すみだ北斎美術館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

東京都墨田区の「すみだ北斎美術館」は、2016年に開館した車椅子で利用できる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

すみだ北斎美術館

墨田区生まれの葛飾北斎をテーマにした美術館です。

葛飾北斎をテーマにした美術館

建物は4フロア構造で、3Fと4Fが展示室です。その内4Fの半分のスペースが常設展示室で、4Fの残り半分と3Fが企画展示室になります。構造的に2Fはなく、1Fが美術館受付やミューアムショップ、図書室、講座室です。

常設展の観覧料

B1はロッカーとトイレのフロア。1FとB1は無料で利用できるパブリックスペースです。

アクセスの状況です。両国駅からは徒歩5分の案内。アクセスルートにアップダウンはありません。

すみだ北斎美術館

来館者用の駐車場はありませんが、建物の横に身障者用駐車区画が1台分あります。予約制ではなく、空いていれば使用できる運用です。

障害者用駐車区画が1台分あります

常設展の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。企画展の観覧料は展覧会により変わります。障がい者減免制度がありますが、多くの場合は、本人と介助者1名が半額程度に減免されます。

常設展の観覧料は、障害者手帳の提示で本人と介助者1名が無料に減免

館内の各フロアはフラット構造です。エレベーターは2基あります。

エレベーターは2基

バリアフリートイレは1Fのパブリックスペースに1つ用意されています。

障害者用トイレは1Fのパブリックスペースに1つ

1Fで独立した構造の「図書室」は、フラットな構造ですがスペースの余裕はありません。通路は車椅子での利用がギリギリの幅です。

図書室

講座室も室内にスペースの余裕はありません。

講座室

3Fと4Fの展示室は車椅子での利用は可能です。展示作品を紹介するパネルタッチは、車椅子で足が入るタイプです。また外国人観光客向けに多言語対応しています。

パネルタッチは、車椅子で足が入るタイプです

最上階の4Fには「展望ラウンジ」があります。エレベーターホールに数本ベンチが置かれ、狭い窓からスカイツリーが見えます。

4Fの展望ラウンジ

平成元年に墨田区で企画された美術館です。紆余曲折があり開館まで15年超かかりました。墨田区の投資額は直接経費だけで20億円、周辺経費を含めると30億円を超えます。

すみだ北斎美術館

すみだ北斎美術館は、狭いスペースを利用した施設です。混雑すると車椅子では苦戦するので、ピークをずらして利用することをお薦めします。

別稿で「東京両国 車椅子お散歩コース バリアフリー施設情報」を掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年10月に加筆修正しました)

半蔵門 国立劇場 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

東京都千代田区。皇居に面して建つ「国立劇場」は、車椅子で利用できる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

「伝統芸能情報館」のバリアフリー状況は、別稿「国立劇場 伝統芸能情報館 車椅子利用ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

半蔵門 国立劇場

歌舞伎、文楽などの興行が行われる文化施設です。桜を中心に多品種の植栽がある前庭があり、館内にはレストランや売店が入ります。

半蔵門 国立劇場

劇場は大劇場と小劇場の2つ。どちらにも通常は車椅子用の鑑賞スペースが用意されます。バリアフリー改修により、館内にはバリアフリートイレ、エレベーターが設置されています。

観覧料金は興行により異なりますが、通常の有料興行は障がい者減免制度があり、障害者手帳をもっている人は、観覧料金が割引されます。車椅子席の利用でも、障がい者減免制度は適用されます。割引後の観覧料は興行別に確認してください。

国立劇場のゆるキャラは、舞台黒子をイメージした「くろごちゃん」です。

施設の全体概要

半蔵門駅から徒歩5分の案内です。アクセスルートは極端なアップダウンはなく、車椅子での移動は可能です。

アクセス方法

来館者用の有料駐車場があります。身障者用の駐車スペースは、入口の近くに別に用意されているので、駐車場スタッフに車椅子利用を申告相談してください。誘導していただけます。身障者用駐車場は無料で利用できます。

半蔵門 国立劇場

大劇場のロビー奥にあるバリアフリートイレは、オストメイト装置、ユニバーサルベッドなどがある個室トイレです。

大劇場、小劇場それぞれの劇場内は、男女別トイレの中に車椅子が入る大きな個室が各1つ用意されています。

敷地内の屋外トイレにも、個室タイプのバリアフリートイレが1つあります。

半蔵門 国立劇場

大劇場のバリアフリー状況です。大劇場は3フロア構造で、エレベーターが2基あります。

劇場内の客席は、1Fが段差の無いスロープ通路で、通常車椅子用スペース席が用意されます。2Fと3Fの客席は階段式です。

大劇場のバリアフリー状況

各階のロビーはフラットな構造で、車椅子で利用できます。1Fには平櫛田中の「鏡獅子」が展示されています。2Fには絵画ギャラリーがあり、東山魁夷作「雪原譜」他17点の日本画が展示されています。どちらも車椅子で鑑賞できます。

大劇場のバリアフリー状況

各フロアに売店、喫茶、食事処があります。いずれも車椅子で利用できるフラットな構造です。

大劇場のバリアフリー状況

小劇場のバリアフリー状況です。小劇場の客席は1Fだけでスロープ通路です。通常、車椅子用スペース席が用意されます。

1Fロビーには売店、2Fロビーには食事処があります。エレベーターが1基あり、2Fまで通じています。1Fと2Fは車椅子で利用できます。喫茶がある3Fへは階段利用になります。

半蔵門 国立劇場

春にはさくらまつりが開催されます。

半蔵門 国立劇場

バリアフリーな前庭には「神代曙」など10種の希少種桜が植栽されています。

半蔵門 国立劇場

春の恒例イベントは「国立劇場さくらまつり」。国立劇場のHPでは、さくらまつり期間中、10種の品種別開花状況が公開されます。※2020年から2022年の間は、開催されませんでした。

半蔵門 国立劇場

期間中の公演が無い日は、原則として劇場内が無料で一般公開されます。ただし一日の公開時間は3時間程度です。前庭ではお茶の無料サービスや、太神楽の上演などのイベントが開催されます。

半蔵門 国立劇場

国立劇場は、皇居に面し、最高裁判所に隣接します。そのような立地ですが、身障者用駐車区画の用意があり、無料で駐車できます。

(本稿は2022年3月に加筆修正しました。)

吉田茂邸は車椅子可 大磯城山公園 バリアフリー情報

神奈川県大磯町の「神奈川県立大磯城山公園」は、「旧吉田茂邸地区」と「旧三井別邸地区」があり、また「大磯町郷土資料館」があります。

車椅子での利用は簡単ではありません。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。大磯城山公園の地区別のバリアフリー概況です。

海沿いの「旧吉田茂邸地区」は、再建された旧吉田茂邸の周囲は車椅子で利用できます。ただし「七賢堂」や「心字池」方面は、車椅子では無理なルートです。

山側の「旧三井別邸地区」第一駐車場からのバリアフリールートは、物凄い急坂の連続で、一般的な車椅子利用者の登坂は困難です。

「旧三井別邸地区」の高台に建つ「大磯町郷土資料館」は、第二駐車場からのアクセスルートが悪路です。それを通過出来れば館内はフラットです。

各エリア、施設の状況を紹介します。

「旧吉田茂邸地区」

大型バスが駐車可能な駐車場があります。身障者用駐車区画は、バススペースの隣に1台分あります。

旧吉田茂邸

駐車場からスロープルートが整備され、やや傾斜はありますが車椅子での通行は可能です。

旧吉田茂邸

そのまま「バラ園」の横を通り、敷地内へ進みます。入口近くの「管理休憩棟」に、バリアフリートイレがあります。

旧吉田茂邸

駐車場は週末有料になりますが障がい者減免制度があります。「管理休憩棟」で障害者手帳と駐車券を提出すると駐車料金が無料に減免されます。園内に新しく整備された歩道は、車椅子で通行可能なバリアフリー仕様です。

「兜門」周辺の路面

「旧吉田茂邸」のバリアフリー状況です。2009年に原因不明の火災で焼失し、2017年4月に再建された「旧吉田茂邸」内の見学は有料です。障がい者減免制度があり、障害者手帳の提示で本人と介助者1名の観覧料が無料に減免されます。

「旧吉田茂邸」の正面入口は階段です。裏に回ると車椅子で利用できる入口があります。

旧吉田茂邸

「管理休憩棟」から「菜園広場」方面へ、園内通路を進みます。その先が迂回スロープになり、「旧吉田茂邸」の裏側に続きます。

そこにバリアフリー出入口があり「車椅子の方はお知らせください」と掲示があるインターフォンがあります。この後はスタッフの誘導に従ってください。

旧吉田茂邸

館内にはエレベーターがあります。旧吉田茂邸の詳しいバリアフリー情報は、別稿の「大磯 旧吉田茂邸 車椅子見学ガイド バリアフリー情報」をご覧ください。

庭園のバリアフリー状況です。庭園の入園は無料で、車椅子で散策できる範囲は庭園の約半分です。「菜園広場」の先を真っすぐに進むと、西湘バイパスの隣、相模湾岸沿いに出ます。

旧吉田茂邸

ここに一か所、5mほどの短い急坂があります。車椅子では力が必用な坂です。そしてその先の「吉田茂銅像」までが車椅子での利用可能範囲です。「七賢堂」や「心字池」方面へは、段差があり車椅子では行けません。

「七賢堂」や「心字池」方面

「旧三井別邸地区」

1990年に全面開園した、大磯の高台を利用した入園無料の公園で、その名の通り明治期から三井家の別荘として整備された場所です。

正式なパンフレットに「バリアフリーで回れるコース」が記されていますが、決定的な段差が無い急坂で、現実的には車椅子での登坂は無理です。旧三井別邸地区は超難関のバリアフリーコースです。

来園者は「第一駐車場」を利用します。平日は無料、土日祝は有料ですが障がい者減免制度があり、障害者手帳等と駐車券を管理事務所に提示すると、駐車料金が無料に減免されます。

第一駐車場からバリアフリールートを探しても、急坂しか見えませんが、その坂がバリアフリールートの始まりです。

急坂に加え、路面は舗装路ながらデコボコがあります。また定間隔で溝があり車椅子の進行を妨げます。ただし溝は右端か左端がセメントで埋められ、幅70㎝ほどは溝による段差が解消されています。

駐車場から管理事務所までの距離は50m程度ですが、ここまでたどり着けない車椅子利用者が多いと思われる急坂です。

旧三井別邸

管理事務所の横が「南門」。ここからが「旧三井別邸」の内部です。ここから最奥部にある「ひかりの広場」に向かい、スイッチバックして「北蔵ギャラリー」の横を通過し、最高地点「展望台」を目指します。この間のルートは、急坂で路面には軽度のゴツゴツがあり、そして5mおきに溝が連続します。

展望台からは雄大な相模湾と真鶴半島、条件がよければ伊豆半島、伊豆諸島までを眺望します。三井家はこの地を接待所として活用していました。展望台付近にある公衆トイレには、バリアフリートイレがあります。

展望台まで続く急坂ルート

帰りも同じ道を戻ります。車椅子での坂下りはたいへんです。

「旧三井別邸」には、東西南北四つの門があります。ここまでご紹介したのはメインルートである「南門」ルートです。

車椅子利用の場合「西門」または「北門」から入ると、範囲は狭く「不動池」の周辺だけですが、段差なく且つアップダウンなく、車椅子で散策ができます。その場合は「北門」横に1台分だけ無料で利用できる身障者用駐車区画があります。

「大磯町郷土資料館」

入館無料の町営資料館です。2016年に展示内容をリニューアル。明治以後、別荘地として発展した大磯の紹介が加わりました。一般的な町の郷土資料館と同じく、出土した土器などの展示から始まります。

近現代の大磯の紹介コーナーでは、大磯海水浴場が医師松本順の呼びかけで、明治18年に開設されたことや、その当時を写した絵が展示されています。また著名人30人の大磯別荘マップの展示があります。

利用する駐車場は「県立大磯城山公園第二駐車場」です。分かり難く狭い道を進みます。無料駐車場で、1台分身障者用駐車区画があります。

駐車場から資料館までの区間は、ほとんどが荒れた未舗装路面で、車椅子では慎重に進む必用があります。

むしろ荒れた未舗装路通路よりも「ふれあい広場」という芝生広場の中を通行したほうが楽かもしれません。当日の路面の状況で判断してください。このあたりは三井家別荘の茶室の跡地です。

大磯町郷土資料館

「大磯町郷土資料館」は1988年に開館しました。建物はクラシックですが、館内はワンフロアのフラット構造で車椅子での見学に大きな問題はありません。

館内にバリアフリートイレがあります。今回取材時の状況では、設備はかなり古いものでした。

資料館の正面には三井家別荘の「欄間」が展示されます。また吉田茂はもちろん、伊藤博文、松本順、島崎藤村、大隈重信・・・、と大磯別荘族が紹介されています。

大磯町郷土資料館

再建された旧吉田茂邸とその周囲はバリアフリーです。大磯城山公園は、車椅子での利用が難しい箇所がある公園です。

「旧大隈重信別邸」や「旧陸奥宗光別邸」がある「明治記念大磯邸園」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年6月の取材に基づいています)