障がいのある家族と、足の悪いお年寄りと、そしてベビーカーの幼児と一緒に、安心安全に利用できる、茨城県の穴場バリアフリー観光スポットを厳選して紹介します。
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〇地質標本館(つくば市)
正式名称は「国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質標本館」。筑波研究学園都市にある各種研究機関の公開施設の中でも、穴場度はトップクラスの施設です。名称を見ただけでは地味な印象を受けますが、見たことがない奇石が並ぶ、石の美しさに魅了されるミュージアムです。地質に関して興味の薄い人、就学前の幼児でも楽しめる、お薦めの穴場施設です。
〇つくば植物園(つくば市)
国立科学博物館の研究施設で正式名称は「筑波実験植物園」です。一般公開していますが研究施設なので、観光目的の演出は一部に限られる真面目な植物園です。それでも複数ある温室や屋外展示エリアは、植物の素人でも十分に楽しめます。屋外型の穴場施設です。
〇地図と測量の科学館(つくば市)
国土交通省国土地理院の施設で、筑波研究学園都市らしい知の拠点です。一般公開エリアには、子どもから楽しめる展示物が多々あります。屋外エリア、屋内エリアとも、車椅子ベビーカーで利用できるバリアフリー仕様。それなりに人気施設ですが、もっと多くの人に知っていただきたい面白い穴場施設です。
〇水戸芸術館(水戸市)
シンボルタワー、劇場、コンサートホール、アートギャラリーなどがある文化施設です。シンボルタワーは常設、その他はイベントが開催されます。特に穴場としてお薦めなのは、「現代美術ギャラリー」で開催される企画展です。広々としたバリアフリースペースで、面白い企画展が開催されます。
〇常陽史料館(水戸市)
常陽銀行が運営する貨幣や経済の資料館です。B1が企画展示室「アートスポット」と、お金や経済に関わる常設展示がある「貨幣ギャラリー」。1Fはラウンジでは資料映像の鑑賞ができます。2Fは「資料ライブラリー」です。コンパクトですがバリアフリーな施設。穴場度が高い資料館です。
〇茨城県植物園(那珂市)
昭和56年に開園した地元の人に愛されている植物園です。「熱帯植物館」と「展示室」の屋内施設、ツバキ園、ボタン園、水生植物園、カエデ園などテーマ別の屋外展示、隣接して無料屋内施設「きのこ博士館」などがあります。施設は老朽化している箇所がありますが、バリアフリー改修されているので、車椅子ベビーカーで利用できます。植物園としては、ハイレベルな展示内容です。混雑回避できるお出かけ先として、お薦めできます。
〇坂東郷土館ミューズ(坂東市)
図書館、視聴覚室、天体観測ドームなどがある、地域の公共施設です。ここにある資料館で、美術ファンが注目する企画展が定期的に開催されます。この「資料館の展覧会」がこの施設の魅力です。HPなどでチェックして、興味のある企画展をご覧ください。
〇山方淡水魚館(常陸大宮市)
「日本一小さな規模の水族館」と自称している、穴場マニアにお薦めしたい施設です。窓口から2歩進むと、特別天然記念物「オオサンショウウオ」の水槽が3槽並んで展示されています。あまりに小さい施設なので驚きますが、車椅子ベビーカーで鑑賞できる水族館です。
〇鵜の岬(日立市)
核施設は「県営国民宿舎鵜の岬」で、エリア一帯が穴場公園として整備されています。海の散歩道、森の遊歩道、谷の散歩道、スイレン池とアヤメ池、遊具広場、そして海鵜の飼育ケージなどがあり、宿泊しなくても散策を楽しめます。国民宿舎別棟のレストランはバリアフリーで、ランチ営業をしています。ただし散策路はいずれも途中に段差があるので、車椅子ベビーカーでは無理のない範囲での散策になります。
〇日鉱記念館(日立市)
日立鉱山跡地にあるJX金属グループの企業資料館です。本館内の展示は段差構造で車椅子ベビーカーでの見学可能範囲は限られますが、屋外展示物、鉱山資料館は段差がありません。鉱山で使用された本物の設備や機材が見学できます。山中にある穴場施設です。
〇吉田正音楽記念館(日立市)
「有楽町で逢いましょう」など昭和の歌謡曲1,800曲を作曲した吉田氏を記念した施設です。「かねみ公園」の山頂部にあるので、最上階は展望カフェがあります。オールドファンにお薦めの穴場施設です。
〇しもだて美術館(筑西市)
地下駐車場があるので車でアクセスすれば、雨天でもまったく濡れずに利用できるバリアフリー美術館です。面白い企画展と充実したコレクション展が開催されます。ハード、ソフト両面で、もっと多くの人に知っていただきたい上質な美術館です。
〇板谷波山記念館(筑西市)
陶芸家板谷波山が誕生したのは1872年。その生家を活用した記念館です。生家、工房、そして展示館があります。工房を再現した作業場内には、波山が独自考案した和洋折衷様式の窯の展示などがあります。陶芸に興味の薄い方にもお薦めできる穴場施設です。
〇真壁伝承館(桜川市)
真壁町は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。その街歩きの拠点になるバリアフリーな公共施設です。施設はグッドデザイン賞を受賞したデザイン建築。また2つの常設展示室と1つの企画展示室がある「真壁伝承館歴史資料館」があります。穴場の観光地にある穴場の公共施設です。
〇間宮林蔵記念館(つくばみらい市)
穴場の中の穴場です。復元移築された生家と平屋構造の記念館があります。あまり知られていない、間宮林蔵の人生が学べる真面目な施設です。
〇牛久シャトー(牛久市)
神谷傳兵衛記念館、オエノンミュージアム、ショップ、レストランがあります。「牛久シャトー本館」は旧牛久醸造場事務室で、国重要文化財指定、近代化産業遺産認定を受けています。施設のほとんどはバリアフリー対応済みですが、神谷傳兵衛記念館は階段構造で車椅子ベビーカーでは1Fだけの見学になります。現在では事実上市の施設となった穴場施設です。記念館は無料公開されています。
〇牛久自然観察の森(牛久市)
里山の自然を保全した公園で、「タヌキの森」「コジュケイの林」「バッタの原」などが整備されています。散策路はほとんどが未舗装路ですが、固くてデコボコが少ない路面が多いので、気合を入れれば車椅子ベビーカーで利用できます。ネイチャーセンターはバリアフリー仕様。里山の自然とバリアフリーに触れ合える穴場の森です。
〇砂沼広域公園(下妻市)
ため池の砂沼(さぬま)を中心にした公園です。東側の「観桜苑」と呼ばれる「水生植物ゾーン」が散策エリア。そして砂沼に架かる「砂沼大橋」の渡橋が魅力。ここでしか見られない風景があります。水上散策が楽しい穴場の公園です。
〇下妻市ふるさと博物館(下妻市)
戦国時代に当地を治めた多賀谷氏の館をイメージした、武家屋敷のようなデザインの大きな建物の施設です。展示内容は充実しています。常設展の後半は下妻にゆかりのある人々に関する展示。ハード、ソフト両面で、レベルの高い穴場博物館です。
〇土浦市立博物館(土浦市)
土浦城があった地に建つ、お城のような外観の博物館です。1988年の開館のため、今どきのバリアフリー仕様ではありませんが、車椅子ベビーカーで観覧可能です。霞ヶ浦一帯の地理と歴史、土浦の歴史、土浦城や城主たち、そして刀剣の展示などがあります。穴場の施設です。
〇笠間日動美術館(笠間市)
建物は複雑な構造で、数多くの展示室や屋外に多種多様なアートを展示。独特の世界観があるオンリーワン美術館です。バリアフリー面でも一筋縄ではいきませんが、車椅子ベビーカーで何とか観覧できます。美術への関心が薄い方でも、一度は訪れることをお薦めしたい穴場施設です。
〇石の百年館(笠間市)
知る人ぞ知るマニアックなミニ博物館です。この地の名産である「稲田石」について深く解説しています。実効床面積は40坪強しかありませんが、常設展があり、企画展が開催されます。「石の百年館」とは、100年を超える稲田石の採掘の歴史と、これからの100年の稲田石の発展を祈念したネーミングです。
〇大野潮騒はまなす公園(鹿嶋市)
鹿島灘に向って滑る全長154ⅿのローラー滑り台、高さ40ⅿ海抜77ⅿの展望塔、プラネタリウム、郷土資料館などがある大規模公園です。この地は「はまなす」の自生南限の地で、園内には「はまなす」の花壇が整備されています。最寄駅は鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅」で、公園の開園に併せて駅名を改名した当時は、日本一長い駅名の駅でした。このようにいくつもの特徴がある穴場公園です。
〇古河公方公園(古河市)
花桃の名所で春には約1,500本が咲き誇ります。桃祭りの間は大混雑する公園ですが、その期間以外は穴場公園になります。夏は蓮の花が見事。古民家がある「御所沼エリア」では梅、こぶし、つつじ、ススキなど、季節のお花が楽しめます。
〇天王崎観光交流センター(行方市)
霞ヶ浦の景勝地「天王崎公園」にある施設で、日帰り温泉、産直ショップ、そして会議室や多目的室など地域住民のための公共施設がある、観光拠点と地域交流を目的とした施設です。屋上は霞ケ浦を眺望する無料のバルコニーで、車椅子ベビーカーで利用できます。一般的にはほとんど情報がない、超穴場施設です。霞ヶ浦ドライブの休憩に利用できます。
〇霞ヶ浦浮島園地和田公園(稲敷市)
万葉の時代からの景勝地「浮島」に整備された公園です。霞ヶ浦に突き出しているような立地で、看板など商業的なものが一切見えない風景に出合えます。護岸舗装路の上から見る霞ヶ浦は絶景。霞ヶ浦通だけが知る穴場公園です。
〇龍ヶ崎市歴史民俗資料館(龍ヶ崎市)
2フロア構造の迫力ある外観デザインの資料館です。屋外展示がユニークで、龍ヶ崎鉄道を走ったSL、農家の納屋、昔の雑貨屋、動いている水車小屋などが保存展示されています。ここは穴場です。
〇つむぎの館(結城市)
古民家や蔵など9つの建屋からなる施設です。ショップ「結の見世」はバリアフリー構造ですが、結城紬「資料館」の2Fへは階段、結城紬の展示がある「古民家陳列館」は段差構造など、車椅子ベビーカーで利用できない施設もあります。土蔵や離れは、外部からだけですが自由に見学できます。結城紬の地元問屋が100周年事業で開設した穴場ミュージアムです。
〇予科練平和記念館(阿見町)
2010年に開館したバリアフリー施設です。この地にあった「海軍飛行予科練習部」の史実と、日記、通信簿、手紙、肖像写真など遺族から寄贈された個人の資料が展示紹介されています。もちろん大人向きですが、小学生以上であれば、概要は理解できる展示内容です。
〇幕末と明治の博物館(大洗町)
穴場中の穴場施設です。大洗の高台、隣はキャンプ場という立地に建つ、昭和4年に開館した歴史ある博物館です。設立者は幕末から明治維新の時代に活躍した田中光顕伯爵。明治天皇像や天皇からの下賜品、幕末の志士や明治の元勲の書画や美術品などが展示されています。旧館は開館当初の姿をとどめているアンティークな空間。展示ケースはいまや骨董品。大人の見学先としてお薦めできる博物館です。
茨城県には車椅子やベビーカーの家族と利用できる、バリアフリーな穴場施設が多々あります。いずれもお薦めできる穴場施設です。
(本稿は2021年5月に執筆しました)