日本を代表するリゾート地の一つ、栃木県那須町の那須高原。20万本のヤマツツジ群落がある「那須八幡つつじ園地」では、老朽化したバリアフリー木道の整備工事が進んでいます。ここは大自然の中を車椅子で散策できる観光スポット。2021年6月時点で「なす高原自然の家」の駐車場から「中央展望台」までの区間が整備されました。現地のバリアフリー状況を紹介します。
那須高原八幡自然研究路の概要です。本稿で紹介するバリアフリー木道は、那須高原に整備されているハイキングコース、トレッキングコースのごく一部です。フルコースは全長3㎞前後で、健脚の人で走破に3時間程度かかる本格的なルート。自然路なので車椅子での走破は困難です。
車椅子で走破できるもう一つのルートは、「つつじ吊り橋」です。身障者用駐車スペースがある「つつじ吊り橋駐車場」から、吊り橋まで車椅子で散策できます。このルートも自然に触れ合う素敵なバリアフリーコースです。吊り橋からは「那須八幡のつつじ園地」の遠景を楽しめます。吊り橋の先は自然路になるので、車椅子通行は吊り橋までです。
本稿で紹介する「なす高原自然の家」からのバリアフリー木道ルートは、「那須八幡のつつじ園地」内を走破するルートで、「中央展望台」は「那須八幡のつつじ園地」の中にあります。展望台の先は自然路になるので、車椅子通行は困難です。
「つつじ吊り橋」と「中央展望台」は、バリアフリー歩道ではつながっていません。したがって車椅子では、それぞれの駐車場から、それぞれのバリアフリー歩道の最終地点までの散策になります。
自然路を歩ける健脚の人なら、「つつじ吊り橋」と「中央展望台」を巡る「那須八幡のつつじ園地」一周コースは、30分程度で走破できます。
「なす高原自然の家」の駐車場は分かりやすい場所にあります。「なす高原自然の家」は利用者しか中に入れませんが、駐車場の横にある公衆トイレにバリアフリートイレが用意されています。
駐車場からのバリアフリー木道への入口は、目立つサインがありません。迷うとすると、ここです。公衆トイレの前に身障者用駐車スペースがありますが、トイレ付近からではありません。また「つつじ吊り橋」へというサインがある箇所は、自然段差路への入口です。
バリアフリー木道への入口は、駐車場から「なす高原自然の家」をみて、その左奥にあります。
バリアフリー木道の路面状況です。2020年8月から、傷んだ木道の再整備工事が始まりました。
駐車場からしばらくの間は、古い状態の木道が残されています。
この再整備されていない区間の木道の路面は、板のつなぎ目などに小さな段差があります。慎重に車椅子を進めてください。
まもなく、再整備された木道の区間に入ります。ここから先は快適なフラット路面です。
舗装路面のようなフラットな木道です。多少の傾斜がある区間もありますが、問題なく車椅子で大自然の中の散策が楽しめます。
中央展望台の横、下の写真箇所がバリアフリー木道の終点です。この先は整備された、未舗装砂利路面の段差路です。
中央展望台は階段で上がる展望台です。車椅子では上がることができません。展望台の下からは、ヤマツツジ群落に囲まれているので、遠方を眺望することはできません。車椅子で見晴らしの良い景色を楽しむなら、「つつじ吊り橋」ルートがお薦めです。中央展望台ルートは、森の中の散策が魅力のコースです。ちなみに中央展望台の上からは、以下の写真の景観が楽しめます。
中央展望台ルートの森の中の散策。その魅力の一端をご紹介します。初夏のツツジ、秋の紅葉は有名です。ただしピーク時は、有名なだけに混雑することは覚悟してください。
ツツジと紅葉のピークを外せば、那須高原八幡つつじ園地は空いています。ミズナラなどが生きる豊かな森に、高山植物が咲き、野鳥が飛び、虫たちの天国が広がります。出会ったことはありませんが、動物も生息しているはずです。5月から7月ごろにかけては、エゾハルゼミの大群が木立で鳴きます。知識がないとセミの声とは思えないほどの喧騒。ここでしか出会えない、自然の大合唱です。
駐車場からバリアフリー木道に入ってすぐの地点には、清らかな水と草木のコントラストが美しい小さな池が佇んでいます。
那須高原八幡つつじ園地のバリアフリー木道は、短い区間ではありますが、車椅子で大自然の中に飛び込める、貴重な観光スポットです。
那須高原の観光スポットのバリアフリー情報を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年6月に執筆しました)