「予科練平和記念館」は旧海軍航空隊の史実を学ぶ資料館で、全館バリアフリー設計です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
「予科練平和記念館」は2010年の開館。施設全域がバリアフリー設計で車椅子での利用に大きな問題はありません。綺麗なバリアフリートイレがあります。入館料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。
アクセスは車が便利。駐車場には身障者用駐車区画があります。駐車場は屋根無しで、記念館エントランスまでは50mほどの距離。雨の日は、この間は濡れます。
先に2つの屋外展示品を紹介します。施設横のガレージの中には「零戦実物大模型」。忠実に再現された模型ということ。車椅子で正面から見学できます。もうひとつは「回天模型」。特攻攻撃で使用された人間魚雷の模型です。
予科練の制服は「7つボタン」がシンボル。それをモチーフに館内には7つの展示室があります。
展示物をみるタイプの展示室は5つで、車椅子から見難い展示はありません。
最後の2つの展示室は、資料映像をみる部屋。どちらも特別な車椅子席はありませんが、フリースペースから車椅子での映像鑑賞は可能です。
予科練平和記念館にはガイドスタッフが常駐。お願いすれば詳しい解説をしていただけます。
展示されている資料は、日記、通信簿、手紙、肖像写真など、遺族から寄贈された個人の資料がメインです。つまり、資料の多くは個人情報。館内は撮影禁止です。
館内には写真家土門拳氏が撮った、予科練の写真が展示されています。オフィシャルな写真は戦後すべて焼却処分されたそうですが、この写真は予科練生の個人所有で、処分を免れた貴重な資料ということです。
展示資料で知る予科練生の訓練と生活。ところどころでニュース映像が紹介される展示もあり、理解が深まります。
心技体を極めた飛行機乗りを養成するための、予科練のプログラムです。ささやかな楽しみであった、間食や娯楽室の様子を再現した展示もあります。10代の予科練生の日常が理解できます。
予科練が狙われて、戦時に阿見町はひどい空襲にあいました。資料として生存者の証言映像が流れます。予科練生が逃げ込む防空壕を、爆撃機がピンポイントで狙い、防空壕の中で大勢の予科練生が亡くなったということ。阿見市街地も焼野原にされたそうです。
記念館の隣接地は「陸上自衛隊土浦駐屯所武器学校」。その一角に予科練戦没者の碑がある「雄翔園」と、遺書や遺品を収蔵展示する「雄翔館」があります。入場、入館は無料の施設。記念館から「雄翔館」まで200mほどの距離で、車椅子での通行は可能です。
「雄翔園」の内部はデコボコルート。車椅子での一周は難しいので、無理のない範囲で見学してください。「雄翔館」は正面入口にスロープがつきました。車椅子での入館は可能です。戦死した、多くは10代の若者の、顔写真と遺書や遺品が展示されています。両施設の運営は「公益財団法人海原会」。予科練生や遺族などによる活動です。「予科練平和記念館」は車椅子で見学が出来る施設です。
青銅製立像で世界一のギネス認定「牛久大仏」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2018年7月の取材に基づいています)