ぐっすりよく眠れるというのは、健康の証拠です。身体障がい、知的障がい、精神障がい。障がいがある人は、睡眠がうまくとれない人が多く、本人と家族を悩ませます。
夜間でも定期的に吸引するなど、医療的なケアが必要な人を介助する家族は、どうしても連続睡眠が十分にはとれません。
医療的ケアがない人でも、障がいのある本人が夜中に起きて騒ぐと、家族は十分な睡眠がとれません。
障がいのある人が安定した睡眠がとれることは、本人と家族の健康のために大事なことです。
障がいのある人やその家族が、睡眠が不安定である状況を医師に訴えると、一般に睡眠導入剤が処方されます。不眠に悩む障がいのある人の睡眠導入剤について紹介します。
睡眠導入剤は、飲んでから効き始めるまでの時間と効いている時間によってタイプ分類がされます。
早く効いて早く醒めるタイプから、効き始めまでは時間がかかるが効いている時間は長いタイプまで、数段階に分類されます。
一般に処方されるのは「超短時間作用型」で、10分位で効き初め、4時間程度効き目が続くタイプです。代表的な薬剤は「ハルシオン」です。
睡眠導入剤はリスクのある薬です。医師の処方を守らなければなりません。
一日中ほぼ寝たきりの人でも、夜はぐっすり眠りたいもの。睡眠薬というと体に悪いことをしているような気もしますが、障がいのある家族に合った良い薬があれば、処方の範囲で、積極的に使用しても構いません。
近年、全く副作用がないと考えられている、睡眠導入のための薬が処方されることが増えてきました。メラトニンです。
メラトニンは米国ではサプリメント扱いで、一般の健康食品と同様のレベルで市販されています。
日本では医薬品扱いで、医師の処方が必要です。どんな薬なのか、専門的な記述ではなく、イメージで概要をご紹介します。
メラトニンは人間の脳内にある自然物質で、寝ているときに大量に分泌されます。メラトニンがあることは、すなわち眠っている状態であることになります。メラトニンを摂取して体内のメラトニン量を増やすことで、体が睡眠に向かう自然の力を生み出す、というイメージです。
一定期間、連続して摂取することで、睡眠導入効果が高まります。体がメラトニンを摂取すると、睡眠に入るという反応が定着するためです。
使用方法は寝る前の摂取です。摂取したら寝る、という反応を体に刻み付けることが大切です。
夜中に目が覚めてしまった、というときも服用できます。
就寝前、夜中と、一晩に複数回使用しても問題はありません。
メラトニンは副作用の事例はありませんが、常軌を逸した量を服用してはいけません。処方に従って服用してください。
現在日本で処方されるメラトニン薬剤は、すべて錠剤形態です。
錠剤が服用できない障がいのある人は、調剤薬局で粉末にすりつぶして服用します。
アイスやヨーグルトなどに混ぜて服用しても問題はありません。
夜の安定した睡眠は、障がいのある本人にとっても、一緒に住む家族にとっても、とても重要な問題です。
生活のリズムが確立できるように、睡眠導入剤を上手に利用してください。
(本稿は2019年11月に執筆しました)