千葉県習志野市の「谷津干潟自然観察センター」は、室内から車椅子でバードウォッチングが楽しめる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

ラムサール条約の登録湿地「谷津干潟」を観察する習志野市立の施設です。
谷津干潟公園のセンターゾーンに位置する2フロア構造のセンターで、冷暖房の効く館内からガラス越しに干潟を観察出来ます。

有料施設ですが障がい者減免制度があり、習志野市内に在住または通所している障がい者は、本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。
アクセスは新習志野駅から徒歩20分の案内です。車椅子利用者は車の利用が便利です。谷津干潟公園に無料駐車場があります。もっとも公園に近い場所に身障者用駐車区画が用意されています。

駐車場から公園に入り、舗装路を進むと「谷津干潟自然観察センター」に着きます。

この間、車椅子での通行が困難なほどのデコボコはありません。

エントランスから館内に入ります。左手に入館料の自販機と受付があり、入館手続きを行います。1F館内は一部段差がありますが、段差回避ができるスロープルートが用意されています。

そのまま進むと「谷津干潟区」を正面にみる広い「観察スペース」があり、自由に使用できる望遠鏡、双眼鏡が多数置かれています。様々なタイプがあるので、車椅子で利用できる望遠鏡、双眼鏡を借りて干潟を観察することが出来ます。

反対側の窓からみえるのは「淡水池」です。こちらも車椅子から観察できます。

「キッズコーナー」では、干潟の生き物に関するクイズ展示などが用意されます。

エレベーターが1基あり、B1へ車椅子で移動できます。

B1も「谷津干潟区」を正面にみる「観察スペース」です。1Fよりも低い目線になるので、近くの干潟の生き物の観察に適しています。

B1には他に、小規模な「図書閲覧コーナー」と「企画展示コーナー」があります。

B1フロア全体、車椅子で利用できるフラットな構造です。

トイレは1Fです。バリアフリートイレは1つ用意されています。スペースは一般的な広さで、シンプルな設備のトイレです。一般トイレの個室は和式が多いようです。

館内1Fにカフェがあり、ランチメニューも提供されています。店内はフラットでスペースに余裕があり、可動式テーブル席があるので、車椅子で利用できます。

センター館内の主な施設は以上です。次に屋外の施設を紹介します。

淡水池を監察する屋外の無料施設があります。

上下二段の観察用の穴があり、下段は概ね車椅子目線に合う高さです。

谷津干潟の歴史を紹介します。谷津干潟は長方形をした干潟です。元々長方形であったわけではなく、周囲が埋め立てられた結果、人工的に長方形の干潟が残りました。
1970年代までに、次々と周囲の干潟が埋め立てられた中で、土地の所有が大蔵省であったため、開発を免れた干潟です。1980年代になると、湾岸道路が開通。干潟の上を道路が走る現在の姿になりました。1993年にラムサール条約登録。1994年に「谷津干潟自然観察センター」がオープンしました。
周囲がすべて埋め立てられた長方形の干潟なので、近年はアサオの繁茂と腐敗、ゴカイの減少などの環境劣化が激しく、鳥類の飛来数が減少しています。

「谷津干潟自然観察センター」は、暑い日も寒い日も、快適な室内から車椅子で干潟の観察、バードウォッチングを楽しめる施設です。
東京都大田区の「東京港野鳥公園」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2019年9月の取材に基づいています)