本堂は階段の上 車椅子では参拝できない吉見観音安楽寺

「吉見観音安楽寺」は、一般的な知名度は高くありませんが、本堂、三重塔、仁王門と仁王像、左甚五郎作と伝わる逸品もある、見事な古刹です。岩殿山安楽寺、通称が吉見観音です。

2016年10月に現地を取材した状況を紹介します。

境内の手前100mほどの場所に、広い無料駐車場があります。未舗装のラフな駐車場で、適当に停めます。

駐車場のすぐ近くに、一軒だけお茶屋さん兼お土産屋さんの店舗があります。名物は「厄除け団子」。年に一度の本尊御開帳の日に、これを食べると厄落としになる、ということで人気です。

「安楽寺」は坂東十一番札所。札所めぐりは本来信仰上の行為ではありますが、江戸時代になり平和で安定した世の中になると、庶民の娯楽として盛んになりましたす。

その土地を訪ね、地の名物をいただく。この吉見の山里も札所めぐりの参拝者で賑わいました。

現在ではイベントの無い通常の日は、静かな山里の古刹。ゆっくりとした時が流れています。

駐車場から境内への参道も静かです。参道の脇にはお地蔵さんが何体もあります。それ以外は何もない山里。民家が数軒あるくらいです。

参道はややガタゴトはありますが舗装路。緩やかな上り坂ですが、一般的な車椅子での通行は十分可能な参道です。

山里の中に建つ古刹です。1200年前に、聖武天皇の命を受けた行基が創始したと伝承されています。

本堂と三重塔は寛永年代、仁王門と仁王像は元禄年代に建造されました。

かつては、もっと巨大な伽藍をもつ大寺院であったのが、後北条氏の松山城攻めの際にすべての伽藍が焼失し、江戸時代に再建されたということです。

立派な建造物や彫刻物は、いずれも県の文化財に指定されています。

参道を突き当たると、境内に向かう階段があります。階段の横に、車両用のガタゴトで急坂の道があります。半端な坂ではありませんが、無理をすれば車椅子で上れないこともない坂道です。

本堂は境内からさらに階段の上です

本堂は境内からさらに階段の上です。車椅子では無理をしても境内までが限界で、本堂のお参りは無理です。本殿は境内から、階段の上を眺めて参拝します。

左甚五郎作と伝わる逸品「野荒しの虎」は、本殿のなかの欄間にあります。手すりにつかまって階段を利用できるレベル方は、無理をすれば本殿に上がれるかもしれません。

吉見観音安楽寺は、車椅子では十分な参拝は出来ません。

しかしながら山里の古刹の雰囲気は素晴らしく、階段の下から眺めるだけも、多少は札所めぐり気分に浸れます。

横穴墓群を車椅子でみる「吉見百穴」バリアフリー情報

埼玉県吉見町の「吉見百穴(よしみひゃくあな)」は、車椅子で見学ができる史跡です。しかし限界もあります。現地のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2016年10月の取材で初稿を執筆し、2019年8月に加筆修正しました。

 

○3つの見どころがある観光施設

「吉見百穴」には3つの見学ポイントがあります。

「百穴」は6世紀から7世紀にかけての墓です。確認されている穴の数は219基で、国内最大規模の横穴墓群です。

横穴がある岩山に「地下軍事工場跡」があります。戦時中に中島飛行機の工場を建設するために掘られた地下空間です。

そして「ヒカリゴケ」が横穴墓内などに自生しています。

3つの見どころがある観光施設

○駐車場から施設入口のバリアフリー状況

アクセスは車が便利です。200台を収容する無料駐車場があります。

障害者用駐車区画は駐車場の最も奥の場所に2台分用意されます。とてもスペースが広い障害者用駐車区画です。

「吉見百穴」は有料の施設です。観覧料の障害者減免制度はありません。受付で料金を支払い、施設内に入場します。

 

○資料展示館と埋蔵文化財センターを見学する

入口の右側に「資料展示館」があり、百穴のガイドビデオが放映されています。その音声は施設内全域で聞こえるように流れています。「資料展示館」は車椅子で入館は可能なフラットで開放的な資料館です。

「資料展示館」のさらに奥に「埋蔵文化財センター」があります。

「埋蔵文化財センター」は土足禁止で、スリッパに履き替えます。入口に段差はないので車椅子で入館可能です。入口に雑巾の備えはありません。出来れば自分で雑巾用意して、車椅子を拭いて入館してください。

「埋蔵文化財センター」は展示室内も含めてバリアフリーです。車椅子での館内移動に問題はありません。

「埋蔵文化財センター」内に綺麗な障害者用トイレがあります。他に独立棟のトイレにも障害者用トイレがあります。

 

○売店は2店舗

施設敷地内に売店が2店舗あります。いずれも舗装通路をすこし外れて、未舗装路を通って入店する店舗。車椅子ではアクセスに苦戦します。

 

○横穴墓群見学のバリアフリー状況

横穴墓の車椅子見学要領です。小さな岩山の側面に数多くの横穴がある奇観は、施設に入場すると全体が見えます。

平地に舗装通路が用意されているので、その上の通行はバリアフリーです。車椅子で岩山に近づくことができますが、その先の岩山の上には段差を上ります。

百穴がある岩山には階段ルートが整備され、頂上部には「見晴台」があります。ルートの途中には、横穴墓を覗きこめる箇所もあります。

岩山の上は車椅子では無理なルートです。登っている人が横穴墓を覗きこんでいる姿を、地上から眺めるしかありません。

この横穴墓は、古墳時代末期の6世紀末から7世紀末に造られたと考えられています。一つの穴に二つの段があり、複数の人が一つの穴に埋葬されたと推定されています。

明治時代から調査がすすめられました。穴の正体については、当初は住居という意見があったそうです。大正年代に国の史跡に指定されました。

横穴墓群見学のバリアフリー状況

○地下軍事工場跡のバリアフリー状況

2018年から地下軍事工場跡は、点検調査のため立入が禁止されています。それ以前の立ち入りできた時の状況を以下紹介します。

軍事工場跡は、昭和19年から20年にかけて、旧日本軍による朝鮮人強制労働で掘られた洞窟。飛行機の製造工場をつくる目的であったそうですが、未完のまま終戦。この岩山の下に、広くて背の高い地下通路と地下部屋が残されました。

軍事工場跡の通路や部屋は、床はかなりのデコボコですが、気合を入れれば車椅子で立ち入ることはできました。夏は涼しく冬は暖かい洞窟です。

公開されていたのは工場跡のごく一部ですが、それでも車椅子で周るには辛いほどの距離がありました。無理をせずに入口付近だけでも地下通路に入ると、その雰囲気を知ることができました。

仮面ライダーのロケ地、また心霊スポットとしても有名です。

 

○ヒカリゴケ観察のバリアフリー状況

ヒカリゴケは国指定の天然記念物。軍事工場跡の一部に自生しています。自生地の穴の前に「ヒカリゴケ」という看板があるので、観察スポットはすぐにわかります。

ただ、この観察スポットはかなりのデコボコ路面の先で、さらに小さな穴を覗きこんで中のヒカリゴケを見ます。車椅子での観察は苦戦します。

妖しく緑色に光るコケは、見る価値はあります。ご自身やご家族の障がいの状況に応じて、覗きこめるようであれば見学してください。

 

○百穴の地質について

百穴が分布する一帯は、凝灰質砂岩と呼ばれる掘削に適した岩盤が広がっています。

古墳時代の人も、旧日本軍も、この掘りやすい岩山を見つけたわけです。そして天然記念物のコケが自生しました。ここは不思議な歴史と偶然が積み重なった場所です。

百穴の地質について

「吉見百穴」は、施設としてバリアフリーレベルは高くはありませんが、車椅子からでも全体の不思議な光景を見ることは出来ます。

いっちょう東松山店 車椅子からみたバリアフリー情報

北関東から埼玉エリアを中心に店舗を展開する、居酒屋&レストランチェーン「いっちょう」。

高級料亭風の外観デザインと、個室を並べた店内レイアウト、そしてタブレットによる席からのセルフオーダーシステムが特徴です。

2016年10月に、旗艦店舗の一つ「東松山店」のバリアフリー状況を調査しました。

今までの郊外型グルメ店とは、一味違う店舗設計です。

まず驚くのが敷地の広さ。駐車場は広大で、200台くらい収容できます。店舗エントランスの近くに、屋根無しの障害者用駐車区画が用意されています。

店舗は巨大。高級料亭風の塀に囲まれていて、その中央部に門をくぐるようなイメージのアプローチの入口があります。

正面からみて、左側の棟が小グループ向けの個室棟。右側の棟が宴会向けの個室棟です。

駐車場からアプローチの入口まではフラットな舗装面で、車椅子の移動に問題はありません。

入口をくぐった先に、10mほどの和風アプローチがあります。このアプローチが、石畳み風のデコボコした路面です。慎重にゆっくり通過すればば車椅子で通行は可能です。杖を使う方も慎重に進んで下さい。

アプローチの先に建物への出入口があります。手動のドアを二度通る設計です。車椅子ではドアを開ける介助者が必要な設計です。

このアプローチとドアが車椅子利用上の問題です。店内はフラット構造で、障害者用トイレがあります。

すべてが個室タイプお席です。受付マシンに人数を入力し、「座敷」か「テーブル」を選択します。

車椅子目線で区分けすると「座敷で掘りごたつのタイプ」「テーブルで固定椅子のタイプ」「テーブルで稼働椅子のタイプ」以上の3タイプの席があり、車椅子利用をみると、テーブルで稼働椅子の席に案内していただけました。

セルフサービスの方法が特徴的です。席に案内される途中に、飲み物のセルフサービスコーナーの説明を受けます。

席につくと「初めてのご利用ですか」と聞かれ、オーダー方法、会計方法の説明を受けました。オーダーは全て座席に置かれているタブレット端末から行います。

席に置かれているメニューには、お料理ごとに番号がついています。その番号をタブレットに入力し、オーダー数を入力します。

ランチタイムでもこの方式です。ランチメニューを番号で入力します。

お料理メニュー以外も、ありそうな要望は番号がついていてタブレットで注文できます。

例えば「老眼鏡」は○○○番。取り皿の追加、子供用のプレートセットなど、番号でオーダーできます。

個室での省人化を目指したITです。帰りの際は、席札をもって会計へ。タブレットで会計金額や割り勘金額などが確認できます。

また今どき珍しいのは、全席喫煙可。全席個室なので、お客様責任での喫煙ということです。席には灰皿がセットされています。紫煙が嫌いで匂いに敏感な方は、この点はマイナスです。

個室から見える中庭も凝った造りで高級料亭風。上手に雰囲気を演出しています。

巨大店舗と独自ITが、特徴的で面白いチェーン店です。