅子で利用できるバリアフリー施設で、大規模で展示の質が高い有料の温室は、観覧料の障がい者減免制度があります。

隣接する「いわふねフルーツパーク」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2024年9月に加筆しました)