千葉県鋸南町「佐久間ダム湖」周辺のバリアフリー観光情報です。車椅子からみた現地の状況を紹介します。
佐久間ダム湖は1976年に着工して1986年に完成した農業灌漑用堰止湖です。ダムの周辺を「佐久間ダム湖親水公園」とし、花の名所としています。水仙と桜の名所として名高く、近年は紫陽花とハスの植栽をすすめています。ダム周辺の道路は狭く、周囲に人家もないため、一帯は秘境感があります。
全域がバリアフリーな公園ではなく、車椅子では段差のないスポットを訪ね、ドライブを楽しむ観光になります。
アクセスを館山道鋸南富山IC方面からの最短ルートでご紹介します。幅広い2車線の車道から、狭い山道の舗装路へ入ります。ダム湖に向かう最後の分岐路は、かなり狭い道です。ダム湖に到着して最初にあるのが「金銅橋」です。
佐久間ダム湖には一周約2㎞の散策路があります。周回路には決定的な段差はないので、その気になれば車椅子で散策できないことはありません。
周回コース以外の散策ルートは、部分的にスロープ路がある箇所もありますが、基本的には傾斜路、段差路、未舗装路なので、車椅子での散策は困難です。無理のない範囲の散策に限られます。
佐久間ダム湖周回コースから、車椅子で観光が可能なスポットやエリアを紹介します。最初はダムの心臓部「堤体」部の見学です。
前出のルートで金銅橋の手前のとても細い道を右折します。その先、ダムの西岸に出て道は行き止まり、そこに若干の駐車スペースがあります。
この先が歩行者のみ通行可のダムの「堤体」部です。このダムは、水位が上がると自然に水が川に流れる自由越流式の「洪水吐」。大崩川へ流れる放水路もここから見ることができます。
金銅橋を渡った先に、佐久間ダム湖のメイン駐車場があり、大きな「暁観音」が建っています。この一帯が紫陽花のポイントで、2011年から栽培されています。
この付近は舗装路を外れると、車椅子では通行が難しい悪路です。車椅子では無理をせずに散策してください。「暁観音」の近くにある公衆トイレには、バリアフリートイレがあります。
メイン駐車場から先のダム湖沿いの車道は、また狭くなります。車で「新長尾橋」を渡ると、ダム湖の東岸側の小さな駐車スペースがあり、「高橋尚子マラソン記念碑」があります。鋸南町でトレーニングをした記念で、高橋尚子さんは地元の出身ではありません。新長尾橋の近くにある公衆トイレにはバリアフリートイレがあります。
新長尾橋の奥が「古代ハス」の栽培ゾーンです。2013年から栽培が始まりました。この付近はバリアフリーではありません。車椅子からは無理をせずに見学してください。
更に狭い道を車で先に進みダム湖の南岸に出ると、2か所の駐車場があります。
その周辺に「ロックガーデン」と呼ばれる石が並べられた一角や、「親水公園」と呼ばれる湖畔に降りる一角があります。
車椅子でも湖水に近づけるスロープ路がありますが、傾斜角度があるので無理のない範囲で観光してください。このエリアにある公衆トイレにもバリアフリートイレがあります。
車椅子から水仙を眺めるなら、この付近がお薦めです。駐車場は身障者用駐車スペースの設定はありませんが、フラットな舗装路面です。
車道横の斜面に水仙が群生しています。
車道から車椅子で水仙を鑑賞できます。
湖水側にも水仙が咲きます。水仙の開花シーズンが終わると、梅が咲き始めます。
駐車場の先は車両通行止めです。前出の歩行者専用「堤体」部になります。
水仙の名所「をくづれ水仙郷」へは、金銅橋の先の道をダムの反対方向へ左折し、ダム湖畔から離れて山の中に車で進みます。ここから1kmほどが、水仙が咲くエリア「をくづれ水仙郷」。水仙の町鋸南の名所です。
水仙の開花シーズンは、この道を歩くことが推奨されていますが、傾斜が強い坂道です。車椅子利用者には徒歩は推奨しません。車でドライブしながらの水仙鑑賞をお薦めします。車の窓を開けると、水仙の強い匂いを感じます。
この先、車道は幹線道路まで続き、西は鋸南保田IC方面に、東は鴨川方面に抜けることができます。
佐久間ダム湖の周辺は、場所を選べば車椅子で観光することが出来ます。
(本稿は2022年1月に加筆修正しました)