熊野古道 熊野速玉大社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

熊野三社の一つ新宮市の「熊野速玉大社」は、バリアフリーではありません。車椅子での参拝は限界があります。車椅子で境内に進むルートから紹介します。

境内の入口「神門」へ向かう参道は、大鳥居がある最初の箇所に段差があります。車椅子では、正面からみて右手方向の駐車場側へ迂回して「神門」を目指します。

熊野速玉大社

駐車場は参拝者用の舗装された無料駐車場です。車で来社した場合もここを目指しますが、広くはないので満車になる可能性が高い駐車場です。身障者用駐車区画の設定はありますが、境内に近い場所の通常区画を転用したもので、駐車区画の広さは変りません。

熊野速玉大社バリアフリー情報

駐車場から境内の入口「神門」までは、ルートを選べばフラットな舗装路です。車椅子での移動に大きな問題はありません。

境内の入口「神門」は段差がありますが、バリアフリールートがあります。見た目では分かりにくいのですが、参道側から見て「神門」左側に引き戸があるので手動で開けます。ここが境内へのバリアフリールートです。段差回避スロープがあります。

熊野速玉大社バリアフリー情報

引き戸から境内に入ります。するとすぐに、深い砂利に車椅子の行く手を阻まれます。境内は一般的な車椅子では通行不能な深い砂利路面です。

熊野速玉大社バリアフリー情報介助歩行などが出来る方は、歩いて拝殿へ進みます。拝殿は左側にスロープ路があります。

熊野速玉大社

車椅子が動かない場合は、遠くから拝殿方面を拝むしかありません。

熊野速玉大社バリアフリー情報

授与所はスロープ引き戸のすぐ横なので、車椅子で利用できます。

駐車場から境内の入口「神門」まで車椅子で進み、そこから逆に参道に入ると、ほぼフラットな舗装路なので、大鳥居の手前まで車椅子で進むことができます。御神木の樹齢千年の「梛」は参道の横です。熊野三社の御神木らしい気配が漂います。駐車場からのルートで移動すれば、車椅子で御神木までたどり着けます。

同じく参道横にある「手力男神社」「八咫烏神社」は、車椅子でなんとか参拝可能です。

参道横にある有料施設「熊野神宝館」は、入口に7段の階段があり、館内は土足禁止です。受付スタッフに確認したところ、何らかの手段で階段を上ったら、館内は車椅子で見学してもよいそうです。熊野速玉大社は、数多くの国宝、古神宝を所蔵しています。

熊野速玉大社バリアフリー情報

駐車場側からの迂回ルートを通行すれば、車椅子で参道に行くことが出来ます。熊野速玉大社の車椅子参拝バリアポイントは、境内の深い砂利路面です。

なお那智の滝の詳しいバリアフリー情報は、別稿「熊野古道 那智の滝 飛瀧神社車椅子参拝ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

(本稿は2018年6月の参拝に基づいています)

熊野古道 中辺路 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

熊野古道は未舗装の段差路ですから、基本的に車椅子での通行は出来ません。しかしながら中辺路の起点「滝尻王子」の近くには、観光情報施設があります。熊野古道中辺路「滝尻王子」周辺のバリアフリー状況を紹介します。

中辺路

熊野古道、中辺路の起点「滝尻王子」の近くには、無料の観光駐車場があります。目立つ駐車場案内がなく、分かりにくいので注意してください。

駐車場は舗装されていて、公衆トイレにバリアフリートイレがあります。ウォシュレット付きのトイレで、外観よりも内部は綺麗です。

「滝尻王子」への入口には広場があります。道路から入口広場までは舗装スロープがあります。しかし広場に下りると、深い砂利路面で車椅子はスタックして動けません。

広場の元は売店だった施設が、現在は休憩所となっています。休憩所まで車椅子で数メートル移動するだけでも、かなりの力が必要です。

滝尻王子

深い砂利路面の入口広場を、何らかの方法でクリアしたとします。その先に段差があり滝尻王子があります。更に滝尻王子の左側先、ゴツゴツした未舗装路面といくつかの段差を進むと、熊野古道中辺路の起点が見えます。ここまで来ると、観光ガイドなどに載っている、あの熊野古道の風景が見えます。

熊野古道~中辺路バリアフリー情報

中辺路起点へは、車椅子のままでの移動は無理です。もし行くなら数人で車椅子を担ぎ上げるしかありません。

介助歩行が可能な方なら、距離はあまりないので、障がいの状況によっては、中辺路起点が見える地点までたどり着けるかもしれません。いずれにせよ、かなりの無理をするので、現地での判断が必要です。

「滝尻王子」の近くに観光情報施設「熊野古道館」があります。入館無料で熊野古道に関わる歴史資料館兼ウォーキングガイド施設です。

「熊野古道館」は中辺路の12の王子社にちなんだ、12角形の屋根をもつ川沿いに建つ施設です。「滝尻王子」への入口の道の反対側にあります。専用駐車場はありません。前出の無料観光駐車場を利用します。

「熊野古道館」へは、道路から歩行者専用路を通り向かいます。通路そして館内はフラットでバリアフリー仕様です。車椅子での利用に大きな問題はありません。

熊野古道~中辺路バリアフリー情報

今回訪問時、車椅子で入館すると「こんにちわ」とスタッフが元気に出迎えてくださいました。ここは障がいのある人のための施設です、という主旨の説明を受けました。

「熊野古道館」は、歴史資料の展示、ビデオ語り部、観光情報、グッズ販売、簡単な喫茶もやっています。観光情報でよく見かける「平安衣装」の貸し出しも行っています。車椅子でバリアフリーに、熊野古道、中辺路とふれあえる施設です。

熊野古道~中辺路バリアフリー情報

「熊野古道館」には、隣接地に別棟の公衆トイレがあり、バリアフリートイレがあります。このトイレもウォシュレット付き便器が備えられています。

実際の熊野古道を車椅子で散策することは困難です。車椅子での中辺路観光は、バリアフリーな観光情報施設「熊野古道館」を中心にすることをお薦めします。

なお那智の滝の詳しいバリアフリー情報は、別稿「熊野古道 那智の滝 飛瀧神社車椅子参拝ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)

熊野古道 那智の滝 飛瀧神社車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

名瀑「那智の滝」は、飛瀧神社の階段を通り滝壺拝所へ向かうのが通常の参拝ルートです。このルートは車椅子では通行不能ですが、その横に車椅子用通路が用意されています。「那智の滝」へのバリアフリールートについて、詳しく紹介します。

アクセスは車が便利です。車椅子用通路の起点は、飛瀧神社の関係者専用駐車場です。車椅子利用者は関係者専用駐車場の利用が認められます。

場所は飛瀧神社の鳥居の横。46号線の上り坂、急カーブの箇所です。付近には那智の滝観光用の有料駐車場が幾つか在ります。

関係者専用駐車場の入口にはパイロンが置かれています。スタッフがいない場合は、自分でパイロンを動かす必要があるので、健常な同行者がいると助かります。

関係者専用駐車場に車を停めます。駐車場の奥に柵があり、その先が車椅子用通路です。柵の横にインターフォンがあるので、車椅子利用の旨と人数を申告してください。インターフォンの連絡先は、飛瀧神社の社務所です。そこからスタッフが来ていただけます。したがってスタッフの到着まで数分は待ちます。

那智の滝バリアフリー情報

滝壺拝所へ行くのに志納料1人300円を納めます。志納料に障がい者減免制度はありません。スタッフが到着すると柵を開けていただけます。そしてここで志納料を支払います。支払いは現金のみなので、小銭を用意しておくと便利です。志納料を支払うとその場で「延命御守」がいただけます。

スタッフから「車椅子の介助はできないことになっています」という説明がありました。滝壺拝所までそれなりのアップダウンがあるルートで100m強。舗装路ですが路面は荒れています。腕力のある人なら自力でも行けるかもしれませんが、一般的な人なら介助者が必要です。

帰るときに出入口の柵の開閉を行うので、今回参拝時はスタッフが同行してくださいました。写真を撮りましょう、とカメラマンにもなってくださいました。このあたりの運用はケーズバイケースだと思います。

滝壺拝所は2段あり、車椅子用通路からは上段に到着します。下段へは階段移動なので、車椅子では降りることはできません。

那智の滝バリアフリー情報

那智の滝は飛瀧神社の御神体です。作法を守り参拝しましょう。熊野三社である那智大社は、近くですが別社です。

那智の滝は飛瀧神社の御神体

神社スタッフのお話しでは、7月の例祭「那智の火祭り」は、前日から参拝者の場所取りが始まるということです。この日にお出かけの場合は、状況が全く違うことを想定してください。

車椅子で行くことができる滝は希少です。しかもこの名瀑にこれほど車椅子で近付けるとは驚きです。快適なバリアフリールートではありませんが、志納料を納めて那智の滝への車椅子参拝に挑戦してください。

なお熊野速玉大社の詳しいバリアフリー情報は、別稿「熊野古道 熊野速玉大社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)