群馬県前橋市の「ぐんまフラワーパーク」は、赤城山の麓にある有料の公園で、施設全域が赤城山に向って上る緩やかな斜面です。
バブル期に群馬県が企画建設をすすめ、1992年に開園しました。2018年よりネーミングライツで名称が「カネコ種苗ぐんまフラワーパーク」に変更されています。
園内の主な施設は、開園以来大規模な改修が行われていない様子で、今回取材時は施設の老朽化が進んだ印象を受けました。それでも多くの施設は段差回避ができ、車椅子で散策と鑑賞が楽しめます。車椅子からみた主な施設のバリアフリー状況を紹介します。
アクセスは車が便利です。来園者用の無料駐車場が南北2か所にあり、南駐車場は普通車397台、バス35台、北駐車場は普通車124台を収容します。メイン駐車場は南駐車場です。今回取材時は、北駐車場は閉鎖されていました。
南駐車場の身障者用駐車スペースは、正面右側のバス用駐車場にあります。施設敷地のフェンスよりに6台分、バス用駐車場内にも数台分の身障者用駐車スペースがあります。
駐車区画のペイントが剥げていてわかり難い状況ですが、よくみると薄くラインがあります。
区画に書かれているのは車椅子マークではなく、「身」「障」「者」「駐」「車」「場」の漢字一文字です。
この身障者用駐車スペースから、段差解消箇所を通行して正面ゲートに向かいます。
途中に車椅子マークのサインがあるので、それに従って迂回して進みます。
すると正面ゲートに向かう段差迂回スロープがあります。
スロープを上から見た写真です。角度は急ではありません。車椅子での通行は可能です。
スロープを上がると、正面ゲート前に到着します。
正面ゲート付近のバリアフリー状況です。チケット販売窓口は有人対応です。ぐんまフラワーパークの入園料は季節変動制で、トップシーズンは4月から6月。入園料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。窓口で障害者手帳等を提示して減免を申請します。
正面ゲートには貸し出し用の車椅子などが用意されています。
ゲートを通り入園すると、目の前に「直売所」があります。この施設は近年新設されました。ゲートの目の前は直売所の出口。今どきの構造のスロープが設置されています。
反対側が直売所の入口です。店内では農産物、加工品、物産品が並びます。うどん、蕎麦などの軽食コーナーがあり、販売窓口とカウンター席が用意されています。店内はスペースにあまり余裕がありませんが、段差のない構造で、車椅子で買い物ができます。
大花壇周辺からパークタワーのバリアフリー状況です。フラワーパーク中央部の傾斜面を通行しながら、シンボルであるパークタワーに向かいます。
パークタワーの後方は、赤城山麓です。
ルートは段差路にみえますが、段差の横にスロープ路が用意されています。
どの高さにも、必ずスロープ路があるので、ルートを選べば車椅子で通行できます。
一段上がったところに整備されている花壇がある休憩スペース。
そこからはパークタワーまで、一直線にスロープ路があります。
パークタワーは2塔が建ち、それをつなぐ展望ブリッジがある構造です。正面から見て左側の塔にエレベーターがあります。
エレベーターのかごは一般的なサイズで、普通サイズの車椅子は乗り込むことができます。
展望ブリッジから赤城山麓方面を眺めた写真です。下にあるのは「フラワーホール」です。
展望ブリッジから正面ゲート方面を眺めた写真です。関東平野を見渡します。
赤城山麓の西側をみた風景です。下に写っているドーム群が、次に紹介するフラワーパークの目玉施設「5つの鑑賞温室」です。
5つの鑑賞温室のバリアフリー状況です。文字通り、独立した5つの温室を巡ります。各温室の位置は高低差がありますが、正しい順路で回ると、温室内のスロープで無理なく高低差をクリアできます。一見、どの温室から観てもよさそうに思えますが、観覧順路にしたがってください。
一つ目の温室は「メキシコゾーン」です。
最初のつかみは、サボテン温室。
温室内はバリアフリー通路が整備されています。
2つ目の温室は「ブラジルゾーン」。
3つ目の温室は「インドネシアゾーン」。
この温室にバリアフリートイレがあります。
スペースは一般的なサイズの個室です。
4つ目の温室は「フィリピンゾーン」。
滝が落ち、池があり、魚が泳ぎます。
最後の温室は「イベント温室」。
綺麗に整備された温室です。
車椅子でイベント温室内を一周できます。
5つの鑑賞温室から、四季のエリアに進むのが一般的なルートです。
このエリアはほとんどが未舗装路で、デコボコ、砂利路面、飛び石ルートなどがあります。どこまで無理をするかになりますが、車椅子での散策は積極的にはお薦めできません。エリア内にある「そば甘味所さくら」はテイクアウト店で、店前のベンチテーブルなどでいただくお店です。
バラ園のバリアフリー状況です。バラ園は、メイン通路は車椅子で散策できます。
メイン通路から、十分にバラを鑑賞できます。
最後にレストラン棟の状況を紹介します。出入口に段差はありません。
お土産店は出入口と同じ高さにあり、段差なく利用できます。
レストランは段差の上で、段差回避スロープが設置されています。
レストランは可動式のテーブルがあります。今回取材時、メニュー数はかなり限定的でした。
レストラン棟内にバリアフリートイレがあります。スペースは一般的なサイズの個室で、設備はシンプルなトイレでした。
直売所以外の施設は古く老朽化を感じますが、四季のエリアを除けば、園内の主要施設は車椅子で観覧できます。4月から6月は、チューリップなどで園内は華やかに彩られます。トップシーズン以外の季節での、ぐんまフラワーパークの車椅子でのお薦め施設は、パークタワー、5つの鑑賞温室、バラ園です。また冬季はイルミネーションが開催されます。
16,000株の紫陽花が咲く「荻窪公園」と「道の駅赤城の恵」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年11月に書き直しました)