波乗り道路をドライブ 九十九里有料道路 バリアフリー情報

千葉県の九十九里海岸を走るドライブルート「九十九里有料道路」。この道は防潮堤でもあり、東日本大震災後、津波対策のため一部区間をかさ上げする工事を行いました。そして2017年12月24日、全線開通しました。

最大で2mのかさ上げが行われた波乗り道路。車窓から見える景観が変わった気がします。

すべての区間がかさ上げされたのではありません。全長17.2km内の8.9kmが対象で、波乗り道路の北側約半分がかさ上げされました。住所でいえば、九十九里町から白子町まで。白子以南の、長生村、一宮町の区間は対象外です。

総事業費は80億円ということ。道路の管轄は「千葉県道路公社」。千葉県による公共投資です。

道路の路面は新しくて滑らかにフラットです。快適なドライブが楽しめます。道路のみならず「一宮休憩所」もリニューアル。構造は変わっていませんが、綺麗になりました。この休憩所にはバリアフリートイレがあります。

九十九里有料道路

九十九里有料道路の

九十九里有料道路の

九十九里有料道路の利用料金は普通車420円。「千葉県道路公社」のHPには明確な案内はありませんが、障害者手帳の提示で半額の210円に減免されます。

今回の工事を機に、料金徴収が機械式やETCに変わるかと思いましたが、料金所に人がいる対応でした。また従前と同じく手帳を見せるだけで減免されたので、登録車両でなくとも、障がい者が乗車していれば料金が減免されるルールのようです。

シーサイドドライブロード、波乗り道路は、以前よりも2m上からの景観を楽しめます。

(本稿は開通直後の2017年12月の取材に基づいています)

九十九里の浜焼きの名店「浜茶屋向島」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ご覧ください。

カネコ種苗ぐんまフラワーパーク 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

群馬県前橋市の「ぐんまフラワーパーク」は、赤城山の麓にある有料の公園で、施設全域が赤城山に向って上る緩やかな斜面です。

バブル期に群馬県が企画建設をすすめ、1992年に開園しました。2018年よりネーミングライツで名称が「カネコ種苗ぐんまフラワーパーク」に変更されています。

園内の主な施設は、開園以来大規模な改修が行われていない様子で、今回取材時は施設の老朽化が進んだ印象を受けました。それでも多くの施設は段差回避ができ、車椅子で散策と鑑賞が楽しめます。車椅子からみた主な施設のバリアフリー状況を紹介します。

ぐんまフラワーパーク

アクセスは車が便利です。来園者用の無料駐車場が南北2か所にあり、南駐車場は普通車397台、バス35台、北駐車場は普通車124台を収容します。メイン駐車場は南駐車場です。今回取材時は、北駐車場は閉鎖されていました。

南駐車場の身障者用駐車スペースは、正面右側のバス用駐車場にあります。施設敷地のフェンスよりに6台分、バス用駐車場内にも数台分の身障者用駐車スペースがあります。

ぐんまフラワーパーク

駐車区画のペイントが剥げていてわかり難い状況ですが、よくみると薄くラインがあります。

ぐんまフラワーパーク

区画に書かれているのは車椅子マークではなく、「身」「障」「者」「駐」「車」「場」の漢字一文字です。

ぐんまフラワーパーク

この身障者用駐車スペースから、段差解消箇所を通行して正面ゲートに向かいます。

ぐんまフラワーパーク

途中に車椅子マークのサインがあるので、それに従って迂回して進みます。

ぐんまフラワーパーク

すると正面ゲートに向かう段差迂回スロープがあります。

ぐんまフラワーパーク

スロープを上から見た写真です。角度は急ではありません。車椅子での通行は可能です。

ぐんまフラワーパーク

スロープを上がると、正面ゲート前に到着します。

ぐんまフラワーパーク

正面ゲート付近のバリアフリー状況です。チケット販売窓口は有人対応です。ぐんまフラワーパークの入園料は季節変動制で、トップシーズンは4月から6月。入園料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。窓口で障害者手帳等を提示して減免を申請します。

ぐんまフラワーパーク

正面ゲートには貸し出し用の車椅子などが用意されています。

ぐんまフラワーパーク

ゲートを通り入園すると、目の前に「直売所」があります。この施設は近年新設されました。ゲートの目の前は直売所の出口。今どきの構造のスロープが設置されています。

ぐんまフラワーパーク

反対側が直売所の入口です。店内では農産物、加工品、物産品が並びます。うどん、蕎麦などの軽食コーナーがあり、販売窓口とカウンター席が用意されています。店内はスペースにあまり余裕がありませんが、段差のない構造で、車椅子で買い物ができます。

ぐんまフラワーパーク

大花壇周辺からパークタワーのバリアフリー状況です。フラワーパーク中央部の傾斜面を通行しながら、シンボルであるパークタワーに向かいます。

ぐんまフラワーパーク

パークタワーの後方は、赤城山麓です。

ぐんまフラワーパーク

ルートは段差路にみえますが、段差の横にスロープ路が用意されています。

ぐんまフラワーパーク

どの高さにも、必ずスロープ路があるので、ルートを選べば車椅子で通行できます。

ぐんまフラワーパーク

一段上がったところに整備されている花壇がある休憩スペース。

ぐんまフラワーパーク

そこからはパークタワーまで、一直線にスロープ路があります。

ぐんまフラワーパーク

パークタワーは2塔が建ち、それをつなぐ展望ブリッジがある構造です。正面から見て左側の塔にエレベーターがあります。

ぐんまフラワーパーク

エレベーターのかごは一般的なサイズで、普通サイズの車椅子は乗り込むことができます。

ぐんまフラワーパーク

展望ブリッジから赤城山麓方面を眺めた写真です。下にあるのは「フラワーホール」です。

ぐんまフラワーパーク

展望ブリッジから正面ゲート方面を眺めた写真です。関東平野を見渡します。

ぐんまフラワーパーク

赤城山麓の西側をみた風景です。下に写っているドーム群が、次に紹介するフラワーパークの目玉施設「5つの鑑賞温室」です。

ぐんまフラワーパーク

5つの鑑賞温室のバリアフリー状況です。文字通り、独立した5つの温室を巡ります。各温室の位置は高低差がありますが、正しい順路で回ると、温室内のスロープで無理なく高低差をクリアできます。一見、どの温室から観てもよさそうに思えますが、観覧順路にしたがってください。

ぐんまフラワーパーク

一つ目の温室は「メキシコゾーン」です。

ぐんまフラワーパーク

最初のつかみは、サボテン温室。

ぐんまフラワーパーク

温室内はバリアフリー通路が整備されています。

ぐんまフラワーパーク

2つ目の温室は「ブラジルゾーン」。

ぐんまフラワーパーク

3つ目の温室は「インドネシアゾーン」。

ぐんまフラワーパーク

この温室にバリアフリートイレがあります。

ぐんまフラワーパーク

スペースは一般的なサイズの個室です。

ぐんまフラワーパーク

4つ目の温室は「フィリピンゾーン」。

ぐんまフラワーパーク

滝が落ち、池があり、魚が泳ぎます。

ぐんまフラワーパーク

最後の温室は「イベント温室」。

ぐんまフラワーパーク

綺麗に整備された温室です。

ぐんまフラワーパーク

車椅子でイベント温室内を一周できます。

ぐんまフラワーパーク

5つの鑑賞温室から、四季のエリアに進むのが一般的なルートです。

ぐんまフラワーパーク

このエリアはほとんどが未舗装路で、デコボコ、砂利路面、飛び石ルートなどがあります。どこまで無理をするかになりますが、車椅子での散策は積極的にはお薦めできません。エリア内にある「そば甘味所さくら」はテイクアウト店で、店前のベンチテーブルなどでいただくお店です。

ぐんまフラワーパーク

バラ園のバリアフリー状況です。バラ園は、メイン通路は車椅子で散策できます。

ぐんまフラワーパーク

メイン通路から、十分にバラを鑑賞できます。

ぐんまフラワーパーク

最後にレストラン棟の状況を紹介します。出入口に段差はありません。

ぐんまフラワーパーク

お土産店は出入口と同じ高さにあり、段差なく利用できます。

ぐんまフラワーパーク

レストランは段差の上で、段差回避スロープが設置されています。

ぐんまフラワーパーク

レストランは可動式のテーブルがあります。今回取材時、メニュー数はかなり限定的でした。

ぐんまフラワーパーク

レストラン棟内にバリアフリートイレがあります。スペースは一般的なサイズの個室で、設備はシンプルなトイレでした。

ぐんまフラワーパーク

直売所以外の施設は古く老朽化を感じますが、四季のエリアを除けば、園内の主要施設は車椅子で観覧できます。4月から6月は、チューリップなどで園内は華やかに彩られます。トップシーズン以外の季節での、ぐんまフラワーパークの車椅子でのお薦め施設は、パークタワー、5つの鑑賞温室、バラ園です。また冬季はイルミネーションが開催されます。

16,000株の紫陽花が咲く「荻窪公園」と「道の駅赤城の恵」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年11月に書き直しました)

ダイヤモンド富士を仰ぐ 山中湖花の都公園 車椅子バリアフリー情報

山梨県山中湖村の「花の都公園」は、重度の障がいのある人でもダイヤモンド富士を仰ぐことができる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

山中湖花の都公園

公園の全体概要です。山中湖に近い標高1.000mの地にある30万㎡の公園です。無料の花畑エリアと有料のエリアがあります。有料エリアには屋外施設と屋内施設があります。有料エリアは季節により料金が変動します。夏が最も高い入園料で、春と秋は少し安くなります。そして冬は有料エリアも無料開放されます。

入園料は障がい者減免制度があり、本人の入園料が約4割引に減免されます。身障者用駐車区画のある有料駐車場が用意されています。駐車料金の障がい者減免制度はありません。

公園の全体概要

無料の花畑エリアのバリアフリー状況です。有料エリアを挟むように、無料の花畑エリアは大きく2つのブロックに分かれます。

春から秋まで、季節のお花が栽培され、自由に鑑賞できます。散策路は未舗装路もあります。車椅子では舗装区間から無理のない範囲で花畑を楽しみます。

無料エリアのバリアフリートイレは、売店の近くと食事処の近くにある2つの公衆トイレに用意されています。

無料の花畑エリアのバリアフリー状況

有料エリアのバリアフリー状況です。駐車場からフラットな「花の都大橋」を渡り、有料エリアに向かいます。

屋外エリアは「清流の里」。水車や滝などがシンボルの施設です。車椅子で散策路を移動することが出来ます。

有料エリアのバリアフリー状況

屋内施設は「フローラルドーム ふらら」。植物園、科学館、喫茶コーナーなどがある施設で、エレベータがあり、館内全域を車椅子で利用できるバリアフリー施設です。

バリアフリートイレは、「清流の里」のトイレと、「フローラルドーム ふらら」内のトイレに用意されています。

有料エリアのバリアフリー状況

ダイヤモンド富士の鑑賞方法です。「花の都公園」からダイヤモンド富士がみえるのは、12月から1月にかけての夕方です。晴天の確立が高い季節なので、出現率は50%をはるかに超える年が多いようです。その日のダイヤモンド富士出現予想時刻は、公園のHPなどで前年の実績を参照して見当をつけます。

ダイヤモンド富士の鑑賞方法

「花の都公園」は、上手に利用すれば避寒出来るバリアフリー環境が揃っています。車でアクセスした場合、有料駐車場の身障者用駐車区画に停めます。そこから「花の都大橋」を渡り、屋内施設「フローラルドーム ふらら」に向かいます。この間は100mほど屋外を通行します。寒いので防寒対策をしてください。

ダイヤモンド富士の鑑賞方法

この季節は「フローラルドーム ふらら」は入館無料です。1Fの喫茶は営業しています。「フローラルドーム ふらら」の壁面は大きなガラス面です。温かい屋内1Fのフリーテーブルがあるスペースからでも、ガラス越しにダイヤモンド富士をみることができます。

ダイヤモンド富士の鑑賞方法

屋外ではバリアフリーな「花の都大橋」が鑑賞ポイントの一つになります。ダイヤモンド富士の出現時間は5分程度です。その間寒気に耐えられる人は「花の都大橋」からの鑑賞がお薦めです。温かい屋内でスタンバイをして、ダイヤモンド富士の出現の直前に外に出て下さい。

その日の鑑賞ベストポイントは、他の来場者の立ち位置で見当がつきます。大きなカメラを構えている人の近くにいれば、間違いありません。

ダイヤモンド富士の鑑賞方法

山中湖花の都公園は、屋内施設「フローラルドーム ふらら」を中心にバリアフリーな施設です。そして重度の障がいのある人でも、冬のダイヤモンド富士を仰ぐことができる可能性がある施設です。

別稿で山中湖周辺のドライブコースを紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2018年12月の取材に基づいています)