茨城県笠間市の北山公園は、アップダウンがある山岳公園ですが、湿性生態園に咲く季節のお花は車椅子で楽しめます。現地のバリアフリー状況を紹介します。
「北山公園」という名の通り、山の起伏がそのまま生かされた公園です。公開されている公園マップでは園内の勾配がわかりませんが、園内全域アップダウンが激しい公園です。
今回の取材で実地調査した限り、坂道を完全に避けた園内ルートはありません。その中で、何とか車椅子で散策可能なルートをご紹介します。
実質的に笠間市が管理している公営公園です。無料公園ですが、とても綺麗に整備されています。駐車場は無料。キャンプ場、バーベキュー場の利用は有料になりました。長さ161mのローラー滑り台は無料。高さ23mの展望台も無料です。
ローラー滑り台はもちろん、展望台は階段のみで、キャンプ場、バーベキュー場へは、急な坂道を進みます。車椅子利用者はいずれも利用が難しい施設です。
広くて大きな公園です。公園は「白鳥池エリア」と「新池エリア」に分かれます。「白鳥池エリア」は全域アップダウンが激しく、一般的な車椅子利用者にお薦めできるルートはありません。「新池エリア」の池周辺と「湿性生態園」の散策が車椅子のお薦めルートです。
利用する駐車場は、管理事務所があるメイン駐車場です。カーナビには管理事務所の場所を登録してください。
広い駐車場で、身障者用駐車区画はその一番奥の管理事務所の前に2台分あります。突き当たりの場所なので、手前で切り返してバックで駐車する必要があります。
管理事務所内にバリアフリートイレがあります。今回取材した状況では設備はクラシックで、今やほとんど見ることが無くなった、細長いバリアフリートイレ専用便器がありました。
公園内に向かいます。管理事務所の脇から「新池」方面に向けて歩道がありますが、この道は途中で急な傾斜の下り坂になります。車椅子利用者にとっては、危険な傾斜なので迂回します。
車椅子では、遠回りになりますが駐車場の出入り口に戻り「モニュメント広場」といわれるエリアにそって車道を進みます。そして「新池」へ向かいます。車道から公園内の区画に入る箇所が傾斜ですが、短距離なので何とかなります。
「新池」周囲の歩道は、車椅子で回遊可能な傾斜レベルです。面白いのは「新池」の周りに、何も柵がないこと。車椅子で歩道からいきなり池に落ちる可能性があります。全く柵がない公園の池は、新鮮な光景です。自己責任で散策を楽しみます。
そのまま歩道を進むと「湿性生態園」にでます。ここはミズバショウ、ニッコウキスゲ、スイレン、カキツバタなどが季節によって咲く、とても綺麗なエリアです。夏の夜には蛍が舞います。
「新池」エリアに、ローラー滑り台と展望台がありますが、そこへは強烈な坂を登ります。一般的な車椅子利用者には、無理がある傾斜路です。
北山公園は山岳公園なので、車椅子で楽に散策できる範囲は限られますが、よく整備されたとても綺麗な公園です。
桜は公園全域に植栽され、「湿性生態園」の花の開花は春から夏が中心です。車椅子での利用は、4月から7月頃までがお薦めの公園です。
笠間市にある大規模公園「笠間芸術の森公園」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2016年5月の取材に基づいています)