741年に発せられた聖武天皇の詔により全国で創建された国分寺と国分尼寺。現在の群馬県、当時の上野(こうずけ)国の国分寺が建てられた場所が史跡として公開されています。
現地に復元されているのは「七重塔の基壇」、「講堂の基壇」と塀である「築垣」です。「築垣」は舗装路から見学できますが、「七重塔の基壇」と「講堂の基壇」は未舗装路面にあり車椅子での見学は苦戦します。
そして上野国分寺を紹介するガイダンス施設「上野国分寺館」が無料公開されています。車椅子で見学ができる上野国分寺館を中心に現地のバリアフリー状況を紹介します。

史跡は前橋市と高崎市にまたがる場所にあり、徒歩圏に駅はありません。来場者用の無料駐車場「天平の道駐車場」が整備されています。史跡に近い場所の身障者用駐車スペースが2台分用意されています。

駐車場からほぼフラットな舗装路を進みます。復元された「築垣」が正面に見えてきます。

ガイダンス施設「上野国分寺館」へのルート上に、上り坂があります。角度はある坂ですが距離は短いので、元気な介助者がいれば車椅子で通行できます。駐車場から上野国分寺館までは200ⅿ程度の距離です。

上野国分寺館は、天平風外観デザインのワンフロア構造の施設です。段差解消スロープが設置されています。

入口は自動ドアです。現在はコロナ対策で出口は別に指定されていますが、この出口は段差があるので、車椅子では入口から退館します。

検温、手指消毒、簡単な記帳をして入館します。目を引くのは七重塔20分の1模型。仏典が保管された建物で、約60mの高さがありました。15階建てのビルに相当する建築物で、全国の国分寺の中でも最大級の規模であったと推定されています。

国分寺全体のジオラマ展示もあります。往時の姿がよく分かります。

館内の個室トイレはスペースに余裕があり、車椅子でも利用可能な仕様になっています。設備はシンプルなトイレです。

ガイダンス施設「上野国分寺館」の見学だけを目的にする場合は、車で直接アクセスできます。わかり難い道ですが、生活道路を通り、上野国分寺館まで車で来ることができます。

上野国分寺館の横に、おそらくは常駐スタッフ用に2台分の駐車区画があります。ここが仮に満車でも、短時間駐車しても迷惑にならないスペースはあります。

史跡上野国分寺跡の屋外復元施設の見学は、車椅子では無理のない範囲に限られますが、ガイダンス施設「上野国分寺館」は車椅子で観覧できます。
群馬の歴史と文化を学べる施設「群馬県立歴史博物館」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年2月に執筆しました)