古社「玉敷神社」が鎮座する聖地にして「旧河野邸」の敷地が公開されている、埼玉県加須市騎西にある樹齢450年以上の大藤で有名な公園です。今回の取材日は藤ではなくアジサイの季節。玉敷公園はアジサイの名所でもあります。車椅子から見た現地の状況を紹介します。
アクセスは車が便利です。来園者用の無料駐車場があり、20台程度を収容。身障者用駐車スペースは1台分あります。大藤の開花時期は、近隣に臨時駐車場が開設されます。今回取材時も満車でした。その場合2~3台程度なら、駐車場の入口で空き待ちができます。駐車場の出入口は151号線側と神社側の2か所ありますが、151号線側の入口で空きを待つのがローカルルールです。
玉敷神社の参拝者用駐車場は別にあります。公園駐車場の神社側出入口の先にあり、10台程度を収容します。近年整備された新しい駐車場です。
樹齢450年以上とされる大藤。百畳敷は大げさな表現ではなく、枝が伸びる竹の囲みはとても広い空間です。その周囲は未舗装路面ですが、路面は固いのでデコボコ箇所を避けて進めば車椅子で近づけます。ただし開花時は大混雑するので、車椅子での大藤鑑賞はおそらく簡単ではないでしょう。
大藤の他にも、周囲には巨大な藤が何本もあります。そのなかには舗装路面を通り、花の下まで移動できる木があります。鑑賞しやすい場所から、近づきやすい藤を楽しむことは出来そうです。
一般的によくあるタイプの藤棚もあります。舗装路面から問題なく車椅子で鑑賞できるでしょう。
大藤の奥には大きな碑が建つ広場がありますが未舗装路面。路面が固いので、少し無理をすれば車椅子が動きました。
玉敷神社は創建が8世紀とも、2世紀とも伝承される古社です。公園の駐車場から少し移動すると、参道の入口があります。
その先に一の鳥居。参道は社殿の手前まで舗装道路が整備されています。
社殿域に入る箇所が2段の段差があり、段差回避スロープはありません。
車椅子で無理をして進むとすると、鳥居の下は避けて、両脇の砂利路面に迂回して横から社殿域に入ります。ただし砂利が深いので、車椅子通行は苦戦します。
拝殿の賽銭箱の手前には段はありません。本殿は江戸時代の造営。拝殿は明治時代の造営です。
神楽殿では国の重要無形文化財に指定されている「玉敷神社神楽」が祭礼の際に奉奏されます。
境内には八坂神社などお末社がいくつも祀られています。
「旧河野邸」の状況です。國學院大學の学長を務めた、河野省三氏の邸宅跡地が一般公開されています。
河野家は玉敷神社の神官の家柄。省三氏も玉敷神社の社司を務めながら教鞭をとっていました。家屋は現存せず、門やお庭が残されています。
この門は通用口が開放されていますが、段差構造のため車椅子では通行できません。
お庭には藤棚とアジサイが植栽されています。そして存在感のある巨大なしだれ桜が一本。舗装通路があるので、車椅子でお庭を一周できます。
見どころの一つ、鳥居と祠。
案内板に紹介されている「水琴窟」はこれです。
藤、アジサイ、そして桜。玉敷公園はお花を楽しむ公園です。今どきのバリアフリー施設ではありませんが、無理のない範囲から車椅子でお花を楽しむことができます。
(本稿は2021年6月に執筆しました)