南紀串本 橋抗岩と虫喰岩 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

和歌山県南紀串本にある約40本の岩柱が850mも続く名勝「橋抗岩」は、ビュースポットに道の駅が整備されて、車椅子で観光することができます。「高池の虫喰岩」も、同様に道の駅が整備されています。2つの奇岩観光のバリアフリー状況を紹介します。

○道の駅くしもと橋抗岩のバリアフリー状況

「道の駅くしもと橋抗岩」は、橋抗岩を眺めるベストポジションにあります。駐車場の収容台数は50台超で、身障者用駐車区画は2台分あります。

トイレ棟にバリアフリートイレがあります。造りは古いトイレですが、設備は更新されて綺麗で、ウォシュレット付き便器が備えられています。

駐車場から、施設の海沿いから、橋抗岩をバリアフリーに見学することができます。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

商業施設としては小型な道の駅です。トイレ棟の他に、ソフトクリームなどを販売するテイクアウト系飲食店と観光情報コーナー、そしてショップがあります。ショップの規模は中規模クラス。串本の物産品などが並びます。通路幅にはそれほど余裕はありませんが、極端な混雑がなければ、一般的な車椅子での利用は可能です。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

干潮の時間帯は、道の駅の外側から海に出て橋杭岩に近づくことができます。しかし道の駅施設から海に出るルートは階段なので、車椅子では海には行けません。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

橋抗岩は、本州最南端の町串本町の紀伊大島に向かい、橋の杭のような奇岩が並ぶ名勝です。岩の数は約40本。その距離約850m。弘法大師が一夜にして建てた橋の杭、という伝説がある国指定天然記念物です。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

現地には橋抗岩の科学的な解説板があります。要約すると、約1500万年前におこった大規模なカルデラ噴火により噴出したマグマが、波の浸食で堅い部分だけが残ったとのこと。見事な自然の造作です。

○道の駅虫喰岩のバリアフリー状況

紀伊半島には巨岩奇岩が数多くあります。その中で橋抗岩と同様に道の駅が整備され、車椅子で観光できる奇岩「虫喰岩」のバリアフリー状況を紹介します。

高池の虫喰岩

国の天然記念物指定、虫に喰われたような巨大な奇岩、古座川町の「高池の虫喰岩」は、全高が約60m、幅が100mほどの巨大な岩です。1500万年ほど前に噴出したマグマが、風化により表面に穴があいた自然が生んだ奇岩です。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

道の駅は「高池の虫喰岩」の道を隔てた正面にあります。道の駅の駐車場から虫喰岩を観ることができ、道を渡って虫喰岩に更に近づくこともできます。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

道の駅認定を受けているので、24時間利用できるトイレが有り、バリアフリートイレがあります。物販コーナーは平日休業。原則土日祝だけの営業です。

南紀串本 橋抗岩バリアフリー情報

南紀エリアは、太古の自然活動が生んだ奇岩の景観を車椅子で楽しめます。その中でも「橋杭岩」と「虫喰岩」は、道の駅が整備されて、車椅子で観光ができる奇岩です。

なお南紀白浜のバリアフリー情報は、別稿「南紀白浜 車椅子観光ガイド 主な観光地のバリアフリー情報」を参照してください。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)

奈良 吉野山 車椅子散策ガイド バリアフリー情報

桜の名所で世界遺産がある「吉野山」。「下千本」を中心に、車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

吉野山の観光シーズンは桜と紅葉の時期。特に桜の季節は交通規制がかかります。車椅子利用者の場合、ケーブルカーの利用は難しくアクセスは車が便利。マイカー、タクシー、バス、いずれの交通手段でも、オールシーズン観光の拠点になるのは「下千本観光駐車場」です。「下千本観光駐車場」から徒歩で「金峯山寺」方面に進むコースでバリアフリー状況を紹介します。

吉野山の観光

「下千本観光駐車場」は、400台を収容する駐車場で24時間利用可能です。通常は無料で観桜期は有料になります。身障者用駐車区画は出入口にある公衆トイレの近くです。この公衆トイレにバリアフリートイレがあります。設備はシンプルですが実用に耐えるトイレです。駐車場は車椅子で問題なく利用できます。

駐車場内から金峯山寺方面にかけてが、下千本の観光エリアです。距離的には金峯山寺仁王門まで700mほど。一般的には観光ルートとして、散策が推奨されるコースですが、車椅子で向かうと傾斜と道の狭さに苦しめられます。現地の状況を詳しく紹介します。

下千本の観光エリア

下千本観光駐車場から一般道に出ます。この道は、観光シーズンは一般車両通行禁止、あるいは一方通行規制がかかりますが、閑散期は一般車両が自由に通行します。

駐車場から出るとすぐに「下千本展望所」があります。緩やかな上り坂を進むと、「七曲坂」手前では少し下り坂になります。その先に「大橋」。現地に橋の解説があるのでご覧下さい。さらに進むとケーブルカーの「吉野山駅」。このあたりまでは、アップダウンも緩やかで道幅は多少の余裕があります。一般的な車椅子利用者なら、問題なく散策できます。

吉野山駅」を過ぎると、次にある観光スポットは「黒門

「吉野山駅」を過ぎると、次にある観光ポイントは「黒門」です。徐々に道が狭くなり、車が来ると車椅子を道端に寄せるのに気を使うようになってきます。そして上り坂が段々ときつくなります。気合を入れて「黒門」を越えます。

次の観光ポイントが「銅の鳥居」。このあたりで車椅子での移動に体力的な余裕がなくなります。一般的な車椅子利用者なら、元気な介助者が必要です。そしてこの先「仁王門」までは、車椅子にとって地獄のような急坂になります。しかも道は狭いので、無理な人は引き返してください。かなりの強者でなければ「仁王門」の下まで車椅子で行くのは困難です。

その先にある世界遺産、吉野山の金峯山寺。高台にそびえ立つ「蔵王堂」は高さ34mで、東大寺大仏殿に次ぐ木造大建築です。

吉野山の金峯山寺

構造物としては本堂である「蔵王堂」と「仁王門」、青いお顔の「秘仏本尊」が有名です。役行者が開祖である修験道の総本山。参拝に訪れたい世界遺産です。ただ残念ながら、車椅子での参拝は、現実的には無理です。状況を詳しく紹介します。

吉野山の金峯山寺

蔵王堂への通常ルートは、仁王門の下からの急な階段路です。車椅子はもちろん、体力に不安のある人にはお薦めできません。階段路の前に「スロープはこちら」という案内があります。山を上ってきて右手へ廻るルートです。この道も急坂で狭路、通常期は一般車両が自由に通行できるので、車両が来ると車椅子の逃げ場がない怖い道です。進むとスロープがあります。

スロープといっても、中央部は階段、両端が幅狭いスロープを組み合わせた急坂路で、傾斜角度30度くらいありそうな、転がり落ちそうなスロープです。しかもスロープ部は、一般的な車椅子がギリギリの狭さ。その距離は30mほどあります。このスロープを車椅子で上り下りするのは現実的ではありません。

何らかの方法で蔵王堂まで車椅子で進んだとします。蔵王堂の前の広場は、車椅子がスタックして動けなくなる深い砂利路面です。

蔵王堂の前は深い砂利路面

そして蔵王堂の入口は階段で、スロープはありません。金峯山寺は、車椅子では仁王門近づいて、下から見上げるのが精一杯です。

吉野山の金峯山寺

千本観光駐車場から仁王門の付近まで、お土産店や飲食店など数多くのお店があります。吉野葛、柿の葉寿司、梅干し、お漬物・・・。見る限りバリアフリーな店はほぼありません。入口には段差、狭い店内、店内にも段差。山の坂道の狭いスペースにあるお店なので、どうしてもそうなります。それでも何店舗かは、車椅子でも何とかなりそうなお店があります。急坂の横にあるほとんどのお店は、車椅子では利用困難な構造なので、道がフラットな箇所にあるお店を狙って下さい。

交通規制のない観光シーズン以外の時期に吉野山をドライブで楽しむ場合、道は狭く反対から車が来るとすれ違いが出来ない箇所が上千本方面まで連続します。ドライブに気合が必要な吉野山です。「観光車道」まで抜ければ、普通の2車線路になります。

吉野山の車椅子での散策

以上のように吉野山の車椅子での散策は、実際にはかなり困難が伴います。下千本観光駐車場の近くを、無理ない範囲で行動されることをお薦めします。この範囲にも数軒のお店があります。

車で吉野山を訪れた場合、最寄りの道の駅は「道の駅吉野路大淀iセンター」です。詳しくは別稿を参照してください。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)

金沢近江町市場・ひがし茶屋街 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

300年の歴史を誇る金沢の台所「近江町市場」と「ひがし茶屋街」のバリアフリー状況を紹介します。

近江町市場

近江町市場が人で溢れるほどの混雑になるのは年末です。このような時期の車椅子での買い物は苦労しますが、通常期であれば商店街の歩道は、車椅子での通行に困るような混雑ではありません。

物販店はほとんどが路面店です。店内通路が狭いお店はありますが、決定的なバリアがあるお店はほとんど見かけません。店前からそのまま買い物が出来るお店が多々あります。

特別なバリアフリー上の配慮があるわけではありませんが、近江町市場は車椅子でのお買い物は十分に可能な商店街です。

近江町市場

一方飲食店は、狭い、段差あり、二階ありなど、車椅子での利用に苦戦するお店が多い状況です。グルメ情報をみて利用したい飲食店がある場合は、車椅子利用の可否を事前に確認することをお薦めします。

予約ができない人気店の場合は、予測される混雑状況を確認することをお薦めします。ランチタイムの人気寿司屋は、大行列が出来る事があります。

近江町市場で、バリアフリートイレの用意がある飲食店は、今回取材時は確認できていません。

近江町市場

近江町市場はアーケードがあります。傘がさせない車椅子利用者は、行動拠点を選べば、雨天でも安心して利用できる商店街です。

金沢~近江町市場・ひがし茶屋街

では行動拠点の候補、バリアフリートイレがある、近江町市場に隣接する3つの商業施設を紹介します。

アーケードに直結するのは「近江町いちば館」です。上層階が駐車場で下層階が飲食店、小売店の構成。古い施設で老朽化が目立ち、駐車場には身障者用駐車区画の設定がありません。それでもエレベーターがあり、バリアフリートイレはあります。雨天にはお薦めの行動拠点です。

金沢~近江町市場・ひがし茶屋街

「めいてつエムザ」は近江町市場に隣接するデパートです。施設そのものはやや古いデパートですが、それなりに改装されています。立体駐車場の3Fに身障者用駐車区画があり、バリアフリートイレは館内に3か所あります。

金沢~近江町市場・ひがし茶屋街

最新の隣接施設は「かなざわはこまち」です。グルメとお土産が中心の商業施設で、新しいだけにバリアフリーレベルは一番です。駐車場とトイレは、ここがもっとも綺麗です。ただし地下駐車場の収容台数は23台、身障者用区画は1台分と狭い駐車場です。近江町市場とは道一本隔てた向かいの立地です。

金沢~近江町市場・ひがし茶屋街

近江町市場はフラットなアーケード商店街なので、車椅子での通行は可能です。ただし飲食店は、店によっては車椅子での利用は不可。隣接する商業施設を併用しての、車椅子での観光をお薦めします。

次に「ひがし茶屋街」のバリアフリー状況を紹介します。金沢を代表する人気スポット「ひがし茶屋街」は古い建物の街で、車椅子への配慮はありません。

内部を公開しているお茶屋さんがありますが、バリア構造で車椅子での見学は無理です。ほとんどのお店は、出入口に段差、狭隘な入口、狭い店内と、車椅子で入店可能なお店は多くはありません。

金沢~近江町市場・ひがし茶屋街茶屋街の路地の車椅子散策は問題ありません。雰囲気のある茶屋街の風情を、車椅子で観るだけの観光はできます。ただし車でアクセスした場合、ひがし茶屋街周辺には収容台数が10台前後の狭い一般駐車場しかなく、混雑時は車椅子での駐車場確保に苦戦します。

金沢~近江町市場・ひがし茶屋街

トイレも苦労します。今回の取材で確認できた、バリアフリートイレがある近隣の物販店は、159号線沿い、東茶屋街前交差点の近く、東山観光バス駐車場の隣にある「昆布・海産物 しら井 金沢店」です。

金沢ひがし茶屋街は、車椅子で路地の散策を楽しむ観光をお薦めします。

「金沢兼六園と伝統産業工芸館」の情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年5月の取材に基づいています)