国交省プロジェクト 車椅子使用者用駐車施設のあり方検討会 中間整理の概要

車椅子使用者用駐車施設のあり方検討会

国土交通省が2022年3月25日付で「車椅子使用者用駐車施設等のあり方に関する検討の方向性(中間整理)」を公表しました。

この中間整理の方針に基づき、各種ガイドラインの改正、「車椅子使用者用駐車施設等の適正利用に関する指針」の作成、取組事例の収集と周知等が今後すすめられます。 方向性のポイントを抜粋して紹介します。

○幅広い駐車区画の優先利用者を明確にしていく

バリアフリー法では「車椅子使用者用駐車施設」という名称で、3.5ⅿ以上の幅がある駐車区画を規定しています。しかし現実には車椅子を使用しない障がいのある人、妊産婦など、幅広く施設に近い駐車区画を利用したい人がいます。

駐車施設の利用状況などに応じて、車椅子使用者用駐車施設の利用対象者を「定めることが必要である旨を位置づける。」としています。

○パーキング・パーミット制度を全国統一的な考え方にしていく

パーキング・パーミット制度は、令和3年末現在、全国の40府県4市で導入されていますが、利用対象者の範囲については地方公共団体により異なります。「制度の意義や制度名称等について基本的な考え方を統一することも検討すべき」としています。

○多様な駐車区画を確保していく

バリアフリー法では「車椅子使用者用駐車施設」を施設に近い場所に設置することを求めていますが、今後は「車椅子使用者用駐車施設と優先駐車区画を区分して確保するダブルスペース方式の普及や多様な利用者のニーズに対応したさまざまな駐車区画の確保」をすすめるべきとしています。

○不正利用への罰則導入は時期尚早

「欧米等で制度化されているように、不適正利用に対して罰則等の不利益処分を導入することにより、不適正利用の防止に一定の抑止効果があるとの意見が」ありますが、「罰則等の不利益処分については、現時点では制度化にあたり課題が多い。」としています。

○屋根の設置、後部スペースの確保などを啓発する

バリアフリー法で推奨する幅3.5ⅿ以上の広い駐車区画の導入は進んでいます。今後は「雨天時に円滑に利用するための屋根や庇の設置」、「区画全体の着色塗装等の表示方法」、「大型リフト付き福祉車両を利用する車椅子使用者の乗降のための後部ドア側のスペース」、「車高の高い車両に配慮した高さの確保」など「各ガイドラインの記載の充実化を図る」としています。

○バリアフリー化が難しい駐車場の取組事例を収集し周知する

狭い敷地、傾斜地、機械式立体駐車場、小規模なコインパーキングなどで、「車椅子使用者用駐車施設」の設置が進んでいません。これに対し「既存施設を改善・改修した事例や運用面での工夫により対応を可能とした事例等を収集し、事業者や設計者等への周知・広報啓発を図る。」としています。

また令和4年度も「多様な障害当事者、地方公共団体、施設設置管理者等も含めた意見交換」を実施し、「多様なニーズを踏まえた適正利用のあり方について検討」するとしています。

《生きるちから舎ニュース 2022年3月29日付》