千葉県市川市中山にある大寺院です。日蓮宗大本山中山法華経寺は、日蓮大聖人が最初に開かれた五勝具足の霊場。現在でも毎年冬には、100日間に及ぶ「日蓮宗大荒行堂」が開設されます。境内は広く、路面は車椅子向きとは限りません。また今回の取材では、バリアフリートイレは発見できませんでした。それでもとても魅力のあるお寺です。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

京成中山駅から徒歩5分の案内です。駅のすぐ近くに「総門」があり、趣のある参道が始まります。
参拝者用の無料駐車場が用意されています。場所は「本院・大客殿」の横。駐車場は広く、普通車が40台から50台程度は駐車できます。ただし途中の道が狭いので、大型バスの駐車場は別に用意されています。駐車場には身障者用駐車スペースの設定はありませんが、ほぼフラットな舗装路面の駐車場なので、スペースに余裕のある区画を選べば車椅子乗降は可能です。駐車場にある巨木が、名刹古刹の雰囲気を漂わせます。

車椅子からみた国指定重要文化財「祖師堂」の状況です。境内の通路は、未舗装路面または小さなデコボコがある舗装路面が多く、車椅子やベビーカーで快適な移動ができる区間はごく一部です。

祖師堂周辺の通路も、問題なく車椅子で移動できる区間は限定的です。

特に香炉の横を通過する際には、片方の車輪が砂利と石にあたり、苦戦しました。

手水舎は車椅子からは手が届きにくい形状。介助者がいれば何とかなります。

祖師堂の賽銭箱がある参拝所は、すべり止め木製付急坂スロープの上。かなりの傾斜角度で、車椅子では上り下りが怖いスロープです。頑張れば行けないスロープではありませんが、無理のないようにお参りしてください。

祖師堂を横からみると、屋根が連なる構造がわかります。

「大祖師堂」と刻まれた、巨大な碑が建立されています。

いずれも車椅子では苦戦する路面を通行しますが、祖師堂の周辺だけでも、境内には見どころが多々あります。
これは「日蓮上人像」。比較的楽に、車椅子で近づけます。

続いて「大仏」様。階段の上に鎮座しています。

大迫力の「五重塔」。国指定重要文化財です。

五重塔の周りには柵があり、塔の下には近づけません。

五重塔と比較すると、大仏様はそれほどの大きさではありません。

「鐘楼堂」は階段の上。立入禁止です。

「宝殿門」の下は階段路です。

その他にも、様々な見どころがあります。

中山法華経寺でバリアフリーな施設は「本院・大客殿」です。正面入口付近まで、小さなデコボコはありますが、舗装路面が整備されています。

正面は8段の階段構造です。

段差回避スロープが正面右側に設置されています。

傾斜角度は緩やかなスロープです。

土足禁止の施設で、玄関には段差がありますが、ここにも段差回避スロープが設置されています。

廊下の奥にみえるのが「鬼子母神堂」です。

入口天井近くに飾られる縁起物も見どころ。

「鬼子母神堂」の入口まで、段差のない廊下が続きます。

境内は広く、車椅子で散策できないエリアがあります。移動可能な範囲でも、必ずしも快適なバリアフリー路面が整備されているわけではありません。車椅子では移動に制約がありますが、無理なく動ける範囲だけでも、中山法華経寺は見どころが多々ある、お参りしていただきたい大寺院です。
下総国総鎮守「葛飾八幡宮」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2021年5月に執筆しました)