栃木県のバリアフリーホテル 馬頭温泉 なかが和苑 車椅子宿泊ガイド

栃木県那珂川町の「なかが和苑」は、昭和58年に障害者保養センターとして誕生。現在は東京都障害者休養ホーム施設として営業しているバリアフリーホテルです。そもそもが障がい者のための施設として設計されているので、一般的な温泉宿泊施設とは次元が違うバリアフリー環境が魅力のホテルです。

アクセスは車が便利。最寄駅からの送迎サービスもあるそうです。広い駐車場があり、エントランスの横には身障者用駐車スペースが設けられています。

なかが和苑

エントランス前の屋根の下に車を付けることができます。雨天でも運転者以外は濡れずに乗降できます。

なかが和苑

なかが和苑はエントランスで靴を脱いでスリッパに履き替えます。車椅子の方は、タイヤを拭いて入館します。

館内は徹底してフラットな構造でスペースに余裕があります。そしてすべての壁に手すりが設置されています。車椅子利用者に限らず、多くの人にとって利用しやすい環境です。

なかが和苑

2フロア構造の施設で大型のエレベーターが設置されています。なかが和苑の魅力の一つは、スペースに余裕があるお部屋。いくつかタイプがありますが、いずれのお部屋も十分なスペースがあるバリアフリールームです。

なかが和苑

余裕のあるスペースにテーブル等が配置されています。複数人でくつろげるお部屋です。

なかが和苑

洗面やトイレなどもフラットでスペースに余裕があります。車椅子で使いやすいお部屋です。

なかが和苑

美人の湯が楽しめるお風呂は合計5つ用意されています。男女別大浴女の他に大きな家族風呂もあり、1時間貸し切りで利用できます。いずれのお風呂もスロープで浴槽に入ることができる構造。そして様々なタイプのシャワーキャリーが用意されています。利用者の状態にあったシャワーキャリーを選び、利用しやすいお風呂を選び、シャワーキャリーに乗ったまま、馬頭温泉美人の湯に入浴します。浴室内ももちろんバリアフリー。車椅子利用者が入浴しやすい天然温泉です。なかが和苑のHPにシャワーキャリーとお風呂の写真があるので、ぜひご参照ください。

馬頭温泉「なかが和苑」は、車椅子にのったまま温泉が楽しめるバリアフリーホテルです。

(本稿は2025年9月に執筆しました)

「那珂川町馬頭広重美術館」のバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。

いわむらかずお絵本の丘美術館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

栃木県那珂川町にある美術館です。開館は1998年。絵本作家のいわむらかずお氏が自ら建てた個人美術館で、館内はバリアフリー仕様です。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

アクセスは車です。えほんの丘、里山と紹介されていますが、感覚的には山中に建つ美術館です。里山には「えほんの丘フィールド」「えほんの丘農場」があると紹介されていますが、この2つは車椅子での利用は困難なワイルドな施設です。

県道から山中への道へ入ります。美術館への道は、舗装路ですが途中から狭くなり、車のすれ違いができない区間が約1.5km続きます。ところどころにあるすれ違い可能な箇所を利用して、譲り合って運転して下さい。

美術館のかなり手前に、P4の案内があります。そのまま進むとP3、P2、そして美術館に最も近いP1があります。一般車両はP1までが進入可能域です。

P1から美術館エントランスまでは、傾斜のきつい坂道です。身障者用駐車スペースが1台分だけ、エントランスの横に用意されています。車椅子利用者は一般車両進入禁止の掲示板の横を通行して、身障者用駐車スペースを目指してください。駐車スペースは広く、車椅子で余裕をもって乗降できます。

いわむらかずお絵本の丘美術館

身障者用駐車スペースからは、ほぼフラットな舗装通路を移動して美術館エントランスに移動できます。出入口は自動ドアです。

いわむらかずお絵本の丘美術館

館内に入るとすぐ右側にバリアフリートイレが1つあります。設備はシンプルですが、綺麗なトイレです。ユニバーサルベッドはありません。

受付で入館手続きを行います。いわむらかずお絵本の丘美術館は、観覧料の障がい者減免制度はありません。

展示室のバリアフリー状況です。展示室は、子供向けのプレイルームが1室、展示室が3室あります。床面はフラットでスペースや通路幅は余裕があります。展示室内の車椅子での移動、展示の鑑賞に大きな問題はありません。

興味があれば大人でも十分に楽しめる展示ですが、基本的には子供向けの美術館です。小さな子どもを連れた家族の来館が多いようです。

受付の先の左側の一段低いフロアがミュージアムショップとカフェです。低いフロアへはスロープで移動します。

いわむらかずお絵本の丘美術館

ショップとカフェはスペースに余裕があり、かつフラットな床面で、車椅子で利用できます。

いわむらかずお絵本の丘美術館

いわむらかずお絵本の丘美術館

カフェの窓からは、美しい里山の風景を臨むことができます。

いわむらかずお絵本の丘美術館

車でアクセスして、身障者用駐車スペースを利用できれば、「いわむらかずお絵本の丘美術館」は車椅子で問題なく利用できる美術館です。

那珂川町にあるハンディキャップをもつ人の作品が展示される「もうひとつの美術館」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2020年9月に執筆しました)

廃校でアート鑑賞「もうひとつの美術館」車椅子バリアフリー情報

栃木県那珂川町の里山にある、明治大正時代に建築された小学校の校舎を活用した美術館です。そしてハンディキャップをもつ人の芸術活動をサポートする「認定特定非営利活動法人もうひとつの美術館」の活動拠点です。

古い建物なのでバリアフリーとは言えませんが、車椅子で利用できないことはありません。車椅子から見た現地の状況を紹介します。

もうひとつの美術館

建物は旧小口小学校の2棟の校舎を活用しています。現在の美術館事務棟は明治時代の建築物、そして展示棟は大正時代の建築物です。小口小学校が閉校になった記録を確認すると2001年なので、21世紀まで学校として利用されていたことになります。

現在来館者用の駐車場になっているのは、学校の裏庭です。校庭であったとおもわれる前庭は、2棟に囲まれて、そのままの姿で残されています。

美術館としては、「みんながアーティスト、すべてはアート」をコンセプトにして、春夏秋の年間3本の企画展が開催されています。その他にイベント、ワークショップなども開催されます。

もうひとつの美術館

事務棟内には、カフェとミュージアムショップが営業しています。

里山にある美術館です。アクセスは車です。駐車場はフラットな未舗装路面です。一般来館者の駐車場から美術館入口への経路は、事務棟の横を抜け、旧校庭側にまわります。この間の通路の路面は荒れていて、車椅子での移動は苦戦します。

もうひとつの美術館

駐車場側からの事務棟への通用口に、ラフな構造ですが簡易スロープが設置されています。駐車場からスロープまでの短い区間の路面は荒れていますが、無理をすれば車椅子で通行できます。そしてラフなスロープを上がることが出来れば、館内に入ることができます。

もうひとつの美術館

館内は土足禁止ではありません。車椅子のまま利用できます。館内に入れば、車椅子での移動は可能です。ただしバリアフリートイレはありません。

通用口から歴史のある木造校舎のなかを車椅子で進むと、本来の入口近くにある受付に着きます。

もうひとつの美術館の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が半額に減免されます。受付に障害者手帳等を提示して減免措置を受けてください。

観覧手続きを済ませて、大正時代の校舎である展示棟に移動します。大変古い板張りの渡り廊下ですが、車椅子で移動可能です。貸し出し用の車椅子があります。

もうひとつの美術館

この渡り廊下から、校庭側に下りるラフなスロープが設置されています。少し無理をすれば、車椅子で旧校庭に降りることができます。

もうひとつの美術館

展示棟へは引き戸のサッシを開けて入ります。

もうひとつの美術館

棟内は昔の教室そのままです。それを活用して3つの展示室があります。

もうひとつの美術館

大正時代の校舎の廊下を通り、展示室を移動します。

もうひとつの美術館

教室の出入口など、小さなデコボコがある箇所もありますが、気を付けて移動すれば、全ての展示室を車椅子で問題なく観覧できます。

もうひとつの美術館

もうひとつの美術館

展示棟はエアコンが用意されています。

もうひとつの美術館

事務棟側のバリアフリー状況です。なお事務棟には冷房設備はありません。

ショップとカフェはスペースに余裕があります。床面はほぼフラットなので、車椅子での移動は問題ありません。テーブル席も稼働タイプがあるので車椅子での利用は可能です。

もうひとつの美術館

窓越しに旧校庭と現展示棟を臨むことができます。

もうひとつの美術館

建物への出入り箇所はバリアフリーとはいえませんが、そこを何とかクリアできれば、もうひとつの美術館は車椅子で観覧できます。

隈研吾氏が設計した「那珂川町馬頭広重美術館」のバリアフリー状況を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2020年9月に執筆しました)