旧里見村、現在では常陸太田市里見地区にある道の駅です。1995年に開業しました。

建物屋根と東屋のデザインモチーフは「傘」。1991年に、里見地区周辺と米国カリフォルニアで高さ6ⅿの巨大な傘を立てる「アンブレラ・プロジェクト」が行われたことに由来します。
アーティストの「クリスト」と「ジャンヌ=クロード」によるプロジェクトで、里見地区に青色1,340本、カリフォルニアに黄色1,760本の巨大なアンブレラが立ち開きました。開催期間は18日間。費用はすべて主催者2人のアーティストが負担したプロジェクトです。以上の歴史的なプロジェクトを思いながら、「道の駅さとみ」の外観をご覧ください。
歴史ある施設なので、今どきのバリアフリー設計ではありません。山の傾斜地に建つので、駐車場と施設棟に高低差があり、通常ルートは駐車場から階段で施設棟に上がります。駐車場には身障者用駐車区画が2台分設定されていますが、一般駐車区画と全く同じサイズの駐車スペースです。

この身障者用駐車区画の横に、施設棟に上がる折り返しスロープ路があるので、車椅子利用者は身障者用駐車区画またはその近くに駐車すると便利です。

半独立型のトイレ棟にバリアフリートイレが1つあります。

スペースは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイトが備えられています。ユニバーサルベッドはありません。

直売所のバリアフリー状況です。直売所はフラットな床面で、車椅子が通行可能な通路幅が確保されています。地元農家の季節の野菜、自家製麺のそば・うどん、手作りのお漬物などが並びます。
里見地区には関東地方有数の規模を誇る里見牧場があります。里見牧場ブランドの牛乳、ヨーグルトなどの乳製品は人気です。

レストランのバリアフリー状況です。直売所の続きにあるレストランは、床面がフラットで可動式のテーブル席で、車椅子で利用できます。自慢のメニューはうどんと蕎麦。「天ざる合わせもり」などが人気です。他にカレーなどを提供するテイクアウトコーナーがあります。
施設棟内の情報コーナー、直売所、レストランは、アンブレラモチーフの屋根の下にある屋内空間です。見上げると、傘の裏側が見える構造。屋根の外観デザインを思い出しながら、屋内から高い天井を見上げるのも一興です。

情報コーナーの横に、ウッドベンチが配置されたフリースペースがあります。

駐車場とアンブレラ屋根の施設棟は高低差がありますが、「道の駅さとみ」の施設棟は、車椅子で利用できる段差のない構造です。
常陸太田市にあるJA常陸の直売所「さとの径」と「せやの径」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2021年7月に執筆しました)