障がいの状況に応じた車椅子用レインコートの選び方

障がいの状況に応じた車椅子用レインコートの選び方

様々なタイプの車椅子用レインコートが市販されています。どのようなレインコートを選ぶべきか、ポイントを紹介します。

○生地が薄手か厚手か

素材の問題です。使い捨てレインコートの様な薄いものから、頑丈な厚手の防水生地まで様々な素材があります。一般に厚手のレインコートが高価で、数万円するレインコートがあります。薄手のレインコートは、1千円台から市販されています。

しっかりとした防水及び防寒を望むなら、価格の高い厚手素材のレインコートが安心です。防寒効果は強く望まないなら、新素材を使用した防水効果の高い薄手の生地を使用したレインコートが、コンパクトに収容できて重量が軽く持ち運びに便利です。

素材が薄くなるほど、風の影響を受けてめくれやすくなります。バンドやボタン、あるいはゴム、ロープなどで、レインコートを複数箇所で車椅子に固定できるタイプが安心です。

○腕付きかポンチョか

頭からかぶるだけなので、ポンチョは着用が簡単です。介助者が車椅子を押す場合は、腕が出ないポンチョ式レインコートは使えます。ただし風に弱く、まくれ上がる可能性があります。車椅子の下部に複数箇所固定できる機能があると安心です。

車椅子を自走する場合は、腕付きのレインコートが便利です。介助の場合も使用に問題はありません。欠点は「着る」「脱ぐ」が少し面倒であることと、濡れたレインコートの扱い方に少し気を遣うことです。

着替えや、車椅子自走の運動的な能力が高い人なら、上下セパレートタイプも選択肢です。

○タイヤが隠れるか、タイヤが出るか

レインコートの前の長さは、足が隠れてフットレストの下側まで生地がまわり、ゴムや紐で固定できるデザインになっています。

横側の長さ、デザインは、タイヤが隠れる長いタイプと、タイヤがでる短いタイプがあります。

長いタイプは、レインコートがタイヤに巻き込まれる可能性があります。そうならないための安全機能、固定ポイントなどがあると安心です。

短いタイプは、雨が横から入り込む可能性があります。隙間なく着用できるかがポイントです。

車椅子にテーブルなど装着品がある場合は、実際に試着して横側の状態を確認することをお薦めします。

障がいの状況に応じた車椅子用レインコートの選び方

○手押しハンドル、介助ブレーキが使いやすいか

自走の場合は関係ありません。介助移動する場合は、介助者がハンドルやブレーキを操作しやすいかがチェックポイントです。

手押しハンドル箇所に、レインコートを巻き付けて固定できるタイプがあります。操作がしやす事に加えて、しっかり固定できると、後ろからの風にレインコートがまくられる危険が減少します。

○雨天使用後に裏側に水滴がついにくいデザインか

たとえば、レインコートを使用して、送迎のバスに乗り、そこでレインコートを脱ぎ、車内のフックに濡れたレインコートをひっかける、ことを想定します。

実際にひっかけて、扱いやすいデザインか、確認できるとより安心です。特に数万円の高額なレインコートを選ぶときは、利用者の利用シーンを想定して使い心地をチェックすると、間違いのないレインコート選びができます。

少しでも快適に車椅子で雨天を過ごせるように、適正なレインコートを選択してください。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「車椅子利用者など重度の身体障がいがある方の電動ベッドの選び方」を掲載しています。ご参照ください。