障害者手帳のカード化 国のガイドラインと想定されるメリット

障害者手帳のカード化

2019年4月から、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳のカード化が認められています。実施の判断は個々の自治体です。

2020年10月より、大阪府から交付権限を委譲されている箕面市で、全国初のカード型障害者手帳の交付が始まります。この他、佐賀県と大分県が2020年度中の導入を決定、東京都も早期のカード化を検討中です。

障害者手帳のカード化に関して、障がい者側が知っておくべきポイントを紹介します。

〇カードと従来型手帳は本人が選択できる

国の決定は、障害者手帳のカード型への移行ではなく、カード型と従来型手帳の併用です。どちらの手帳を選択するかは本人が決めます。

したがって、お住いの自治体でカード化が始まったら、障がい者側で判断をして、カード型障害者手帳に切り替えたい場合は自治体窓口に申請します。従来型手帳のままでよければ、何もする必要はありません。

箕面市では、既に手帳をもっている人のカード型への切り替えは、本人の誕生月に申請を受け付ける予定です。

なお重複した交付は認められません。カード型が交付されたら、従来型手帳は返納します。

〇コンパクトなサイズ

カード式のサイズは定められています。いわゆる免許証サイズです。

顔写真のサイズは22mm×27.5mm。従来型手帳の写真サイズは30mm×40mmなので、一回り小さい写真です。自治体で写真をスキャナーなどで読み取り、同サイズに修正して印刷することが想定されています。精神障害者保健福祉手帳で写真を添付しない様式は、カード型でも従来型手帳と同様に写真添付はありません。

カードの材質や表面の加工方法は、国のガイドラインはありますが、その範囲の中で自治体が判断します。

〇プライバシーを守る

障がいの詳しい内容は、カードへの記載は不要です。「視力障害」「体幹機能障害」などの障害種別だけを記載すれば可となっています。

ただし本人の意向をふまえて、傷病名や障害等級を記載してもよい、とされています。等級によって障害者減免措置がある施設などがあるので、障害等級は記載があったほうが便利かもしれません。

〇ICや磁気は任意

各自治体の判断で、カードにICチップや磁気ストライプを搭載できます。ただしカード化に関して、国からの予算補助は一切ありません。

箕面市のカード型障害者手帳にはQRコードが印字され、読み取ると障がいの詳しい情報が確認できる仕組みが導入される予定です。

〇備考欄の記載方法

有料道路障害割引や自動車税の減免措置など、従来型手帳で大きなスペースを使い証明が記されている事項は、シール化するなどして対応します。

〇カード型のメリット

持ち運びや、出し入れに便利で、耐久性に優れます。

障がいの詳しい情報を人に見られたくない障がい者にとっては、プライバシー保護になります。逆に障がいに関する情報量が少ないことをデメリットに感じる人もいるはずです。

また当面の間は、カードのICチップの情報で、自動改札で電車の運賃が障害者減免措置になるなどは想定出来ません。

カード化を実施するには、システム改修費用など各自治体での予算措置が必要です。多くの自治体では、費用対効果を検討している状況です。

限られた自治体だけですが、2020年度からカード型障害者手帳の交付が始まります。該当エリアにお住まいの障がい者とご家族は、カード型に切り替えるか否か、ご検討ください。

(本稿は2020年7月に執筆しました)

別稿で「法の定めがない知的障がい者手帳 歴史と課題をやさしく解説」を掲載しています。ご参照ください。