館山の坂東観音巡礼結願寺 那古寺 車椅子お参りガイド バリアフリー情報

那古寺

創建は717年という南房の古社、千葉県館山市にある坂東三十三所観音巡礼の三十三番目の結願寺です。読み方は「なごじ」。江戸時代に造営された「観音堂」と「多宝塔」が現存する、千手観世音菩薩を本尊とする真言宗の山寺です。山頂には紫式部の墓と伝承される「式部塚」がありますが、そこまでの登山路は一部が階段路です。

那古寺

那古山山頂は標高83ⅿ。那古寺から自然林を通り、展望台まで続くハイキングコースが整備されています。もちろん車椅子では散策できない未舗装段差路です。

那古寺

那古寺はバリアフリーな寺院ではありませんが、決定的な段差を回避するスロープが設置されています。無理をすれば車椅子で多宝塔まで近づくことが出来、もうひと踏ん張りすれば、本尊の千手観音像が祀られる観音堂にお参りが出来ないこともありません。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

参拝者用の無料駐車場があります。未舗装路面の駐車場ですが、薄く砂利が撒かれた固い路面なので、少し頑張れば車椅子が動きます。

駐車場と同じ高さに「本坊」があり、その前には有形指定文化財の巨木「大蘇鉄」があります。本坊と大蘇鉄は、車椅子で見学できます。

那古寺

観音堂へ上がる一つの参道は階段路です。もう一つ、駐車場の横から「仁王門」へ上がる坂道があります。舗装路面ですが急坂で、一般的な車椅子での自走は困難な傾斜角度です。介助者1名でも厳しいかもしれません。2名以上の介助者がいれば、車椅子で何とか通行できます。帰りは、車椅子は後ろ向きのジグザク走行をお薦めします。

那古寺

坂を上がり仁王門に近づきます。決定的な段差は回避できるスロープ路がありますが、その先は未舗装のデコボコが激しい悪路です。

那古寺

仁王門の下は段差があるので、車椅子では未舗装悪路を走破して、門の横を通行します。

那古寺

仁王門の先から、観音堂へ向かう石畳参道に車椅子で乗り上げます。段差は10㎝弱です。

那古寺

正面左側に手水舎があります。小さな段差と狭い石路面があるので、車椅子から手を浄めるのは苦戦する構造です。

那古寺

石畳参道を進むと、その先に鐘楼があります。現存するのは昭和51年に造営された鐘楼と梵鐘です。

那古寺

その先の右側に江戸時代中期に造営された多宝塔があり、石畳参道から車椅子で見上げることができます。多宝塔の中には、多宝如来と釈迦如来が安置されています。

那古寺

多宝塔の横から観音堂へは、正面左側の段差解消スロープに進みます。ただしスロープは深い砂利路面の先にあり、その手前にある溝には車椅子が何とか通過できるように、段差を塞ぐ石が置かれています。

那古寺

深い砂利路面の移動距離を最短にして、かつ溝に落ちることを避けるには、溝に石が置かれた観音堂に近い地点で、石畳参道から砂利路面に車椅子で移動します。

那古寺

しかしながら砂利は深く、段差解消スロープは急角度です。ここを通過できれば、車椅子で観音堂の正面からお参りができます。帰りもすべて同じルートです。

那古寺

那古寺参道の状況は以上です。車椅子ではかなり苦戦しますが、お参りが出来ないことはありません。

(本稿は2022年3月に執筆しました)