東京都文京区の「永青文庫」は、深い砂利道のアプローチなど、車椅子での利用が簡単ではない美術館です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
なお本稿は2017年7月の取材に基づいています。
・美術館の概況
文京の閑静な高台に建つ、肥後細川家にゆかりのある文化財コレクションを楽しめる美術館です。
障がい者減免制度があり、観覧料は障害者手帳の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。
しかしバリアフリーではありません。
来館者用の駐車場はありません。敷地内への車の侵入は禁止です。
門から玄関まで、アプローチは深い砂利道を通ります。
館内にバリアフリートイレはありません。
・アクセスはタクシーが最善
椿山荘に近く、講談社野間記念館の奥、和敬塾の隣、という立地です。
すぐ近くには、車椅子で使いやすい有料民間駐車場が見当たりません。
地下鉄最寄駅は江戸川橋ですが、駅からの車椅子でのアクセスは坂がきつく距離もあります。
バスなら椿山荘からのアクセスになります。
車椅子利用者の場合、アクセスはタクシーが最善だと思われます。
・50mの砂利道を車椅子で通行する
「永青文庫」の門から建物入口までは、約50mの区間深い砂利道を通ります。車椅子がスタッグするタイプの砂利道です。ここは迂回ルートがありません。介助者がいると助かります。
また建物内外に、解消されていな小さな段差箇所が複数あります。
・ミニエレベーターが設置されました
建物は4階構造です。かつてはエレベーターがなく、車椅子利用者はギブアップでしたが、大ヒット企画となった「春画展」を契機に2015年にミニエレベーターが後付設置されました。これで車椅子での館内利用が可能になりました。
小型エレベーターですが、普通サイズの車椅子+1名はギリギリで乗れます。
・別館もバリアフリーではありません
2008年に改装されて一般公開された別館。現当主、細川護煕氏の陶芸品などが展示されています。喫茶コーナーとしても営業中です。
ただし、あくまで古いお屋敷を改装した建物です。特別なバリアフリー設備はありません。
・肥後細川庭園側からは段差ルート
隣接して「肥後細川庭園」がありますが、「永青文庫」と庭園を結ぶルートは階段路で、車椅子での通行は出来ません。
以上のように車椅子での利用には、注意が必要な施設です。
ミニエレベーターは設置されました。「永青文庫」はご自身またはご家族の障がいの状況に応じて、無理なく利用してください。