箱根駅伝の中継でお馴染みの藤沢「遊行寺」は、とても大きなお寺です。境内は全てがバリアフリーではありません。車椅子でお参りできる場所と無理な箇所を紹介します。
遊行寺の正門は「惣門」。そこからの参道は「いろは坂」で、48段の石段といわれていますが、ガタゴトするものの、その気になれば車椅子で通行可能です。ただし快適な移動ではありません。

車でアクセスして、境内の無料駐車場を利用したほうが便利です。遊行寺坂から「東門」を入り坂道を上ると左側が参拝者用の駐車場です。駐車場は未舗装ですが固い路面でほぼフラットなので、車椅子での利用は可能です。
駐車区画の線引きは曖昧な駐車場で、身障者用駐車区画の設定はありません。上手に駐車すれば20台以上駐車可能なスペースです。

境内は基本的には未舗装路面で、不完全ですが舗装された通路が用意されています。舗装路は「東門」から始まり、境内の主な施設へ接続します。

駐車場から舗装路を進むと休憩所「遊行茶屋」があり、バリアフリートイレがあります。ただ今回取材時は、バリアフリートイレは鍵がかかっていました。

「遊行茶屋」の先に境内のシンボル、樹齢700年の大銀杏があります。舗装路を通り近づくことが出来ます。

大銀杏の先左側に、有料施設「遊行寺宝物館」があります。ここは入口が段差構造で、スロープはありません。

本堂は大銀杏の右側です。車椅子では舗装ルートで「鐘楼」へ向かいます。この鐘は南北朝時代に造られたもので、除夜の鐘は年中行事です。

「鐘楼」の横からやや急なスロープを上り「本堂」に向かいます。

本堂の下部に到着します。ここまでは一般的な車椅子利用者なら移動可能です。
参拝所は急なスロープの上。車椅子では怖い角度です。無理のない場所からのお参りをお薦めします。

スロープの上の参拝所からは本堂内のご本尊にお参りができます。

本堂の見事な装飾と造形は、スロープ下からでも十分に鑑賞できます。

境内本堂裏には財福を招く開運弁財天として信仰を集める「宇賀神社」が鎮座します。
「鐘楼」から上り坂の舗装路を「百閒廊下」の方面に進みます。傾斜はやや急ですが、一般的な車椅子利用者なら何とか通行できます。
その先が「宇賀神社」で、鳥居までは舗装路です。祠の前はゴツゴツした参道。祠の裏にある銭洗い場までは、激しいデコボコ路になります。車椅子では鳥居付近からの参拝をお薦めします。


「鐘楼」から舗装路で「中雀門」に向かいます。この門の装飾も見事です。

その先は寺務所や信徒会館があるエリアです。

ここに江戸幕府由来の「放生池」があります。生類憐みの令により、江戸中の金魚が集められ、この池に放生されました。
「中雀門」の先までは舗装路ですが、「放生池」に向かう路面は荒れて雑草が生えています。また「放生池」に隣接する池の鑑賞台は段差があります。「放生池」までは車椅子では難しいルートです。


以上が境内の主なポイントのバリアフリー状況です。

遊行寺は1325年の開山。歴史がある大規模な寺院です。車椅子で行ける箇所、不可の場所があります。無理なく車椅子でお参りして下さい。
(本稿は2019年5月の取材に基づいています)





