東京下町木場 車椅子で薔薇を楽しむバリアフリーな散歩道

東京都江東区の木場には、穴場的な薔薇の名所が点在しています。この一帯はほとんどアップダウンがなく、平坦な舗装路、整備された歩道を車椅子で移動しながら、あまり混雑することのない薔薇園を車椅子で楽しむことが出来ます。

深川ギャザリア、木場公園、豊住公園の順で、現地のバリアフリー状況を紹介します。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

〇深川ギャザリア ガーデンコート

核テナントがイトーヨーカドー木場店の大規模商業施設にあるお庭です。花壇が整備され季節のお花が楽しめます。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

ガーデンコートは1年中植栽を楽しめますが、春と秋の薔薇の季節は綺麗です。もちろん薔薇以外の花卉草木も楽しめます。

コート内はフラットな舗装散策路なので、車椅子で問題なく移動できます。また商業施設の中にはバリアフリートイレが用意されています。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

〇都立木場公園

木場駅に近い公園の南西部にある「都市緑化植物園」内に薔薇園があります。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

舗装された散策路から、十分に薔薇を楽しめます。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

薔薇に限らず都市緑化植物園は、舗装散策路からほとんどすべての展示が鑑賞できます。唯一「枯山水」のお庭だけは、車椅子では厳しいデコボコ路からの鑑賞になります。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

園内の公衆トイレにはバリアフリートイレが用意されています。また隣接する東京都現代美術館はバリアフリー施設です。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

木場公園全体のバリアフリー状況は、別稿「東京都現代美術館・木場公園 車椅子利用ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

〇豊住公園

木場公園の東隣にある給水所を活用した公園です。薔薇園の規模は大きくありませんが、穴場的な楽しみがある公園です。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

薔薇園があるのは、公園の南東部、車椅子用スロープがある付近です。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

薔薇園というよりも、隙間スペースを活用して薔薇を育成しているイメージです。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

効率よくスペースがバラ園として活用されています。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

豊住公園自体は、テニスコートとゲートボール場など、スポーツ施設が中核の公園で、公園内を車椅子で散策する雰囲気ではありません。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

公園内の公衆トイレに、バリアフリートイレが用意されています。

木場 車椅子で行くバリアフリーな薔薇を楽しむ散歩道

いずれも木場駅から徒歩圏内です。また深川ギャザリア、木場公園には、それぞれ大規模な駐車場が用意されています。

(本稿は2021年5月に執筆しました)

川﨑 生田緑地の障がい者に優しいサービスをまとめてご紹介

神奈川県川崎市の「生田緑地」は、広大な敷地に多くの施設が点在しています。緑地自体はアップダウンがあり、車椅子での利用はつらいところがありますが、ご自分やご家族の体力の範囲で上手に利用すれば、身体障がいのある方も楽しめます。

そして障がい者に優しいサービスが数多く用意されています。障がい者減免制度などをまとめて紹介します。

なお本稿は2019年8月に執筆しました。その後に制度変更される可能性があります。各施設の最新情報を確認して利用してください。

○駐車料金の減免制度

生田緑地には東口と西口にそれぞれ駐車場があります。両駐車場とも、障害者手帳の提示で駐車料金が無料に減免されます。

「東口ビジターセンター」または「西口サテライト」に、駐車券と障害者手帳を提示して減免処理を受けます。受付時間は17時までです。

駐車料金の減免制度

○日本民家園

古民家が移築されている有料施設です。障害者手帳の提示で本人と介助者1名の入園料が無料に減免されます。

園内にはバリアフリートイレがあります。ただし、アップダウンは強烈です。ご自身と介助者の体力に応じて利用してください。

日本民家園

○かわさき宙と緑の科学館

川崎の自然を学ぶ常設展とプラネタリウム、科学実験室などがある施設です。バリアフリーな施設でバリアフリートイレがあります。

常設展は無料。そしてプラネタリウムは有料ですが、障害者手帳の提示で本人と介助者1名の観覧料が無料に減免されます。

かわさき宙と緑の科学館

○岡本太郎美術館

東西どちらの駐車場からでも岡本太郎美術館までは、アップダウンを通るアクセスになります。身障者の利用を事前に連絡しておけば、美術館まで車で送迎できるように手配していただけます。ただし送迎だけで、駐車は東西駐車場の利用になります。

岡本太郎美術館の入館料は、障害者手帳の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。

美術館内はバリアフリー仕様です。屋外にある「母の塔」は高さ30mのシンボルタワー。太郎の母親、岡本かの子さんがこの地に生まれ育ち、太郎も母の里帰り出産でこの地で誕生したということです。

美術館には「カフェテリアTARO」があり「TAROブレンド」や「太陽のパフェ」があります。

岡本太郎美術館

○藤子・F・不二雄ミュージアム

入館料が無料になる障がい者減免制度があります。介護が必要な障がい者は、介助者1名まで無料になります。

チケットは日時指定制で、ローソンで事前購入する制度。障がい者の場合も同様です。最初にミュージアムに希望日時を連絡し、チケットの予約をして、ローソンに行き無料券を発行します。当日は無料券と障害者手帳を窓口に提示して入館します。有料の同行者がいる場合は、有料分のチケットもミュージアムで事前予約をします。

藤子・F・不二雄ミュージアムも、岡本太郎美術館と同様に身障者に限る駐車場の特別運用があります。細かい利用ルールがあるので、来館日時が決まったら、ミュージアムに電話で連絡して利用要領を確認して下さい。館内はバリアフリー仕様です。

藤子・F・不二雄ミュージアム

○生田緑地ばら苑

ばら苑は開花の季節だけ開園します。元は向ケ丘遊園地で、現在は生田緑地の一部になりました。入苑は無料で「ばら苑募金」への協力がお願いされます。

ばら苑専用の独立した有料駐車場があり、更に身障者専用の無料駐車場があります。

一般駐車場は山の下にあり、そこから坂登りと階段登りをしてばら苑に向かいます。身障者用駐車場は、身体障害者手帳をもっている障がい者だけの専用駐車場で、ばら苑のすぐ横にあります。正面入口の誘導スタッフに相談して誘導を受けてください。ばら苑内に、バリアフリートイレがあります。

生田緑地ばら苑

生田緑地内の施設には、障がい者向けの様々なサービスがあります。

※本稿の一部の写真は、生田緑地HPのフォトギャラリーにある、自由な利用が許諾されている写真を使用しています。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

東京のバラの名所「本郷給水所公苑」は給水所の屋上にあります。隣接する「東京都水道歴史館」と併せて、現地のバリアフリー状況を紹介します。

「本郷給水所公苑」

所在地は東京都文京区本郷。御茶ノ水駅と水道橋駅の中間にある、東京都水道局が管理する「本郷給水所」の上部を人工地盤にして造られた公苑です。

公苑は和風庭園と洋風庭園に分かれ、バラ園は洋風庭園にあります。53品種、300株のバラが植えられていると公表されています。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

屋上庭園なので車椅子で行くとスロープを上ります。スロープは2箇所あります。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

車椅子利用者に推奨されているスロープは、公苑の南側、順天堂大学側のスロープです。

順天堂大学側のスロープ

公苑の西側のスロープは傾斜角度が強く、入口には自転車の通行を妨げる棒が3本立てられています。

公苑の西側のスロープ

車椅子用の南側スロープを上ると和風庭園側に入ります。和風庭園内は段差路が多く、車椅子での庭園内散策には不向きな路面です。公苑の外周路がフラットなので、車椅子では公苑の縁に沿うようにして洋風庭園に進みます。

和風庭園は段差路

洋風庭園内はほぼ全域車椅子で通行可能なフラット路面です。

バラ園は車椅子での散策可

バラ園は車椅子で移動できます。

バラ園は車椅子での散策可

開花シーズンは春と秋です。

バラ園は車椅子での散策可

「東京都水道歴史館」

「本郷給水所」の一角に建てられた無料の歴史博物館です。来館者用の専用駐車場はありません。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

1995年に開設された歴史館ですが、改装されて車椅子で見学ができます。3F構造でエレベーターがあります。かごのサイズが大きい車椅子で乗り込めるエレベーターです。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

バリアフリートイレは1Fにあります。一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器が備えられています。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

見学コースは2Fから始まります。2Fが江戸時代の水道の歴史の紹介、1Fが明治以後の歴史の紹介です。3Fはライブラリーで、水道に関わる図書や資料があり、閲覧が出来るフロアです。多言語対応の音声ガイダンス端末の無料貸出サービスがあります。2Fには江戸時代に使われた水道管などの実物展示や、長屋の再現などがあります。

「玉川上水ものがたり」のコーナーは、玉川兄弟の上水開発の物語を、アニメと人形劇で紹介しています。玉川上水は1654年に開設。江戸幕府が開かれて約50年後に完成した上水路。玉川上水が出来る前の江戸市民の水に関わる苦労話も紹介。江戸市民の生活をかけた上水開発の歴史を学べます。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

エレベーターで下りると、1F展示順路の途中にでます。ここの展示構成は、コース順に従って見たほうが楽しめます。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

最初は「癒しの水風景」からで、村山貯水池の取水塔の実物大のレプリカの中を通ります。村山貯水池は1927年、山口貯水池は1934年、そして小河内ダムが1957年の完成です。

その先には、牛馬用・犬猫用・人間用と3つの水飲み場が設けられた水道栓「馬水槽」のレプリカ展示。そして日本最大級の水道管の展示があり、明治以後の近現代の水道史が学べます。

現在の東京都内の区市の水道供給ライン編成の解説があります。この区は「金町浄水場」ライン、あの区は「朝霞浄水場」ライン、というエリア別の分布が可視化された模型で学べます。複雑にラインが入り組んだエリアや飛び地などがあり、とても勉強になります。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

1Fの休憩コーナーには、東京水をいただける給水コーナーがあります。

本郷給水所公苑バラ園と水道歴史館

「本郷給水所公苑」は車椅子でスロープを上りバラ園を楽しめます。「東京都水道歴史館」は車椅子で見学が出来るバリアフリー施設です。

江東区有明にある、下水について学ぶ「虹の下水道館」を別稿で掲載しています。ご参照ください。

(本稿は2022年9月に加筆しました)