静岡市の三保の松原は、世界文化遺産富士山の構成資産として登録される名勝です。2019年に三保の松原の玄関施設「みほしるべ」が開館しました。「みほしるべ」を拠点にした、三保の松原の車椅子観光の状況を紹介します。
施設の正式名称は「静岡市三保の松原文化創造センターみほしるべ」です。アクセスは車が便利で、身障者用駐車スペースが設けられた無料駐車場があります。
三保の松原の観光コースは2つあります。一つは御穂神社へとつづく全長約500ⅿの松並木の歩道「神の道」の散策です。「みほしるべ」を拠点にして、神の道は車椅子で散策できます。御穂神社の参拝をして神の道を往復すると1㎞強の行程です。
もう一つの観光コースは「羽衣の松」などを巡る海岸エリアの散策です。このルートは傾斜路を上がり、未舗装通路を通り、海岸付近は砂浜を通行します。一般的な車椅子では散策が困難なコースです。
「みほしるべ」に「砂浜対応車いす」があり、無料で借りることができます。事前予約が推奨されていて、原則として介助者が2名必要です。車椅子の移乗ができる方は、ぜひご利用ください。「みほしるべ」1F受付に利用を申し込みます。
砂浜対応車いすは、1F「通り土間」に2台用意されています。ちなみに「通り土間」は飲食可のエリアです。
後部に収容されている金属製の牽引バーを前に倒し、介助者1名がリヤカーを引く要領で、もう1名が後ろから押して、砂浜対応車いすを動かします。自走機能はありません。ディスクブレーキ、駐車ブレーキ付きで、リクライニング機能があります。小柄な車椅子利用者と元気な介助者であれば、介助者1名でも利用できそうです。
もちろん館内用の普通の車椅子の貸し出しもあります。
砂浜対応車いすに乗り換えて、「みほしるべ」から三保の松原海岸エリアへ向かう舗装傾斜路を上がります。
一般的な車椅子では通行が辛い角度の傾斜路です。
坂を上がると巨大な松並木のエリアに出ます。ここから先は未舗装通路で、一方通行指定の散策路になります。
砂浜対応車いすを利用できれば、樹齢300年と推定される三代目の羽衣の松を観ることができます。
その先、海岸へは砂交じりの未舗装下り坂を進みます。牽引バーは下り坂ではストッパーになります。
海岸に建つ「羽車神社」付近にくると、路面は砂浜になりますが、砂浜対応車いすなら通行可能です。砂浜から富士山、海、松原の風景が楽しめます。無理のない範囲を砂浜対応車いすで散策してください。
次に「みほしるべ」館内の状況を紹介します。「みほしるべ」はバリアフリー施設です。バリアフリートイレは1Fと2Fにあります。1Fのトイレは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。
2Fのトイレはやや狭い個室で、ウォシュレット付き便器が備えられています。
1Fに三保の松原を紹介する無料展示室があります。映像シアターでのガイダンス、羽衣伝説や富士山信仰の展示解説、三保の松原に関連する芸術や文化が紹介されています。展示室はバリアフリーで、車椅子で問題なく観覧できます。
2Fにテラスがあり、バリアフリーに景観を楽しめます。エレベーターで2Fへ上がります。かごのサイズは大きなエレベーターです。
テラスへの出入口は横開きの手動ドアです。段差はありません。
好天の日は富士山が見えます。
テラスから日本平の眺めも楽しめます。介助者がいない人、車椅子の移乗が出来ない人でも、「みほしるべ」の館内で三保の松原の自然と文化に触れることができます。三保の松原の玄関施設「みほしるべ」は、車椅子で利用できる観光施設です。
「静岡県富士山世界遺産センター」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年10月に執筆しました)