東京都港区の芝公園と増上寺は、多くのエリアは車椅子で移動できますが、一部難しい箇所があります。現地のバリアフリー状況を紹介します。
「大本山増上寺」と「東京プリンスホテル」が並び、その周囲を「東京都立芝公園」と「港区立芝公園」が囲みます。
元々は全てのエリアが増上寺の境内で、明治6年に公園に指定されました。日本最古の公園の一つです。
戦後に寺院と公園が分離され、さらに公園部は都と区の管理に分かれて現在に至っています。
徒歩圏内の駅は「芝公園」「御成門」「大門」「赤羽橋」など。浜松町からは1kmほどの距離になります。
芝公園には来園者用の駐車場はありません。増上寺も一般参拝者用の駐車場はありません。周辺道路にはパーキングメーターが設置されています。
都立芝公園1号地のバリアフリー状況です。公園南側の1号地は古墳と梅園などがあります。
「芝丸山古墳」は未舗装の段差路で車椅子では近づけません。
梅園「銀世界」は、新宿角筈にあった梅林が、明治時代にここに移植されました。揮毫された石碑や、梅林の由来が書かれた案内板などがあります。
その日の路面状況によりますが、梅園内はほとんどが未舗装路で、車椅子では固く踏みしめられた通行可能な範囲だけ移動可能です。
1号地への歩道からのアクセス路は、段差や傾斜がある箇所が多くあります。区立芝公園方面からアクセスしても、未舗装路を通ります。
都立芝公園4号地のバリアフリー状況です。公園北側の4号地には、運動広場や「みなと図書館」などがあります。通路は舗装路で、段差箇所にはスロープがあり、車椅子で利用できます。4号地は秋には銀杏の黄葉が美しい公園です。
都立芝公園18号地のバリアフリー状況です。公園西側の18号地には「弁天池」があります。
未舗装路面が多いエリアですが、フラットで堅い路面なので、ベンチ周辺などは無理のない範囲で車椅子で利用できます。ここに芝公園のえんま様「宝珠院」があります。別稿で掲載しているのでご参照ください。
都立芝公園19号地のバリアフリー状況です。東京タワーの下にある「もみじ谷」と呼ばれるエリアです。
明治38年に長岡安平が設計し、翌39年に竣工した歴史ある人工渓谷です。近年では「蛇塚」が、金運のパワースポットとして有名です。
2020年に改修工事が完了してリニューアルオープンしました。バリアフリートイレがある公衆トイレがあります。
自然美が溢れる渓谷が整備されています。
亀が遊ぶ池もあります。
広場は固い未舗装路面で、車椅子での移動は可能です。
晩秋から初冬にかけて、様々な種類のもみじの紅葉が楽しめます。
港区立芝公園のバリアフリー状況です。芝生広場を中心にした園内は、舗装散策路が整備されて、ほぼ全域を車椅子で移動できます。区の災害対策拠点になっています。
増上寺のバリアフリー状況です。「三解脱門」は日比谷通りの歩道からは段差がある構造です。
一部が段差解消されています。
「黒門」は段差なく通行可能です。
「大殿」へは「黒門」から境内の段差を迂回して進むと砂利路面を通ります。東京プリンスホテル側の境内出入口を利用すると舗装路で移動できます。
「大殿」の本堂は2階、そして有料資料館「宝物展示室」は地階で、どちらも一般ルートは階段です。
車椅子では「大殿」内のエレベーターを利用します。
「安国殿」はスロープがあります。
また「西向聖観世音菩薩」から地蔵さまが並ぶ一帯は舗装路で、車椅子で移動できます。
有料公開される「徳川将軍家墓所」は段差があるので、車椅子でのお参りは困難です。
芝公園と増上寺で、車椅子で散策やお参りが出来ないのは「芝丸山古墳」一帯と「徳川将軍家墓所」です。
(本稿は2019年11月の取材に基づいています)