国家資格である介護福祉士になるための「介護福祉士実務者研修」は、専門的で応用的な介護の知識や技術を学ぶプログラムです。その中心は、科学的根拠に基づいた支援を行うための思考プロセス「介護過程」の学習。障がいのある人を支援する人にとっても役に立つ技術です。本稿では「介護過程」のポイントをわかりやすく紹介します。
・支援する人の強みを考える
その人の出来ないことに加えて、出来ることをより重視して分析することの重要さを学びます。また現在の生活環境も併せて考察するので、社会の側にバリアがあるため困難を解消する責任は社会にあるとする「障害の社会モデル」に通じる思考で分析します。
・支援する人のあるべき姿を定める
いわゆる目標設定です。長期的な目標と、そこに向かうステップとしての短期的な目標を立案します。例えば「自立生活」が1年後の長期目標であれば、「支援者に意思を伝える」ことが3か月後の短期目標のようなイメージです。本人の意思が確認できない場合は、支援する家族の意思が尊重されます。
・目標を実現するための支援を考える
まだ若い障がいのある人の場合、周囲の支援者からすれば支援策であり、当事者にとっては克服すべき課題といってもよいかもしれません。「コミュニケーションボードをつかう」、「電動車いすを操作する」など、短期目標を達成するための作戦を検討します。
・支援を実行して成果を確認する
短期目標の設定期間に応じて評価を行います。評価はチームで行うことが基本です。家族介護の場合は「チーム」の概念が薄くなりがちなので、医療機関のスタッフ、通所している施設のスタッフ、訪問支援のスタッフなど、家族以外の関係者の意見を聞くことも大切です。
・目標と支援内容を修正する
正しく評価をして、必要であれば目標と支援策の修正を行います。順調であれば、次の段階の短期目標を設定し、新しい支援策を考えます。本人の状態や環境に変化があれば、分析に戻る必要があります。大切なことは、一歩ずつでも目標に向かい前に進むことです。
ビジネスパーソンの方なら、事業のおけるPDCAサイクルと看護過程のプロセスは同じと考えて相違ありません。介護福祉士実務者研修で学ぶ介護過程は、障がい者支援に科学的な根拠をもたらす技術です。
(本稿は2026年9月に執筆しました)