茨城県筑西市の「しもだて美術館」は、車椅子で利用しやすい美術館です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
2003年、旧下館市時代に誕生した施設です。その後2005年に4市町が合併して筑西市になりました。施設の全体名称は「アルテリオ」。地下駐車場から3階の美術館まである構造で、ガラス張りの建物です。
1Fには下館のお祭りを紹介するコーナーがあります。
車椅子で利用できるカフェとミュージアムショップもあります。
アクセスは車が便利で、美術館利用者は無料になる地下駐車場があります。広くて使いやすい身障者用駐車区画は4台分を用意。雨の日も濡れずに利用できます。
エレベーターは2系統3基あり、車椅子で上下階移動できます。
かごのサイズはゆとりのあるエレベーターです。
バリアフリートイレはB1にオストメイト付きが、1Fには2つ、そして3F美術館内にも用意されています。写真は1Fの女性用トイレ入口にあるバリアフリートイレの内部です。
企画展およびコレクション展の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。施設全域バリアフリーで、車椅子での利用に大きな問題はありません。
「しもだて美術館」の展示室は4室。静かでゆっくりと作品の鑑賞が出来る美術館です。すべての空間はバリアフリー。車椅子での利用に大きな問題はありません。
空中展示プロムナードと名付けられた、渡り廊下のような通路があり、ガラス張りの壁面越しに、下館の眺望を楽しめます。
今回取材時は企画展「切り絵アート展」とコレクション展「秋冬期所蔵品展」が開催中でした。展示会場内のバリアフリー状況を紹介します。
「切り絵アート展」は、2018年9月29日から12月16日の開催。キャッチコピーは「息を呑む繊細美」です。11人の切り絵作家110点の作品展示会です。
展示方法は、壁面に作品が並ぶシンプルなスタイル。高さや作品間の間隔など、車椅子から見やすい展示です。繊細な作品だけに、作品に顔を近づけて鑑賞することも許されます。その場合は車椅子からだと、作品をやや下から見上げる高さです。
手法は共通して「切り絵」ですが、目指す表現は作家によって全く違います。11人による違うアートを鑑賞する企画展です。
展示方法は作家別。コーナーの最初に作家の紹介があり、10点前後の作品が展示されます。
小さなA4サイズの繊細な切り絵の製作に、2か月かかると紹介される作家も。繊細な美の製作には時間がかかります。
最後の1室がコレクション展「秋冬期所蔵品展」です。下館にゆかりのある作家の作品がコレクションの中心で、見る価値があります。ここも車椅子での鑑賞に大きな問題はありません。
下館ゆかりの芸術家は大勢います。例えば画家の森田茂と陶芸家の板谷波山。二人とも文化勲章受章者です。
別稿で「板谷波山記念館」の情報を掲載しています。ぜひご覧ください。
「しもだて美術館」は車椅子で観覧できるバリアフリーな美術館です。
(本稿は2021年7月に加筆修正しました)