1400年の歴史がある善光寺。今回は令和4年の御開帳期間に車椅子でお参りに行きました。現地のバリアフリー状況を紹介します。
長野駅からは2㎞以上の距離があります。アクセスは車が便利です。「善光寺事務局横駐車場」が身障者専用の無料参拝者用駐車場を兼ねています。一方通行路から入る駐車場で、本堂よりも少し北側の長野県立美術館よりにあります。
なお長野県立美術館のバリアフリー状況は、別稿「隣は善光寺 長野県立美術館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報」を参照してください。美術館の「風のテラス」から善光寺を眺めることができます。
身障者専用の無料参拝者用駐車場は、現地に詳しい案内表示はなく「身障者専用」と記された車椅子マークの表示版が掲示されています。今回利用時は現地にスタッフは不在で、何も手続きをすることなく駐車しました。身障者専用と推定される8台分の駐車スペースと、他に事務局用駐車スペースがある駐車場です。
身障者専用駐車場を起点にすると、段差なく善光寺の本堂前までアクセスできます。境内横の整備された歩道を通行します。
そのまま進むと「鐘楼」の横を通過します。境内の鐘楼の周囲は砂利路面なので、車椅子では舗装通路からの「鐘楼」見学をお薦めします。
鐘楼の先から境内へ向かいます。ショートカットコースは「授与品所」の横の通路です。
舗装通路を通り「大香炉」の横に出ることができます。大香炉の周囲は段差のない舗装路面なので、車椅子でお線香を供え、煙で心身を清浄することが出来ます。
車椅子で拝む御開帳「回向柱」の状況をご紹介します。参拝の列は本堂の反対側に伸びます。参道はフラットな舗装路面なので、参拝の列に車椅子で並ぶことができます。
回向柱の足元は2段階に支えが張り出した構造で、車椅子に乗ったままでは手が届かず、回向柱に手を合わせることは出来ません。現地のスタッフに「こちらからのほうが拝みやすいです」と薦められて、回向柱の本堂側の面に回りました。他の3面に比較すると支えの張り出しが薄い構造です。それでも車椅子に乗ったままでは手が届きませんが、少しの間でも介助で立ち上がることが出来て、前かがみの姿勢を維持できる人なら、回向柱の本堂側の面に両手を合わせて祈ることができるはずです。
次に車椅子での本堂内のお参り方法を紹介します。正面からみて右側にスロープがあり、現地に案内板が掲示されています。今回参拝時は車椅子をみた警備スタッフの方がフルアテンドで案内をして下さいました。
舗装通路と砂利路面に敷かれたバリアフリー板の上を通行してスロープに向かいます。
スロープへの移動ルートの横にある公衆トイレへも舗装通路が整備されています。このトイレにはバリアフリートイレがあります。
木製スロープに入ります。ここにも案内板が掲示されています。
前半の角度はそれほど急ではありません。介助者がいれば車椅子で上がることができるスロープです。
スロープを上がった先の、本堂内に入る箇所の段差解消スロープは急角度です。今回参拝時は警備スタッフの方が「私がお手伝いします」と介助して下さいました。帰りも同じルートです。
国宝の本堂内外陣は段差なく車椅子で移動できます。ただし「びんずる尊者像」は、車椅子からは手が届かない高さです。内陣は畳敷きです。「お戒壇巡り」は階段を下りるので車椅子では困難です。
境内全般のバリアフリー状況を紹介します。本堂と山門の間の参道はフラットな舗装路面です。山門の先は階段なので、車椅子ではいったん参道を外れて迂回します。山門と仁王門の間の参道は再びフラットな舗装路面です。
参道に面した「授与品所」は段差の無い構造です。車椅子で中に入ることができます。
本堂側面のエリアは石畳や砂利路面です。車椅子で自由に移動することは出来ません。
本堂に沿ってバリアフリー板が敷かれた通路が用意されているので、車椅子で本堂の周囲を通行できます。
「経蔵」までの参道はデコボコな石畳です。車椅子で移動できますが、かなりの衝撃が車椅子にきます。ゆっくり進んでください。
「日本忠霊殿」に至る通路は、本堂側はデコボコがある石畳ですが、途中からフラットな舗装路に変わります。
フラット路面は「日本忠霊殿」まで続きます。車椅子で「日本忠霊殿」まで行くことができます。
善光寺は境内すべてがバリアフリーではありませんが、身障者専用駐車場を起点にすれば、スロープを経由して車椅子で本堂内にお参りできます。
長野市「戸隠神社」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年5月に執筆しました)