東京都文京区本駒込の「目赤不動尊」は町歩きツアーの人気スポットの一つ。車椅子でお参りが出来るお堂です。
本駒込駅から徒歩4分の案内です。参拝者用の駐車場はありません。
本郷通りに面した分かりやすい場所に建つ古寺です。正面入口には対の門柱があり、左の門柱に「目赤不動尊」、右が「南国寺」と刻まれています。
南国寺は小規模なお寺ですが、趣のある寺です。目赤不動尊は江戸時代に庶民の信仰を集めました。
大戦の空襲で本堂とお堂は焼失し、現在の施設は戦後に再建されたものですが、お堂とその前に並ぶ六体のお地蔵さんは、江戸時代の様子を今に伝える雰囲気があります。
境内の入口に段差はありません。通路は舗装されています。お堂の前に段がありますが、車椅子境内に入り、お堂、本堂に近づくことは可能です。
境内に入ると正面が南国寺本堂。目赤不動尊のお堂は右手です。
不動尊が鎮座するお堂は、通常は扉が閉まっています。
扉までは3段の段があるため、車椅子で近付くには限界がありますが、お堂の扉は格子のガラス張り構造で、かすかに中が透けて見えます。目を凝らすと、不動尊のお姿が見えます。
お堂の扉を開けて参拝できます。段の上にある扉なので、車椅子利用者は健常な人との同行をお薦めします。
目赤不動尊の由来です。南国寺の開祖は万行律師。三重県の赤目山で修業し、不動明王を授かって江戸へ。南国寺を創建し、当初は目赤ではなく、赤目不動尊と称していました。
三代将軍家光が鷹狩の途中に立ち寄り、「目黒・目白の不動と同じく、赤目ではなく目赤不動にせよ」というような意味の指令を発し、天領であった現在の土地を寄進したという伝承です。
江戸時代には、目青不動、目黄不動もあり、江戸五色不動を構成したという伝承があります。
古代中国で生れた五行思想がその源流。万物は木・火・土・金・水の5元素からなるという思想です。この5種類の元素に色が付けられ、木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒という関係が成立。この五色で、世の中全てのことが包括されるという思想に発展します。目赤の赤は、五行の火と結びついたものと言われています。
以上の目赤の由来、五色の由来は、いずれも伝承レベルの話で、はっきりとした史実ではありません。目黒、目白、目赤の三不動については、江戸時代の資料に記載があり、その時代から存在していたことは史実です。目青不動、目黄不動については、江戸時代での存在を確定できる資料は、未発見ということです。
東京町歩きの人気エリア駒込。目赤不動尊南国寺は車椅子でお参りができるお寺です。
江戸時代からの歴史が息づく駒込の「富士神社」と「天祖神社」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年6月に加筆修正しました)