京都府舞鶴市の「赤れんが博物館」は、世界のレンガを集めたテーマ博物館です。明治時代の倉庫を活用していますが車椅子で観覧できます。現地のバリアフリー状況を紹介します。
海軍の町舞鶴に数多く残る、旧海軍が建てた赤レンガ倉庫の一号館。有料博物館として一般公開されています。明治36年に魚雷の倉庫として建てられた倉庫ですが、スロープ対応、エレベーター設置、バリアフリートイレがあり、車椅子で観覧できる博物館です。
博物館として1993年に開館。2008年に国指定重要文化財に指定。2016年には、舞鶴の旧鎮守府全体が日本遺産に認定され、この博物館がある赤レンガ倉庫の一号館は、主要構成文化財の一つとなっています。
駐車場は無料。身障者用駐車場は、やや解り難いのですが、博物館敷地入口に設置されています。駐車場から博物館の建物までは、最短でも30mほど距離があり、屋根はありません。
建物の入口付近は階段ですが、段差回避スロープがあります。建物に入るとすぐに受付があります。入館料の障がい者減免制度があり、障害者手帳の提示で、本人は半額、介助者1名が無料に減免されます。
博物館は2フロア構成。エレベーターは1基、バリアフリートイレは1Fにあります。バリアフリートイレはやや狭く、介助者と一緒に利用すると苦戦するスペースです。
展示スペースは1F、2Fともにフラットな構造です。車椅子での展示の見学に大きな問題はありません。
展示内容です。1Fの最初のコーナーは「古代のれんが」。エジプトやメソポタミアの日干レンガなどが展示されています。
次のコーナーは「世界のれんが」。古代ローマのレンガ、古代中国のレンガなどが展示されています。これらのレンガは、開館担当スタッフが、エジプトやローマ現地に直接交渉して、この博物館のために譲っていただいたレンガです。
なんでそんなことが出来たのか、と思ってしまいますが、交渉を担当したスタッフによると、レンガ獲得交渉は案外簡単だったという話。壊れてころがっているレンガを譲り受けるだけなので、ハードルは低かったそうです。
1F展示の目玉は「ホフマン窯コーナー」。かつてレンガ製造の主流であったホフマン窯内部を再現し、レンガの製作方法などを紹介しています。
1Fには事務所やトイレなどもあるので、展示スペースは1F全体の半分ほどのスペースです。
2Fはフロア全体が展示場。展示スペースは1Fの倍の面積があります。「日本のれんが」、「舞鶴市とれんが」「耐火れんが」「歴史を証言するれんが」と展示が流れます。
「歴史を証言するれんが」コーナーには、広島の原爆ドームのレンガ、アウシュビッツ強制収容所のレンガなどが展示されています。これらのレンガも、開館担当スタッフが現地で交渉して譲り受けたということです。
明治の遺産である赤レンガ倉庫が、レンガの博物館になりました。「赤れんが博物館」は車椅子で観覧できるバリアフリー施設です。
(本稿は2016年9月の取材に基づいています)