10代で出来ることが出来なくなった 先天性の障がいがある子供達

10代で出来ることが出来なくなった 先天性の障がいがある子供達

先天性障がいを引き起こす病気は様々あります。

例えば染色体異常といってもダウン症だけではありません。一般には聞いたこともない、○○症候群、のような病気が数多くあります。また同じ病気でも、多くの場合は発症の程度や経緯経過は千差万別です。成長の過程でおこる環境の変化、あるいは事故などにより、症状が変わることがあります。

先天性の障がいがある子供達

Aさんは症例が少ない染色体の病気です、小学校低学年のときは、自立歩行が出来て、好奇心が旺盛な少女でした。目立つ症状としては、不随意運動ということではないように見えますが、ほとんど止まらずに体を揺らしています。身長は普通の小学生程度にあり、特別支援学校の中では、運動能力は高いグループでした。学校はほとんど休みません。

中学校に進学したころから、徐々に自立歩行が難しくなり、ほとんど車椅子生活に移行。何より元気がなくなってきて、旺盛な好奇心も低下。ボーっとしている印象が増えてきました。

高校進学の頃、ご家庭が引越しをして住環境が変わりました。このころから活動能力が一層低下。学校から帰るとすぐに寝てしまい、そのまま朝まで起きなくなり、高校は週に2回程度しか通学できなくなりました。高校では排泄はオムツです。

高校卒業後は、重度障害者向けの通所施設に登録はしていますが、滅多に通えていません。自宅での寝たきりに近い生活になっています。

先天性の障がいがある子供達

B君は脳性麻痺で、聴力にも障がいがあります。

小学校入学時から車椅子生活ですが、頭脳は明晰なタイプで、やや不自由ながらも会話ができます。特別支援学校では良い意味で目立つ存在でした。小学校6年生の時に、よりハイレベルな教育環境を志向して聾学校に転校しました。ところがこの時期に、ヘルパーさんがB君を「落っことす」事故を起こしました。

医学的に所見がでるような頭部の怪我ではなかったのですが、この事故を契機になぜか運動能力の低下が始まり、中3の頃にはほとんど寝たきりになってしまいました。この数年間での運動機能低下は、医学的には原因不明です。

10代の若者が、成長とともに元気がなくなり、出来ることが出来なくなる。障がいの進行は残酷です。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「脳性麻痺の子ども 成長して始まる二次障がいとの戦い」を掲載しています。ご参照ください。