重文指定の茅葺建築に車椅子でお参り 黒羽山大雄寺 バリアフリー情報

栃木県大田原市の「黒羽山大雄寺」は、600年以上の歴史がある禅寺です。7つの茅葺建築物があり、国の重要文化財指定を受けています。

山寺なので車椅子でのお参りは簡単ではありませんが、最低限のバリアフリー対応はあります。現地の状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2019年7月の取材に基づいています。

 

○車椅子利用者専用駐車場あり

アクセスは車が便利です。参拝者用の一般無料駐車場はお寺のある山の下にあります。そこから階段の参道か、舗装された急坂を上り大雄寺に向かうのが一般ルートです。

この急坂は車椅子では苦労します。お寺への道は一般車両通行禁止ですが、車椅子利用者は通行できます。そして門前に2台分ほどのスペースがある、障害者専用駐車場があります。

車椅子利用者専用駐車場あり

○障害者専用駐車場から境内へ

障害者専用駐車場から、舗装された坂道を少し上がります。左手に「総門」があり、段差解消木製スロープが設置されていますが、快適に移動出来るスロープではありません。かなり力を入れて、ガタゴトしながら車椅子でスロープを通過します。

「総門」は茅葺で国の重文指定を受けています。

障害者専用駐車場から境内へ

○茅葺の回廊を行く

境内の周回は「茅葺の回廊」が巡ります。この回廊も国の重文指定を受けています。

茅葺の回廊を行く

回廊の下の道は、古民家の土間のような状況です。堅く踏みしめられた土の道で、デコボコが多々ありますが、車椅子で通行できないことはありません。

茅葺の回廊を行く

「総門」からみて左回りに行くと段差があります。車椅子では右回りに進みます。途中にまた段差解消木製スロープがあるので、力を入れて車椅子で乗り越えます。

茅葺の回廊を行く

その先本堂まで、土間のような土の路面が続きます。快適ではありませんが、頑張れば本堂の前まで車椅子で行くことが出来ます。

茅葺の回廊を行く

○境内は車椅子通行不可

健常者の参拝ルートは「総門」から境内の中央部を通り本堂へ向かいます。回廊の内側の境内中央部は、車椅子では通行できない段差構造です。車椅子では回廊から境内を観る参拝になります。

境内は車椅子通行不可

境内は車椅子通行不可

○本堂の茅葺は壮観

茅葺の最大の建造物は本堂です。国の重文指定を受けている大伽藍。ご本尊は釈迦如来像です。

本堂の茅葺を眺めるなら、車椅子では「総門」付近からがベストです。

本堂の茅葺は壮観

「黒羽山大雄寺」は、黒羽藩主大関家累代の墓所がある菩提寺です。周囲には歴史のある史跡が多々ありますが、車椅子での見学は難しい悪路を通ります。「総門」から茅葺の回廊周辺の参拝までが、車椅子での限界です。

 

○障害者用トイレ有り

「東司(とうす)」とよばれる独立棟がトイレです。回廊の外側「総門」の左手にあり、障害者用トイレが用意されています。

障害者用トイレ有り

○関係者用駐車場に現代アートあり

障害者専用駐車場の少し下に、関係者用駐車場があります。ここに屋外展示の現代アート作品があります。

関係者用駐車場に現代アートあり

「黒羽山大雄寺」は茅葺の建築物が見ごたえのある古刹です。ただし車椅子ではかなり無理をする参拝になります。体力に応じての参拝を心掛けて下さい。

上野公園 車椅子で江戸歴史探訪 寛永寺バリアフリー情報

現在は東京都台東区。

上野の東叡山寛永寺は、17世紀前半に天海大僧正によって創建され、最盛期には現在の上野公園全域をはるかに超える寺領をもつ大寺院でした。

車椅子で上野公園を巡りながら江戸時代を想う。実は歴史探訪が楽しい上野公園です。

 

○最盛期の本坊は現トーハクにあった

スタートは「東京国立博物館」から。ここに巨大な本坊があり、小堀遠州により庭園が造営されました。

本坊は現存していません。春秋だけ公開されるトーハクのお庭は、寛永寺本坊の庭園の一部です。

最盛期の本坊は現トーハクにあった

○旧本坊表門は当時の門

国立科学博物館の裏、輪王殿の入口にある「旧本坊表門」は、現トーハクの地にあった本坊の門で、100mほど横に移築されました。

上野戦争で官軍が彰義隊に向かって撃った弾痕が残る門です。

旧本坊表門は当時の門

○根本中堂は噴水広場にあった

トーハクの前に広がる噴水広場。ここに根本中堂がありました。

寛永寺の公開資料によると、当時の根本中堂は、間口45m、奥行42m、高さ32m。なんとも壮大。建立は1698年です。

上野桜木にある現在の根本中堂は、明治政府から寛永寺の再建が許された明治12年に、川越喜多院の本地堂を移築したものです。寛永寺の創建者、天海大僧正は喜多院の僧。そのご縁からのことかと思われます。

根本中堂は噴水広場にあった

○お顔だけの大仏は6mの坐像だった

“これ以上落ちない”として受験生に人気の上野大仏。おおよそ現在の大仏パコダ付近に鎮座していたようです。

天災、人災、廃仏毀釈、日本軍への鉄の供出など、9回は損傷、再建を繰り返した大仏様。現存するお顔は、高さ6mの釈迦如来坐像のお顔です。

残念ながらお顔は階段の上。車椅子ではパコダを下から眺めて往時を想います。

お顔だけの大仏は6mの坐像だった

○清水観音堂の月の松は広重が描いた

段差のある施設、清水観音堂。

清水観音堂の月の松は広重が描いた

枝が丸い輪をつくる「月の松」は、段差下の公園通路からでも鑑賞できます。

「月の松」は歌川広重の代表作「名所江戸百景」で描かれています。もちろん、現在ある「月の松」は広重が描いた松ではなく、近年復活させた松です。

清水観音堂の月の松は広重が描いた

○五重塔も寛永寺の一部

東照宮の五重塔ではなく、五重塔も元は寛永寺の一部。現在の所有者は東京都です。五重塔は上野動物園からがベストビューです。

五重塔も寛永寺の一部

○不忍池は琵琶湖、弁天堂は竹生島

東の比叡山だから「東叡山」。家康公の遺言を受け、天海大僧正が大寺院の建立地を上野の山にした理由の一つは、比叡山と琵琶湖が再現できるからです。

不忍池は琵琶湖のイメージです。

現在弁天堂がある中ノ島は、竹生島をイメージした埋立地。

弁天堂は車椅子で参拝可能なバリアフリー構造です。

不忍池は琵琶湖、弁天堂は竹生島江戸時代の大寺院の跡を巡り、往時を想う。急坂道や段差路を避ければ、上野公園は車椅子で散策できます。

(本稿は2017年6月に執筆しました)

車椅子でお参り 東京浅草 浅草寺バリアフリー情報

東京都台東区浅草。浅草寺は車椅子でお参りが出来るバリアフリー寺院です。現地の状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2018年10月の取材に基づいています。

○混雑に注意

浅草の浅草寺は、車椅子でお参りが出来るバリアフリー寺院です。問題は混雑。お祭りの日、節分やほおずき市など人気の高い年中行事の日、そしてお正月。こういう大混雑日の車椅子でのお参りはお薦めしません。

通常の状態での参道のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

 

○雷門は横から

参道のスタート地点は雷門。常に観光客で込み合うので、車椅子では横を抜けて進みます。大混雑日でなければ、横の歩道は車椅子で十分に通行可能です。雷門の見学と記念撮影は、横からでもそれなりに出来ます。

門を過ぎたところで、後方から門の正面へ。雷門の裏側は、それほどは混雑しません。車椅子で楽に観光が出来るはずです。

浅草寺

○仲見世は買い物可

参道を進むと仲見世に入ります。路面はフラットで車椅子での通行に問題はありません。

お店にもよりますが、仲見世のお店は販売台の高さが低いお店が多く、車椅子から商品が見やすく、手が届きやすいお店が多いと思います。仲見世の問題は混雑だけです。

 

○「宝蔵門」は門をくぐる

仲見世を抜けると「宝蔵門」へ。門の下は段差構造のお寺が多いのですが、「宝蔵門」はバリアフリーです。車椅子で「宝蔵門」をくぐり境内に向ってください。ここでも門をくぐってから、後ろから「宝蔵門」を眺めることをお薦めします。

浅草寺

○お水舎は少し苦戦

「宝蔵門」の先も参道はフラットな舗装路です。お水舎は車椅子ではやや苦戦します。無理のない範囲で清めてください。

「常香炉」は車椅子でも何とかなります。問題は混雑だけです。

浅草寺

○エレベーターで本堂へ

本堂前に到着します。大混雑時は別ですが、本堂階段前の行列が20~30mくらいなら、そのままエレベーターを目指して大丈夫でしょう。エレベーターは本堂の左側です。大きなサインがあるので、すぐに分かります。

浅草寺

○本堂内へ

エレベーターは地上と本堂の2フロア対応。本堂フロアに着いた先はスロープで進みます。そしてそれほど横入りする感覚もなく、お参りができるはずです。

浅草寺

○内陣は靴を脱いで

本堂内は車椅子で移動できますが、内陣は段差構造で土足厳禁です。また本堂右側にはスロープがないので、車椅子で外部に出ることは出来ません。

浅草寺

参道から本堂にかけて、浅草寺はバリアフリー構造で、車椅子でのお参りができます。ただし大混雑時は車椅子では苦戦するので、通常の人出の日のお参りをお薦めします。